笠石を見に行って見ました

2004年12月 7日記

 天気が夕方まではもつと言う土曜日の日に、出かけないのももったいないと言うことで、以前から気になっていた、房総の寂光山中にあるという笠石を見に行ってきた。

 この寂光山とは、房総の真中辺の豊英湖というダム湖の辺にある、標高250m程の山である。その寂光山への登山道の途中に、岩の上に乗った笠のような恰好をした石があるらしく、それを笠石というらしいのだ。そして、この笠石は奇岩或いは巨石として、特にその筋では有名らしく、その筋の幾つかのHPでは写真入りで紹介されている石でもあるのだ。その石を見に行こうと言うわけである。

 夕方から雨との天気予報だったので、できるだけ早めにということだったのだが、結局は11時前に出発する。丁度娘が赤ん坊を連れて里帰りしていたので、その娘親子と何時もの相棒との4人である。

 何時ものガソリンスタンドに給油に行ったら、キャンペーン中だかなんだかで、ティッシュを5箱も呉れた。そういえば、以前、このサービスを受けるために出発を遅らせたことがあったとか何とか、娘をも交えて、グダグダ言いながら、セルフで給油する。

 案内書にあるフルーツ村の駐車場を目指し、三島湖から豊英湖の近くまで行ったのだが、フルーツ村の看板を見つける前に、山頂付近にあるらしい寂光不動入り口の案内板を見つけてしまったので、その案内板に従って脇道に入る。

 舗装された細い道をしばらく進むと、坂道になってくる。なおも進むと、林道の入り口風の場所に出る。その入り口のゲート脇のちょっとした広場には3台ほどの自動車が停められている。ここが登山口の様だ。でも、その広場は既に無理すればもう一台の自動車が停められる程度の余裕しか残されていない。

 ここは、最初の計画の下山口にあたるところである。こちらから出発しても良いのだが、こちらからだと山頂を経由してから笠石に行くことになるから、笠石までは1時間以上もかかってしまう。それに、今回は赤ん坊連れだし、天気も気になる。まさか赤ん坊を雨に当てる訳にも行かない。フルーツ村からなら笠石までは30分くらいだし、山頂には行かずにそのまま引き返えしても良い。下山してからの自動車までの舗装路歩きまでも考えると、今回は笠石往復の方が良さそうな気もする。例え雨に降られても短時間で済むだろうし。

 少しだけ迷ったが、安全策をということで、Uターンして国道まで戻る。

 国道を少し進むと、フルーツ村の看板が出てくる。その道を進むと、少し降って、小川を渡った先に果樹園風の風景が広がっていた。

 右脇に「駐車場」と書かれたスペースが現れるが、そこにはその先にも駐車場があるとの看板がある。道はまだ少し登って行くから、そのまま先に進む。

 軽自動車が停められ、その脇で作業をする人が何人か見える。その手前に駐車場の看板があったので、その駐車場に入り自動車を停める。

 この駐車場、果樹園の中にあるから、このフルーツ村の駐車場なのだろうか。でも、その駐車場の入り口には大きな寂光山付近の案内図もあるし、駐車場の奥には登山道の道標もある。何となく登山者用の駐車場と言う感じもする。

 支度をして、駐車場がフルーツ村のものだとまずいから、その作業をしている人に一声掛けようかとも思ったのだが、空模様が気になり、降りだす前に少しでも歩いておこうと、娘の赤ん坊を背負子で背負って、そのまま指導標に従って歩き出す。

 果樹園の中の、少しガレた、作業道風の道を登って行く。やっぱり駐車場はフルーツ村の駐車場なのかなぁ。

 途中、トライアル場のようなところを抜けて、いよいよ山道に入る。赤土の滑りそうな道を進むと、道は尾根上を歩くようになる。

 道の脇に苔だらけの岩が現れる。大きさはまぁまぁだが、傾斜はない。でも、そこそこ硬そうではある。

 その岩の少し先で、下から上がってきている柵で行く手を阻まれる。その柵に近づくと、開けた人は必ず閉めろと書かれている扉がある。猿避けのための電牧柵のようだ。高圧危険とも書かれている。

 扉に巻きつけられていた太い被服された針金を解いて扉を開け、先に進む。

 両側が少し切れ落ちた細いリッジ状の道を進むと、笠石が現れる。

 意外と小さい。写真で見たときはもっと大きいと感じていたのだが、直径は1mちょっとというところか。厚さは20から30cmくらい。登山道からの高さも3mかそこらである。昔、地元の若者が戯れに落としたのを拾ってきてまた元に戻したと言う言い伝えも、なるほどなぁと、納得されるくらいである。

 笠石を触るためにわざわざ岩を攀じ登って行くと言う感じではなく、直ぐそこに見える笠石を傾斜の緩い岩の壁に刻まれた階段を登って触りに行くと言う感じで近づくことができるのだ。折角岩を攀じ登って触りに行こうと目論んでいたのに。

 笠石を載せた岩の右の方は、登山道とほぼ同じ高さとなっていて、その上に生えていた太い木が根こそぎ倒されており、岩の表面が綺麗に露出されている。そこから岩の裏側を覗いてみる。岩の裏は崖になっていると案内文などには書かれているが、大きく切れ落ちていると言う風ではない。2〜3mの岩壁になってはいるが、その下は木が生えた少し急な斜面である。もし岩の上から落ちたとしても、まっ逆さまに落ちて行くと言う何十メートルもスパッと切れた崖ではない。

 笠石の脇の登山道は、直ぐ先でほぼ直角に曲がり、尾根を降りて行くようになっている。その先は狭いリッジ状のコルから再びちょっとしたピークに登っている。その狭い、といって、両側は木が生えているから、見通しはないコルに娘の赤ん坊を背負子ごと置き、笠石の下の岩の壁を見に行ってみる。

 斜面は急だが、基部は数十cmの幅で少し傾斜が緩んでいる。高さは3〜4mあるだろうか。まぁ、あまり登る気はしないが。

 手前が、先程岩の上から裏を覗き込んだ場所になるのだが、そこの壁は高さが3mくらいで、下地の傾斜も幾らか緩い。壁の傾斜も緩い。ここなら安心して登れそうだ。

 ブッシュを漕いで壁の基部まで行き、その壁を触ってみる。右の方は傾斜が急だし、苔でホールドも無さそうだが、真中辺なら、苔はあるが、登って登れないことは無さそうだ。

 娘の赤ん坊の所に戻ると、娘も降りてきている。娘に背負わせていたザックからフラットソールを取り出し、一応靴を履き替えて、再び壁の基部に戻る。

 傾斜が緩いと言っても、フラットソールにはきつい草付きの斜面である。相棒に写真を撮るように頼んだ後、バラの木を掴んだりしながら、岩に取り付き、登りだす。

 途中で相棒がまだデジカメの準備が出来ていないと言うから、岩の途中で少し休んだりしながら上に抜ける。まぁ、これも13級かな。

 その奥の壁は垂直だし、下地の傾斜がきついからパスだな。

 このコル、結構風が抜けるようで、丁度赤ん坊を置いた場所が一番風が強い。娘にそのことを怒られながら、靴を仕舞い、みかんなどを食べてから引き返した。

 空は相変わらずどんよりしてはいるが、まだ雨の気配はない。

 戻る途中、登山道の脇にあった岩を触ることにして、再び赤ん坊を降ろす。今回は風を気にして、なるべく風の当たらないところを選ぶ。

 この岩、高さは2mちょっと。傾斜は相変わらず余りない。基部が少し被り気味と言えば被り気味だが、そのリップから上の部分にはガバホールドがそれこそあちこちに存在する。しゃがんだ状態でリップのガバが持ててしまうから、SDというのも馬鹿らしい。普通にリップにマントルして傾斜の緩い、ガバガバの壁を少し登る。

 岩の上に立って、降口を探したが、結局同じようなところを降りなければならない。降りる方が難しかった。これも13級である。

 13級って、実際はそんなグレードは無いのだが、10級が下限だから、その幅が余りにも広すぎるので、無茶苦茶易しいということで、勝手に13級と言っているだけである。であるから、実際は10級、今流行でいえば10級マイナスと言うところである。

 その登った面の左側が少し被りがきつくて、ほんの少し難しそうだ。序だからと、そこも登る。リップまで足が上がらないから膝を使っちゃったけど、うーむ、やっぱり13級か。まぁ12級にしておこう。

 本気で登りに来たわけでも無いからと、その辺で止めることにする。

 途中、猿避けの柵の手前の登山道の脇の斜面の先のブッシュの中に、大きなスラブ状の岩のようなものが見える。

 もしやと、覗き込んだが、良くは見えない。といって、ブッシュの斜面を降って偵察に行くほどの元気もない。もしかすると、斜面保護の為のセメントの被服かも知れないし。

 果樹園に入る手前で、果樹園からの作業道みたいな道に合流する。その道の脇に岩の壁が出ている。磨けば登れるかもと、一応写真だけを撮る。

 その道は、尾根上を我々が登ってきたのとは違う方向に伸びていて、登ってくるときに隣の尾根に見えた道に続いているように見えたので、来た道を戻ってもと、そっちの道を歩いてみる。

 また道の脇に岩壁が出ている。登るとすればこちらの方が綺麗そうだ。裏には少し被った面もあるし。って、わざわざ登りに来ることも無かろうが。

 その道は、登って来る時に、そっちの方が良さそうに見えた道に繋がってはいたが、意外と荒れていて、来るときの道と殆ど変わりはなかった。

 自動車に戻ると、その脇の大きなビニールハウスのようなところに人がいたので、登りに挨拶をしなかったことが何となく引っかかっていたので、一応挨拶をしようと、行ってみる。

 ビニールハウスにいた人に声を掛けると、ここの人は管理事務所に行ったと言うので、管理事務所まで行って、行きに挨拶をしなかったことを詫びながら挨拶をしたら、赤ん坊を背負って大変だったねと返答をしてくれた。で、少しだけお話をしてしまった。うーん、やっぱりフルーツ村の駐車場じゃあないのかなぁ。

 自動車に戻っても娘と相棒はまだ戻っていない。そんなに放れてはいなかったのに。途中、栗だかなんだかを拾っていたらしい。

 そこから娘の生まれた場所まではそんなに遠くはない。自動車で30分かそこらの所だ。途中信号は一箇所しかないから、気合を入れれば20分位かもしれない。折角だからと、そこに寄ることにする。

 そこを訪れるのは2年か3年振りくらいなのだが、結構景色が変わっている。新しいカステラ工場が出来ていた。

 牛を見て、直売所で漬物やヤーコンを買って、山羊を見損なって、牛乳を飲んで、駐車場でオシメを変えていたら、駐車場の閉鎖時間になってしまったようだ。

 ほぼ来た道を引き返し、6時過ぎには家に着いた。

 笠石付近の岩は、鋸山の岩くらいな固さは持ってはいるようだ。ボルダーとしてならば登れないことは無さそうだが、わざわざ千葉から2時間近くをかけて行くほどでもないという気はする。あっち方面にハイキングにでも行く機会があれば、余興程度に登っても良いかな、程度だと思う。

 まぁ、最近の小生のボルダリングは、その余興が本命化しつつあるわけだが。


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作成年月日 平成16年12月 8日
作 成 者 本庄 章