笠置のボルダーに行ってきました

2004年 1月 8日記
 ツアー3日目、朝7時前に三重県阿山町のあやま道の駅で目を覚ます。

 相変わらず廻りは雪だらけ、道路を走る自動車がチェーンを巻いているような音を発てて走っている。道が凍っているのだろうか。或いはまた雪が降ったのだろうか。少し心配になる。

 暫くすると、普通のタイヤ音の自動車が走ってくる。次の自動車も普通のタイヤ音だ。なんだ大丈夫なんだ。少し安心する。

 またうどんの朝食を済ませ、8時過ぎに出発。来た道を引き返す。20kmくらい有るから、30分くらいかかる。

 橋を渡って、駐車場に入ろうとすると、入り口が塞がれている。河川敷の駐車場だから当然無料と思っていたら、有料らしい。おまけに閉鎖中のようだ。ったくもう。

 橋を渡ったときに下流側の河川敷に自動車が停まっているのが見えたので、そっちのほうに行ってみることにする。

 国鉄のガードを潜って、駅のほうに少し走ると、キャンプ場の看板が見える。その看板に従って細い道を河川敷まで降りる。

 施設利用料が一人200円かかると書いてある。ここも有料なのか。さすが関西だ。

 再び国鉄のガードを潜ると河川敷に出る。

 何にも無い広場である。その横にキャンプ場らしい施設がある。しかし、営業をやっている気配は無い。河川敷でもお金を取られるのだろうか。

 自動車が3台くらい停まっており、テントも建てられているので、そこに居た人に聞いてみると、11月の連休で営業は終わったらしいと教えてくれる。デイキャンプの人が多いときは偶に料金を取りに来るらしいが、管理人も居ないので無料で使用できるだろうとも言ってくれる。と言うことは、やっぱり取られるのかもしれない。その人が、鍋を食べて行かないかとか、色々と話してくれるので、少しお話をする。

 その河川敷の広場に自動車を置き、少し歩いてボルダーエリアまで行くことにする。

 もう一台自動車が入ってくる。小生の背負っているパッドを見て話し掛けてくる。四国からのボルダラーらしい。さっき聞いたことをそのまま教える。

 キャンプ場のトイレに寄る。キャンプ場の中には2〜3張りのテントが建てられている。知っていれば、ここでテントを張ったのに。少し悔やまれる。

 温泉旅館の脇を河川敷まで降りる。大きなボルダーが直ぐに現れる。トポ片手に岩に近寄る。

 木津川の河川敷に点在するボルダーなのだが、日が当たらないので既に10時頃だと言うのに寒そうである。

 遊歩道から一段下の河川敷までちょとした石垣を降りる。そこは砂で平らな場所である。幾つかの岩が有るから、その岩の配置とトポを見比べる。

 先ず「フィネス」という課題のある岩を確認する。のっぺりとした少し横幅のある記念碑みたいな岩である。

 次はボート横ボルダーである。この岩はほんの少しだけ離れて水際にある。踏み跡を辿って、それらしい岩に行く。10級から1級までの課題が有ることになっているのだが、余り触られていない様子だ。易しい所は下手をすると水に落ちそうだ。

 荷物を背負ったまま、凄く大きな大ハング岩の「南裏の大ランジ」を確認し、一目で分かる「マントリングロック」の方に行く。「マントリングロック」の手前には「のっぺりカンテ」がある。

 そのまま川っ淵を上流に移動する。遊歩道沿いの「トンネルホール」のある岩、その横の物凄く大きな多分ゾウ岩を見る。

 この辺から岩が重なりだし、岩を乗っ越したりへつったりして先に進む。

 大きな、多分おむすび岩、扇岩、ハーフムーン等など、一応確認するが、皆高いし、下地が悪そうだから、登る対象になりそうにはない。

 岩の上を行きつ戻りつ、右往左往しながら、やっと少し一息入れられそうな広い岩盤の上にでる。

 先ほど駐車場で会った四国の人たちが「親指君」を教えてくれる。その人たちは手書きのトポを持っていた。

 ジーザスクライストロックとバガボン岩とのトンネルを抜けてそれらの岩の裏にでる。

 大スラブ岩が現れる。これが、あの写真で見た大スラブ岩か。一応バガボン岩の「親指君」を確認して、大スラブ岩の前に行く。

 ここには「右マントル」という4級の課題がある。まずはその辺から触ろう。

 平べったい大きな岩の上に荷物を置き、そこにパッドを広げてストレッチをする。ここら辺は谷が少し狭まっているから、特に日が当たらないようだ。少し寒い。

 岩の下にパッドを広げ、フレーク沿いに登る。途中一回降りたが、二回目にリップまで行く。そこのマントルが核心らしい。しかし、高さがあるから、怖い。

 リップのホールドを確認する。両手で持てるのだがあまりよくは無い。リップの直ぐ下にフレーク状のホールドが有るのだが、そちらは少し持ちやすい。そこを持って、リップ上のホールドを探る。良いホールドは無い。

 リップのホールドでマントルするしかないか。でも、結構高い。パッドを敷いてはいるが、その直ぐ後ろは岩である。下手にひっくり返ると頭を打ちそうだ。周りには相棒しか居ないし。諦めてクライムダウンする。

 「左マントル」は「右マントル」よりは低いのだが、級が1つ上がる。一応リップまで行って写真を撮ってもらう。

 ジーザスクライストロックの「ジャンプ・オブ・ジョイ」は3級である。下地は砂で平である。最初はガバホールドが有るらしい。途中からスラブになり、高さが増してくる。そして、半端でなく上まで行くのである。その辺にホールドらしいものが見えない。先ずはスラブに出る手前まででもやって見るか。

 パッド無しで岩を触る。右手のガバが遠い。足は無い。「ジャンプ・オブ・ジョイ」だから、スタートが地ジャンなのだろうか。

 何とか背伸びをして少し飛びついたら右手が持てた。左手のホールドも掴んだが、次の手が出ない。

 飛び降りて、ホールドを探る。ああやって、こうやればよいのか。

 再びスタートホールドを取ろうとするのだが、中々取れない。なんとなく疲れるのである。

 パッドを持ってきて、パッドの上からスタートする。すると、辛うじてスタートホールドが触れるので、少し飛んでスタートホールドを取る。2手3手進む。足を上げて、リップ直下のガバホールドが取りたい。しかし、手が出ない。

 飛び降りて、ホールドを窺う。あれで、これで、こうだから、次はあれだよな。

 でも、それが取れない。三日目だからなぁ。と言うことにしておこう。

 先ほど見た「親指君」の左のカンテをトラバースする課題があるらしい。下地は岩盤だが途中まではそんなに高くは無い。写真を撮るだけだからと、パッド無しにトラバースする。

 3手か4手でよいホールドを探していたら、疲れて落ちてしまった。相棒に聞くと、もっと進むと思って写真は撮っていないという。あぁあっ、またやらなければ。

 今度は3手くらいしか進まない。仕方が無いから、そこでぶら下がりながら写真を撮ってもらう。

 ここまで来る間に、絶対にもっと楽な中間部をショートカットする道が山側にあるはずだと考えていたのだが、一人の人が山側の側壁から降りてきたので聞いてみる。やはり、その先で遊歩道に出るらしい。荷物を取ってきて、その道を使ってこのエリアの入り口方面に戻る。

 遊歩道の反対側に「マリブ」という5級の二つ星課題を持った岩が有るはずなのだがと、その岩を探して見る。

 遊歩道の山側に3つほど岩が並んでいて、そこに遊歩道が入っているようにトポには書かれているのだが、そんな遊歩道は見えないし、課題の有りそうな岩も見えない。でも、幾つか岩がかたまってあるところがあるので、そこの岩を見に行く。

 草が枯れた、歩けそうな所を、水の流れを避けながら歩いて、それらしい岩の前に行く。岩雪に発表されたトポには、「一歩立ち込むごとに次のホールドに手が届くスタンダードなスラブ・・・」と書いてある。そういわれればそんな感じかなという苔だらけの面である。もし、ここだとしても、もう何年も触られたことが無さそうだ。一部蔦も垂れている。こりゃ駄目だ。

 来たときには殆ど人の居なかった入り口付近の岩に沢山のボルダラーが取り付いている。「フィネス」の岩の下にもパッドが敷かれている。

 大ハング岩の前辺りに荷物を置き、先ずは「マントリングロック」を触りに行く。

 丁度目の前辺りのリップをマントリングする課題である。丁度良い所にスタンスがあるから、マントルはかえる。因みに8級とか。

 「のっぺりカンテ」の右の「イージーウェイ」を登る。欲しい所に美味しいホールドやスタンスがある。確かに9級位だろう。

 「のっぺりカンテ」をやって見る。トポには「カンテをレイバックで」とある。カンテの右側にすばらしいスタンスがある。このスタンスは使っても良いのだろうか。先ほどお話しをした方は、なんでもありで登っていると言っていたっけ。ならば使うことにしようか。

 カンテを右手で持って離陸し、右足をカンテの右のそのスタンスに乗せて、左手でその上のカンテをガストン気味で持ってみる。バランスは悪いが何とか持てる。なんとかその左手で耐えて、右足を上げ、カンテのその上のガバを右手で取りに行く。デッド気味では有るがそのガバを掴む。よし出来た。訳ではないが、それが取れればもう上は心配ないだろう。

 思惑通り岩の上に立つ。が、降りる場所がわからない。その岩の裏にいた人が、そのリッジをトラバースして反対側から降りるのだと教えてくれる。なるほど、裏側のスラブ面を使ってリッジというかリップというかを使ってトラバースする。

 離陸に一度失敗したような気がするから一撃ではなかったが、多分二撃位で登ることが出来た。3級ということらしいが、本当だろうか。昔のトポを良うく見ると、右足もカンテのみなら10dとある。2級位だろうか。と言うことはやっぱりあれを使っても3級のようだ。それにしては他の4級や3級よりもやさしく感じられるなぁ。

 「フィネス」の前にパッドがなくなったので、「フィネス」を触って見る。

 高さは3m位か。僅かに寝ている。丁度目の前辺りの横に走るクラックのスローパーチックなホールドでスタートし、そのクラックに足を上げてマントルするらしい。

 離陸して、手で左足をそのクラックまで持ち上げて見たが、足が上がらない。尚も無理にジリジリと持ち上げたら上がったことは上がったが、そんな足に力は入らない。無理だ。一発で諦める。

 その右横の壁の「本家笠置」という初段の課題のある壁の右側で若者2人が遊んでいる。面白そうだったので、混ぜてもらう。

 右手ガバで、左足を高く上げ、その足に乗り込んで左手でリップを持ち、その高い足に立ちこんで行くというムーブである。

 左手のリップがスロッピーだから、なかなか左足に立ち込めない。若者達が去った後もやって見たが出来なかった。

 その若者に、「本家笠置」はどうやって離陸するのかと聞かれたときに、多分カンテをレイバックだろうと答えたことを思い出し、そのムーブをやって見たが、とっても次に動ける体制ではない。多分初段を登る人なら動けるのだろうが、小生には全く無理である。チョンボして離陸し、リップに飛んで見たが、さっきのリップだから留まる訳は無い。

 のっぺりカンテの岩に先ほどの若者が居るから行ってみる。

 離陸できないで居るから、右手でカンテを持って左足をスメアでこうやって離陸するのだと教えてあげる。序に、その上のガバまで行く。

 若者達が挑戦するのを見ながらその横のスラブを登る。

 マントルロックの岩の川側に丸っこい岩があって、そこをマントリングしている人が居る。グレードを聞くと初段だとか。なんか「まるがり」を小型化した感じである。

 トンネルホールのある岩に行き、先ずは「トンネルホール右」を触って見る。相変わらず2回目位に離陸が出来、そのまま上に抜ける。8級とかになっているが、易しくは無い。

 続いて「トンネルホール」をやってみる。トンネルホールのハング部をのぼる課題らしい。

 ホールドの向きがよくないし、足が無いから、なかなか体が上がらない。右を向いたり左を向いたり、右手を上げたり左手を上げたり、いろいろとやって見たが、全く出来ない。

 諦めて、その右のキケンフェイスを見に行く。

 高さがあって、下地には岩が出ているから、確かに「キケン」なフェイスである。

 どうせ上までは行けないからと、2歩くらい登って写真を撮ってもらう。パッドが無いから、降りるのが少しだけ怖かった。

 「トンネルフェイス」のSDをやっている人がいる。どうやらこの課題は殆どがSDで挑戦されているようだ。パッドが敷かれてしまったから、他に移ることにする。

 その左隣の「赤いきつね」や「黄色い博多」を見る。共に1級だから、離陸すら出来ない。離陸くらい出来てもよいのだがとは思ったが、やっぱり3日目だからなのだろうか。

 何人かの方々と少しだけお話しをしたりしていたら、先ほどの「のっぺりカンテ」の岩の裏のスラブを登っている人がいたので、真似をして登って見る。

 最初は左の方を登る。出だしが少しだけ難しい。次は右の一番高いところ。高いから、下に小さな石があるから、ほんの少しだけ怖いけど、見た目以上に快適に登れる。

 その岩の裏側で、またまた先ほどの若者達がトラバースの課題をやっている。のっぺりカンテの岩と大ハング岩との間の小さな岩である。

 これはこうやるのだと、またまたお手本を示してしまう。

 その若者達、聞けば今回が外岩2回目らしい。パッドを買ったから来たのだという。そこで、一席ぶってしまう。曰く、パッドは危ないから程々にして、危なくない所でパッド無しで落ちる練習をしなさい、と。自分が始めた頃はパッドなんか無かったんだから、と。でおまけに、怖いから面白いのだ、とも。

 その若者が写真を撮らせてくれというから、本当は断りたかったのだが、断る適当な理由も見つからないから、仕方なく写真を撮ってもらう。おまけに相棒との2ショットまで撮ってもらうことになる。で、ひょんな事から、HPの宣伝を相棒がしてしまうこととなる。

 若者達と別れて元に戻り、小さなマントルできそうな岩に行く。リップを持って、その手の近くにヒールをかけてマントルをして見る。なかなか出来ない。4〜5回やったが出来ない。くるぶしを岩に擦りつけるから、くるぶしから出血する。でも出来ない。諦めて、傾斜の変わる少し離れた場所にヒールをかけてマントルを返す。岩の上からその場所を見ると、赤く染まっていた。

 先ほどスラブを登っていた人が、その先の小さな岩を登っていたので、小生も登って見る。

 岩の上からのスタートになって、リップをパーミングで押さえ込んで登るから、少し怖かったが、何とか一撃する。

 少し下流に戻ったところの一番川側の小さなスラブを登っている人が居たので、そこも真似をさせてもらう。2mちょっとで下が砂だから、それ程怖くなく登ることが出来た。

 先ほどの初段の丸っこい岩のマントルをやってる2人組がいて、一人がもう一人に教えている感じだったので、見物していたら、間もなく移動の仕度を始めたので、小生も真似をして見る。

 離陸ができれば儲け物だと思ってやってみたら、意に反して離陸できた。体を少しだけ上げて見たが、その先は出来なかった。

 もう大分に遊んでしまった。荷物の所まで戻り、もう一回だけ「トンネルホール」に触り、完全に疲れていることを確認して、帰り支度をする。多分3時過ぎだったろうか。

 朝方駐車場で教えてもらった日帰り温泉施設に寄るか、このエリアの上の旅館の温泉によるか相棒と話をしたが、結局少し高いだろうが日帰り温泉施設に行こうと言うことになり、自動車まで戻って、朝お会いした方とまたお会いしたので挨拶をして、温泉に行く。

 綺麗な施設である。人指し指やくるぶしからまだ出血していたが、テーピング用のテープを張って風呂に入る。

 二階の食堂に雉飯というのがあったので、ここで夕食を食べるつもりは無かったのだが、アイスの代わりにと、少し早めの夕食としてそれを食べる。

 大分ゆっくりして、既に暗くなった5時過ぎ頃に笠置を出発する。

 朝来た道を上野まで戻り、名阪国道に乗って亀山まで行く。

 この名阪国道なのだが、一般国道なのに、インターは勿論、サービスエリアまであり、平面交差の一切無い高速道路並みの道なのである。それで無料なのである。だからかどうかは知らないが、それで速度制限が60kmなのである。どう考えてもおかしいのである。速度制限てなんなんだろうか。当然殆どの自動車が100km前後で走っている。80kmで走っているとどんどんどんどん抜かれて行く。多分、この道を60kmで走ることのほうが遥かに危険を生むと考えられるのだが。

 亀山からは来たときと同じ東名阪、伊勢湾岸で豊明まで行く。

 ここで1号に降りるつもりだったのだが、豊橋の看板を目当てに走ったら、国道23号に入ってしまった。

 最初は間違えたかと一瞬後悔したが、この道も高架になっていて、信号も無く流れていたから、そのまま豊橋まで行こうと考え、そのまま暫く進む。しかし、その先の案内板に豊橋の名が無くなり、なんだか変な名前が出てきてしまったので、不安になり、安城でその高架の道を降りてしまった。

 そうなると、どう走れば岡崎に行けるかわからなくなってしまう。仕方が無いから、脇道に入ってカーナビをセットしなおし走り出す。実は帰りは五月蝿いからカーナビはセットはしていなかったのである。

 なんだか良く分からない道だったが、カーナビの指示に従い、やっと岡崎に出て東名に乗ることが出来た。

 あとは殆ど混むことの無い道をひたすら走り、12時過ぎには家に帰ることが出来た。行きに比べれば大分に早い帰還であった。

 いつも帰りは早い気がする。なぜ帰りは早く帰れるのだろうか。気のせいだろうか。


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作成年月日 平成16年 1月 9日
作 成 者 本庄 章