霧降山・観音岳のボルダーに行ってきました

   山陽道ボルダリングの旅山口編その5
2006年 1月16日記
 相棒と二人で、宇部市郊外の観音岳のボルダーに行ってきた。ここは去年の春頃だったか、コンペが開かれた場所である。

 9時過ぎにキララあじす道の駅を出発する。霧降山もここからは近い。

 カーナビに従い、道の駅からほぼ一本道で持世寺温泉を経由し末信橋まで行く。そこからはトポの案内で、ゲートの前まで行く。

 トポにはゲート前に2台ほど自動車が停められると書かれている。しかし、そのスペースには既にトラックが停められている。従って我々の自動車を停めるスペースは残っていない。仕方がないから、トポの案内の通り、末信橋まで戻り、河原の広場に自動車を停めた。

 そこから少し歩いて、先ほどのゲートから舗装された道路で山を登ってゆく。そこら辺一帯は水道局だかの敷地らしく、その道路脇にはネットフェンスで囲まれたそれらしい施設が作られたりしている。

 九十九折で登ってゆくとまたゲートが現れる。先のゲートにもあったのだが、ここにも関係者以外立ち入り禁止と書かれた札が下がっている。一応一声掛けて、ゲートの脇をすり抜ける。

 右手の大きなタンクを過ぎると、まもなく十字路に出てくる。トポに従い、おいでませstoneがあるという、未舗装の道に右折する。

 トポによれば、曲がれば直においでませ岩が出てくるはずなのだが、なかなかそれらしい岩が現れない。少し不安になった頃に、やっとその岩らしい岩が表れた。

 その岩のすぐ先に、展望エリアと展望北面エリアに出るらしい道が現れるはずなのだが、そんな道は見つからない。そうこうするうちに、はっきりしたT字路が現れ、そのT字路を入った所に観音岳登山道との標識が現れた。

 T字路を入ってすぐにまたT字路でその登山道が入っている。トポの地図の通りである。やっぱりおいでませ岩から直接エリアに行く道は無かったようだ。

 その登山道に入ると、すぐに岩が現れる。すかさずトポと照合する。

 大きな平らな岩盤が下のテラスだろう。その手前の登山道沿いが「滑り台スラブ」、その並びの岩の陰の岩と岩の間が「納戸」だろうか。ならば、この丸っこい形の岩の左側が4級の「空」だな。

 「空」のリップの上のほうの右手の穴を触ろうとしたら、手が届かない。駄目だ。

 支度をして、先ずそんなに高くなく、難しくない、滑り台スラブを登って見る。7級らしい。

 「納戸」がなんとなく気になったから、「納戸」を触る。リップに何回か手を飛ばしたが、なかなか止まらなかった。

 登山道に戻ると、下からジャージのおじさんが登ってくる。挨拶をし、一言二言言葉を交わす。観音岳を登りに来たらしい。

 荷物を持ってもう少し上に行って見る。先ほどは登山道の左側だったが、今度は右側の岩群だ。

 なんだか結構大きな岩が重なっている。その内の一番大きい岩の上に人が座っている。近づいて、挨拶をしたのだが返答が無い。よく見たら、どうやら座禅中のようだった。静かに荷物まで戻る。

 ここはなかなか課題が特定できない。大きな岩と岩の間の薄っぺらい岩のカンテが「Mカンテ」だと思ったのだが、なんとなく違う気もする。

 あちこち見て回っていたら、何となく分かってきた。Mカンテはやっぱり先ほどの薄っぺらい岩のカンテのようだ。そこの少し下にあるのが「ゴールドラッシュ」か。座禅をしている岩と手前の岩の間が「暗闇スラブ」か。でも、暗闇は遠慮しておこうか。

 その岩の少し上には、縦に逆ハの字に2本のクラックが走る「Two Way Crack right」がある。結構そそられるラインである。

 まず、ゴールドラッシュを触って見る。2級だから、。やっぱり難しい。

 薄っぺらい岩のほぼ垂直の壁の上のほうに斜めに走る角の立ったカンテを持つ、なんだか格好が良さそうに見える、「Mカンテ」に取り付いてみる。

 そのカンテの下部は角度が立っているから、バランスが悪く、なかなか離陸が出来ない。離陸さえ出来ればなんとかなりそうなのだが。

 トポには登り方が二通りあるとある。やっぱりムーブがあるのだろうか。

 色々岩を触って、左のカンテの奥にホールドを見つけ出す。そのホールドを使って、ちょっと体を振って離陸したら、体が上がった。後は角度の立った斜めのカンテで体を上げる。足はスメアに近いから、途中手が外れそうになったが、なんとか耐えて、左足をそのカンテに掛けることが出来た。後は岩の上に乗るだけだ。やったぁー。多分離陸が核心なのだろう。何となく満足してしまう。

 気をよくして、その岩の上の少し高めの岩のカンテ、多分「あめとむち」だろう所を登って見る。因みに5級とある。

 途中までは何てこと無かったのだが、最後がいやらしかった。うーん、5級か。

 先ほどの偵察で、登りたいと思った「Two Way Crack right」に行って見る。

 右下の穴で離陸し、左のクラックのリップ、右のクラックのリップと掴む。左足をクラックのスタンスに上げ、上に走る水平クラックのリップを取りに行く。そこが少し遠いし、右手がそれほど利かないから、水平クラックへのデッドになる。しかし、下地には岩が出ていて、怖くて手が出せないのである。2回3回と試みたが、結局その手が出せなかった。物凄く登りたかったのだが。4級らしいし。

 何となく物足りなかったから、Aスラブという課題を登ってみた。スタンスが少し細かかったが、8級らしいから、気持ちよく登ることが出来た。

 先ほどのジャージのおじさんが下ってくる。その先に展望の良い所があるらしい。

 展望北面エリアに移動する。展望エリアよりは何となく薄暗い感じのエリアだ。

 12時になっていたので、大きな岩の上で昼食にする。今回もパンである。

 登山道脇の「ササラン」や「フク」の岩を触ってみる。そんなに大きくは無いが、僅かに被った面の真中にちょっとした凹角というか、厚めのフレークというか、そんな段差が走っている。その凹角のカンテにチョークがいっぱい付いているから、そこをガストンで持つのだろうか。右手はすぐ上のリップが取れてしまうし、SDとは書かれていないから、その下のほうにも付いていたチョークは何なのだろう。

 大きな岩を回り込んで下に行ってみたら、大きな岩に乗っている岩がルーフを作っている。その上の岩と下の岩との隙間を使ってトラバースするのがアンダーノーズという課題らしい。右のカンテから上の岩の真下辺りまで行ったら、隙間が狭くなり、指が入らなくなってしまった。

 そのルーフの左の壁を登って見る。トポには書かれていないラインである。やっぱり易しかった。

 その岩の右のほうの課題を触ってみる。

 「イナズマクラック」にはクラック限定とあったが、クラックを限定する必然性を感じなかったので、大いにクラックを使って登ってしまった。

 また、ルーフの面に戻り、Yクラックを触ってみたが離陸が出来なかった。因みに4級とある。「空」といい、リーチが関係するのだろうか。

 トポには他に幾つかの岩があることになっているのだが、あまり探す意欲が無かった事も有って、見つからなかった。

 その先、道が少し分かりにくくなったが、観音岳エリアに移動した。

 先ず「白虎隊」という課題のある岩が目に入る。横長の結構大きな岩である。

 その「白虎隊」は、トポには「両手アンダー〜水平クラック(上ガバ制限)〜カンテ直登」とあるのだが、アンダーホールドが見当たらない。どこなんだろう。

 その奥に、三角おにぎりみたいな岩がある。その岩のカンテが「長州」と「薩摩」らしい。共に5級とある。左上カンテ〜右上カンテへという、「長州」をやって見た。右のカンテに移る所で手が伸びきってしまい、落ちてしまった。仕方がないから、左上カンテだけで岩の上に逃げてしまった。

 「右カンテ」の「薩摩」もできない。さっきのMカンテで力を使い切ってしまったのだろうか。

 先ほどの「白虎隊」の岩に戻り、適当な場所を適当に登って見る。それなりに面白かった。この岩は、多分どこを登っても、それなりに楽しめると思う。場所を選べばそんなに難しくもないし。

 そのほかの岩の1級とか2級の課題に、ちょっとだけ触り、それらの岩の奥の大きな岩に行って見る。

 結構大きなそんなに傾斜はきつくないスラブの岩である。下のほうが丸く被っているから、木登りスタートという課題が設定されていたりもする岩である。

 その岩の右のほうの下に高くは無い大き目の岩が横たわっている。その岩の上からスタートすれば、スラブ面に上がることが出来そうだ。「Slip Boy」という課題は、トポには岩の上からスタートとは書かれていないのだが、多分その岩の上からスタートするのだろう。

 斜面の長さは多分6mくらいは有るだろう。スタートの岩の高さは1.5m位か。地面からだと、結構高く見える。

 その「Slip Boy」は、「失敗は許されない」とある。確かに途中で落ちると結構やばそうである。因みにグレードは4級だとか。

 岩の上に乗り、離陸を試みる。そこからの2歩位が傾斜がきつい。一歩は踏み出すのだが、2歩目が怖い。2歩目で落ちるとうまく着地が出来るかどうか不安になるのである。その2歩が出られれば、その上は傾斜が緩くなり、多分落ちないと考えられるのだが。

 2歩目のスタンスを選ぶ。じわじわ2歩目に体重を掛けてゆく。いざ最後の体重を掛けようとすると、怖い。一歩目の足が岩から離れるのが、物凄く怖いのだ。従って、最後の体重がかけられないのである。一歩目の足に体重を戻し、岩の上に降りる。2回、3回、どうしよう。相棒は下でデジカメを構えている。

 腰を落とし、思い切って二歩目の右足に体重を移す。左足が離れる。もう静かには戻れない。いや、まだ飛び降りれば戻れる。でも、怖いから飛び降りる気にはなれない。なんたって平ではない石の上なのだから。行くしかないのだ。慎重に左足を上げる。その左足が幾らか傾斜の緩んだ場所まで上がる。体重を掛ける。かかった。先ずは一安心である。でも、何となく乾いた苔がうっすらと乗っている気もする。まだ足が滑るかも知れない。慎重に手を進め足を進める。

 岩の途中の右上のカンテ状の部分に手がかかる。ここまで来て、スラブを直上する気は起こらない。多分、傾斜が緩いから、大丈夫だとは思うのだが、それが出来ない。まぁ、ここまでくれば、もうカンテに逃げても満足である。

 傾斜の緩いカンテを這い上がる。それでも十分に満足が出来た。何となく嬉しかった。

 後は、すごく被った面の写真を撮って、踏み跡の先に行って見る。

 なんだか神様の様なものを祭った岩が出てくる。これが、登ってはいけないと書かれた岩だろうか。その先に景色の良い岩が有るらしいから、そこまで行こう。

 踏み跡を色々と探して見たが、そんな踏み跡は見当たらない。先ほどのおじさんは見晴らしが良いと言っていたのだが。

 何となく雪がちらつきだす。山口って、俄か雪が多い所なのだろか。地理的にそんな気がする。

 景色の良い岩は諦め、UFO Stone エリアに向け歩き出す。

 途中、迷子岩という岩があるらしいのだが、30m位登山道から外れるらしく、道も無いとのことなので、登山道からそこら辺を伺っただけで通り過ぎた。

 登山道の脇にすごく被った面を持つ UFO Stone が現れる。このエリアはこの岩だけのようだ。被っているし、雪も降っているから、岩を触って記念撮影にとどめた。

 次は柳平エリアである。

 メインの遊歩道まで戻り、先に進む。観音岳登山道の道標があった十字路のすぐ先に柳平に入る道があることになっているのだが、それらしい道は現れない。雪はますます激しくなってくる。

 どれくらい歩いただろうか。その先の宇部坂エリアに入るだろう道も現れない。不安になって引き返してくる。

 引き返してくるときにも注意深く脇道を探したら、脇に入る踏み跡が見つかる。その道に入って見たら、斜面を下ったすぐ先で幾つかの道が分かれている。トポの道とは大分に違う感じだ。

 十字路まで引き返したが、やはり道は見つからない。やっぱりまだ先だったのだろうか。入り口のおいでませ岩のこともあるし。

 雪が降る中、再び引き返してきた道を歩き出す。

 途中、おじさんに会う。丁度良いからと、そのおじさんにこの先脇に分かれる道があるか聞いてみたら、あるという。で、この道は観音様まで行っていると教えてくれた。やっぱり道はあったのだ。

 先ほど引き返した先に行って見ると、柳平広場から管理道と書かれた看板が掛けられた脇道が出てきた。この道か。では、この先に宇部坂エリアに入る道もあるはずだ。その道の確認に行こう。

 また暫く歩くと、はっきりした道の三叉路が出てきた。一方には何とか観音との標識があったので、もう一方の道に入って見た。

 道は段々山を降り、やがて前方にため池のような場所が見え出してきた。なんだか違うみたいだなぁ。岩も見えないし。やっぱり途中で引き返す。

 先ほどの柳平への脇道に入って見る。この道は良く踏まれた普通の山道である。

 尾根上のようなところを歩いてゆくと、やがて広場に出る。その広場の先は2mくらいの幅の整備された遊歩道みたいな道に繋がっている。これが管理道か。トポでは岩の前まで道が入っているような感じで書かれている。やっぱり岩はなかったようだ。

 またまた引き返し、今度は注意深く、ほんの僅かな踏み跡も探して見る。

 先ほど引き返すときに入った道を再び入り、その先の道を探って見る。岩はあるのだが、トポとは会わない。

 十字路に近づいた所に踏み跡らしきものを発見する。赤布のつけられたかすかな踏み跡である。

 少し先まで入って行くと、踏み跡も幾らかはっきりしてくる。

 尾根を回り込むと、開けた斜面に出る。その斜面には大きめの岩が散らばっている。ここなのだろうか。でも、やっぱりトポとは符合しない。赤布を辿り、少しその斜面を下って、それらの岩の写真を撮る。

 既に雪は上がっていたが、もう4時である。相棒を遊歩道に残してきてもいる。今回はここまでにしよう。全てを諦め、終わりにした。

 帰りに、来るときに通った持世寺温泉に寄って見る。値段を見に行くと400円とある。戻って、着替えとタオルを持ってきた。

 受付で、ロッカーはお金がいるのか聞いてみたら、10円だという。そして、タオルと石鹸は持っているかと聞く。反射的にハイとは言って見たが、あれ、石鹸は無いのか。まあいいや。おつりを両替してもらい、風呂場に向かう。

 湯船だけの銭湯形式の温泉だった。相棒とは1時間との約束だったので、湯だけで頭を洗ったり、体をこすったりして見たが、とても時間が持たず、40分位で出てきてしまった。

 予定では明日藤尾山公園に寄ってから帰ることにしていたのだが、ラジオの天気予報では、仕切りと山口、広島地方の大雪、雷注意報を伝えている。藤尾山公園は入れるかどうかの確認はまだしていない。平野部でも雪が積もると伝えているから、もしかすると動けなくなってしまうかもしれない。今夜から山口を脱出したほうが良さそうだ。

 そう考え、今夜中に岡山に移動することにした。

 山口から岡山まではおよそ300kmほどある。少し遠いけれど、全て高速で行くまでも無いだろう。

 例により、国道2号線を岡山に向け走り出す。

 途中、食事所を探しながら走ったが、なかなか現れない。そんななか、6時過ぎに、ドライブインが現れたので、そのドライブインに入ってみた。今まで殆どドライブインには入ったことが無かったのだ。

 意外と高くは無い。メニューもいっぱいある。

 食事を済ませ、みやげ物売り場を通って外に出るときに、みやげ物を少し物色して見た。

 黒いTシャツが幾つかかかっている。何の気なしに見て見たら、バックプリントのTシャツがあった。背中を見たら、白い字で「もう疲れました」と書いてある。わっ。これは。即、気に入ってしまった。しかし、サイズを見るとLLで有る。奥に引っ込んでいた店員にわざわざ呼び出し、Lは無いか聞いてみた。調べてもらったら、Mはあるとのことである。そのMも出してもらって、LLとMを交に着て見て、相棒にも見てもらって、迷いに迷って、結局Mサイズを買ってしまった。またTシャツを買ってしまったなぁ。

 そのまま暫く国道2号線を走り、広島の先の西条インターから高速に乗って、来るときに山火事のあった福山SAで就寝した。既に0時を回っていた。


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作成年月日 平成18年 1月16日
作 成 者 本庄 章