ジョシュアツリー

2002年 3月 9日記

 今日は5日目である。

 6時頃目覚める。まだ少し暗いので7時近くまでうとうとする。途中2回ほどパトカーのサイレンの音がする。このモーテルは街道沿いにあるのだ。

 7時少し前に起きる。ジョシュアツリーナショナルモニュメント(これをなんて訳すのかはわからない。国立公園なのか。)のある山の方の空が朝焼けですごくきれいである。(注:ジョシュアツリーナショナルモニュメントは1994年からはジョシュアツリーナショナルパークとなったことが後日判明した。)

 仲間はまだ寝ている。このモーテルはオートロックではないので気軽に外に出る事ができる。ようやく明るくなりかかって来た。やる事も無いから外を散歩する事にする。

 さすが冬だ。外は少し肌寒い。気になっていたコンビニに行って見る。隣の酒屋のような所は既に店を開けている。中学生か高校生位の女の子の二人連れがその酒屋のような所に入って行く。

 ここは幾つかの店が集まった場所になっていて、その外には薬局やFMの放送局みたいな所まで、5〜6軒の店が集まっている。こんどは男の子の2人連れが歩いて来る。なんと半袖のTシャツである。その子達も酒屋みたいな所に入って行く。

 コンビニに近付いて店の中の様子を伺う。すると、酒屋とコンビニは別のように見えたのだが、実際は同じ店であるということがわかった。通りで子供達が入っていった訳だ。

 小生も入って店内を廻って見る。まさにコンビニである。日本と同じである。飲み物やお菓子、鍋まで売っている。雑誌もある。店員が何かを聞いてきたが、何を聞かれたのかわからない。適当に手を振ってあいそうを振りまく。

 ボンズのように値札が付いていないから値段がわからない。今夜の食材はここでも何とかなりそうだと確認しただけで、その他の目的も無かったから、何も買わずにでる。少しモーテルの回りを歩いて部屋に帰って8時頃までまた寝る。

 今日は皆も疲れているので、モーテルをゆっくりと10時頃出発する。

 モーテルから1分か2分で公園への取り付け道路への分岐が有るのだが、その角にマウンテンショップがある。またしてもこの店による。

 仲間はウエアを探している。小生は本を探す。基本的にはビショップの店と同じであるが、本の種類はこちらの方が多いようだ。色々と本を眺める。ボルダリング専門の雑誌の創刊号らしい物を見つける。当然即購入する。店の奥に行くと無料のパンフレットが置いて有る。公園の地図もある。その中から参考になりそうな物を幾つかもらう。

 あまりゆっくりしていても仕様が無いから適当な所で公園に向かう。そこまでは昨夜偵察済みである。

 公園入口で車1台分の10ドルを払う。これは1週間有効だそうだ。大切にしろという言葉とともに赤い紙をもらったらしい。その赤い紙を大切にしまう。

 この入口までは結構登って来るのだが、この入口から先はほぼ平らな道になる。町から見た時は結構山の中なのかと思ったが、実際は山に囲まれた広い盆地というか、高原状になっていて、遠くの方に岩山がそびえているという感じである。

 先ずはヒドンバレーのキャンプ場を目指す。段々岩山が近くに見えだす。所々に駐車場が作ってある。少し左右に曲がる道を暫く走ると、どうやらキャンプ場らしい場所が左手に見える。しかし、そこに入る道がわからない。トポの道となんとなく違う。道がやけに新しい。

 途中の分岐をトポの道の方向に左折して進が、キャンプ場に入るような道は見つからない。引き返して、それらしいダートの道を入ると、確かにキャンプ場の一部のようだが、トポの道とは違う。ダートに入ってすぐに分岐していたので、その分岐まで戻り、反対の道に入ると、その道がトポの道のようだ。ダートの駐車場のよな広場もある。テントが幾つか張って有り、車も何台か停まっている。しかし、その前後がなんとなく違う。

 適当な所に車を止め付近を偵察する。ここは大きな岩山の廻りにボルダーが点在している。ジョシュアツリーは本来はリードのエリアらしい。団長も以前来た時はルートを登ったらしい。

 トポを片手に偵察するが、どれがどの石だかわからない。仲間から少し離れて、少しウロチョロしていたらボルダラーがいたので、トポを示して、それがどの岩だか教えてもらう。トライアングルボルダーらしい。仲間の元に戻ると、仲間はその先のスクールボルダーを見つけていた。

 なんとなく場所がわかったので、その辺のヘンセル・ボルダーやザ・キューブ等を見る。

 朝は少し肌寒い位だったのに、日中は暑い。なんか登る気がしないくらい暑い。従って偵察を続ける。

 ザ・ブロッブというらしい大きな岩山の裏に廻ると大きなきれいな駐車場が見える。そんな駐車場はトポにはない。どうやら最近整備されて新に作られたらしい。どおりで道がわかり辛いわけだ。仲間が、その駐車場に車を廻すと言うので、その駐車場の入口付近まで出迎えに行く。この駐車場はインターセクションロックという岩山とザオールドウーマンという岩山の間に作られているようだ。ということは、公園を走るメインの道路も付け替えられているらしい。本来はこのインターセクションロックの北側を通っていた道は現在は南側を通っている。どおりでわからない訳だ。

 インターロックのボルダリングで登られているクラックを偵察する。5.9、5.11−、B1−の3本が並んでいる。相変わらず高さがある。その壁の近くにはボルダーも幾つかあり、5.9とかの易しい課題が設定されているようだ。

 このインターセクションロックを登っているクライマーがいる。テッペンまで登って、上からザイルを垂らして、地面まで届いているかと聞いて来る。あと1/3位届いていない。しかし、その辺からなら斜めに走るバンドの上に降りて、そこからはやさしい所を地面まで降りられそうだ。しかし、その辺は下から見た感想だから、大丈夫とも言えず、団長が地面には大分届いていないと答える。あと何ヤード位かと聞かれたが、ヤードはわからない。多分大分有ると答えたのであろう。上のクライマーはザイルを引き上げて下からでは見えない所に行ってしまった。多分、その後下に置いてあった彼らの荷物がなくなっていたから、なんとか降りたのであろう。

 ザブロッブという反対側の岩山のクラックにも人が取り付いている。ルートクライマは結構入っているようだ。

 その駐車場への入口を戻って、そのままメインの道路を横切って反対方向に入って行って、タートルロックの駐車場に移動する。

 ここも最近新しく整備された感じである。でも、道の付け替えなどは行われていないようだ。

 タートルロックから少し離れた方の岩を見に行く。多分サタデーナイトライフというランジの課題などを見る。

 タートルロックの近くに移動し、その付近の岩を探す。しかし、大きな岩が多すぎてどれがどれだかわからない。といって、その岩の密度が高い訳ではない。結構点在している。だから、なおさらわからない。

 大きな岩の間を通ってタートルロックの西の方に進む。で、やっとある課題を発見する。近くにまたクラシックカールという星付きの課題も発見する。しかし、そのボルダーの回りには他には目ぼしいボルダーは無い。またわからなくなる。

 そこからまたタートルロックの南面方向に向かって進むと特徴のあるタートルフェースの岩を発見する。もう大分歩いているし、日も少しは傾いたようなので、この岩から登り始めることにする。

 正面のスラブチックなフェイスには8とか10aとかの課題がある。でも、少し高い。仲間2人は左のカンテの5.8の課題を登る。続いて右のカンテを登る。そして、こっちの方がやさしいと言う。やさしい方がいいやと言う事で、小生は右のカンテを登る。裏側の傾斜のゆるいスラブを降りるのだが、例によって、降りるのも少し恐い。

 このフェースには3本程の課題が設定されている。トポによるとカンテから何フィートの所のこれこれのホールドでスタートと書いてある。それにしたがって、カンテから足で計って見ると、記述通りのホールドが存在する。

 仲間2人がフェースの左のカンテから右に6フィートの所から登るタートルフェース左を登る。5.10の星付きの課題である。別のトポだとV2だとか。続いて小生も登る。スラブを直上して、左のカンテにでる課題だ。マットは使わなかったし、スラブだから少し恐かった。

 団長は5.11の真ん中を直上する課題をのぼる。

 右の課題は、右のカンテから8フィートの所から壁を直上し、そのままカンテの途中にでる課題である。ホールドもスタンスも細かく、少し難しい。団長も一度途中で落ちてしまった。

 この課題は小生には一撃出来なさそうだからと、マットを敷いてトライをする。で、やっぱり3回くらいマットに飛び降りる。少し休んで、なんとか登る。結構バランシーな課題だ。

 この岩はこのスラブ壁の左横は下が少し膨らんだ壁になっている。で、そこにもV0からV4の課題が設定されている。その壁のブラッドマントルというV4の課題とウエッジーというV3の課題を見る。なんかV3の方が難しそうだ。出だしにスタンスが乏しく、上の方が立っている。一応団長が登る。やはり易しくはなさそうだ。

 V4と思しき所をやはり団長が登る。ガバホールドで出る所のマントルがちょっと悪いがあとはやさしいらしい。なんか変だ。オンライントポの説明を読み返して見る。スローパーとガバでマントルではなくスローパーでバジルの所をマントルだと書いてある。ガバではなく、バジルだったのだ。V4と思った所はプラシーボV0+の間違いだったのだ。どうも易しすぎる訳だ。

 仲間2人がブラッドマントルに挑戦する。手が返っても、その先足があまり良い所が無いし、何より手が殆ど無い。

 小生はV4と間違えたV0+を登る。最初は足を滑らせたが、2回目には出だしのふくらみを乗っ越し上のやさしいスラブを登る。

 しつこくブラッドマントルに挑戦していたフランス青年が執念でマントルを返し登る。細かいホールドで指に穴が開き、血を見てしまったらしい。それで、ブラッドマントルなのか。その間、団長は近くの10と11を登って来たらしい。

 この岩の裏の岩にも5.9の課題が有り、見に行ったが、高いし降りる方がいやらしそうだからやめる。

 そろそろ日が傾きだしたので、来た道を戻る。途中、来た時に見たクラシックカールという10+の課題を団長が登る。降り口は裏の方を降りるのだが、最後は1.5m位いの高さから石の上に飛び降りなければならない。従って、マットを担いで迎えに行く。

 この課題はカンテを登って行き、途中からフレークみたいなのを使ってフェースに出て上に抜ける課題で、登れたらいいなとは思ったが、少し高いし難しそうだから小生は止める。

 車に戻る途中の駐車場の近くにやさしい課題が有ったはずだと少し探すと、チョークの付いた岩を見つける。高さは3m弱である。途中に水平のクラックが走っており、面白そうだからみんなで登る。

 仲間はホールドを限定したりしてランジでリップを取る。小生は、水平クラックからフレークのガバを使って遠いリップのスローパーを取ろうとしたが届かない。2回目に頑張って、クラックまで足を上げてやっと登る。

 この岩から20〜30m離れた所にトポに乗っているノーハンドトラバースの岩を見つける。その形を見て、ノーハンドの意味を理解する。確かに岩の裾のスカート部分がノーハンドでトラバースが可能なのだ。見学だけに留める。

 フランス青年がサタデーナイトライフという課題を飛びたいとのことで、ここエリアで最初に見たその岩に行く。

 この課題はB1ということで、小生は見学に廻る。フランス青年はこれを一撃する。団長はマットを敷いて飛ぶ。リップに届いてはいるんだがなかなか結局は止らなかった。

 小生はその岩の右側の裏からスタートするフリクショントラバースに挑戦する。岩の途中の外傾したバンドをスメアでトラバースする課題である。先ずマントルでその狭いバンドに立たなければならない。これが少し悪い。バンドに立ったら、乏しいホールドで、左の方にトラバースして行き、カンテを廻りこんで、サタデーナイトライフの面の右のカンテの手前で終わる。カンテを廻りこんで1m位の所で、外傾バンドが終わるので降りる。そこからあと1m位でサタデーナイトライフの右のカンテだから、本来はそのカンテまで行くのであろう。

 なんとなく足が痛い。良く見ると張り替えミウラを履いていた。そのせいでフリクションが効いたのだろうか。そんなことも無いとは思うが。

 車でキャンプ場のオールドウーマンの岩まで戻る。ステムゲムをやるつもりである。しかし、そこには人がいたので、手前のトライアングルボルダーのダイナモハムを登る。仲間2人は登ったが、難しそうだから、小生はその右となりのオルドクラッシックトライアングルを登る。

 高いし、疲れてもいるから、マットをしっかりと敷いて登る。最初は出だしで足を滑らせてしまって、一撃はならなかったが、そして、少し遠いホールドを取るのに足を少し高く上げ過ぎてしまってきつかったが、2回目に登る。下りは裏のスラブをカンテを使って降りる。やっぱり降りるのもやさしくない。

 人がいなくなったから、さっきのステムゲムに行く。

 この課題も初日のバターミルクに有ったような、開いた凹角の壁を両手で突っ張って足を上げて行く課題である。

 肩を入れて開いた両壁を突っ張って足を上げるのだが、足が滑るし、手に力は入らないしで、全く登れない。仲間も結局登れなかった。

 横の岩のマントルを触って見る。被ったリップに左足のヒールフックで登れるかもと思ってやって見たのだが、小生にはマントルが返らない。フランス青年なら出来るかもとやってもらったが、彼にも難しいようだ。足は何とかかかったようだが、右手がスローパーで左手が無いからマントルが返せないらしい。結局登れなかった。ちなみにステムゲムが5.11+/B1−、ステムゲムマントルがB1+だとか。V3とV5らしい。そんあぁー。

 岩の前の広場ではクライマーらしい人が綱渡りをしている。実際は綱ではなく、テープを使っていたのだが。

 少し雲も有ったせいか夕焼けがやけにきれいだ。既に薄暗くなってしまったので本日は終わりとする。

 ここジョシュアツリーには大きなスーパーはないとのことだったので、ビショップで少し多めに買い物をして来たし、明日はユッカバレーのスーパーに行くことにしたので、今夜は適当なもので夕飯を済ませ、パームスプリングからのテレビ番組を適当に見て寝る。

 そういえば、今はソルトレイクオリンピックの真っ最中だったなぁ。テレビでもそんな場面がいっぱい出てはくるのだが。

 第6日目である。

 9時頃モーテルを出て、昨日気になった物が有ると言う事で、また昨日のマウンテンショップに行く。

 昨日そこでもらったメトリウスのカタログにマットのプラスティックのバックルに変えて使うおしゃれな金具が載っている。じつはプッシャーの同じような金具が欲しくて探していたのだが見つからなかったので、少しがっかりしていたのだが、こちらのメトリウスの方が格好が良さそうである。

 この金具がぜひ欲しかったのでショップでカタログを示して聞いて見たら有ると言う。団長に色々聞いてもらったら、マットが有ればくれるという。壊れていなくても良いようだ。早速自動車に積んであったマットを持って来て4個をもらう。

 見るとやっぱり格好良い。プッシャーのマットにも使いたいと、また団長に頼んで売ってもらえないかを聞いてもらう。お店の人がどっかに電話して、けっこう長く話していたのだったが、1個2ドルで売ってくれると言う。団長が4つ、小生も4つ買ってしまった。

 マウンテンショップの向いが土産物やらしいのでのぞきに行く。こちらの店でも土産物の他にクライミング用品も売っていた。

 ジョシュアツリーのトレール用のガイドブックがあって、それに公園内の細かい地図が載っていたので欲しくなったが、小さい割りに少し高かったので、後ろ髪を引かれたが買わなかった。今考えると買っとけば良かったと後悔しているが。

 予定通り、明後日はもう帰国の日だからと、そのままユッカバレーのボンズに行く。食料もだが、土産を買うためでもある。

 ユッカバレーは隣の町だが、ボンズが町外れだったのか、意外と近かった。

 ボンズに入ると、なにやらきれいな飾り付けがしてあり、チョコレートケーキ等が売られている。そうか、今日はバレンタインデーだったのだ。

 土産はクッキーでもと思っていたので、クッキーを探す。適当なのを見つけ5つほどかごに入れる。仲間の所に行くと、仲間はフルーツゼリーの様な物を選んでいる。やっぱりボンズブランドである。そちらの方がガサが小さい。小生の選んだクッキーはガサが大きい。持って返るのにガサが小さい方がよいと、仲間と同じ物に乗り換える事にする。

 明日のロサンゼルス、及び明後日の空港近辺を車で走るのに地図が有ったらと地図を探す。が、世界地図とか全米の地図とかばっかリで、ロス周辺が大きく出ている地図が見つからない。仕方が無いと諦めてぶらぶらしていたら、別のコーナーにカリフォルニアの地図帳が置いて有る。ジョシュアツリーの地図も有った気がするが。見るとロス空港付近の大きな地図も載っている地図があった。。その地図を見ていたら、団長もやって来る。結局2人でその地図をそれぞれ買ってしまった。

 買い物を済ませ一度モーテルに戻ってから、再度出発する。既に1時になっていた。まぁ、昼間は暑いからと言う事でそうしたわけだが。

 今日はバーカーダムに行くつもりである。だが、その詳しい地図が無いし、道もなんだか変わっているので、行けるかどうか心配であったが、道標に従って昨日間違って少し走った道を進とベーカーダムの駐車場に着く事ができた。

 駐車場から道標に従って歩きだす。大きな岩の回りを一周する道である。一周に1時間位掛かるらしい。まぁ、観光だからと言うことで先に進む。ここは何だか少し木が多いようだ。しばらく行くと少し開けた所に出て、遊泳禁止の立て札がある。そうか、このダムという言葉はダムのダムだったんだ。まさか、こんな砂漠みたいなところにダムがあるなんて思わなかった。初めて気付く。ということはそこはダム湖なのか。今は水は全くないが。道理で木が他より多いわけだ。

 石伝いにダムサイト、といっても何にも無いただの道だが、を行くとダムが現れる。堰堤と言った方が良いのだろう。高さはせいぜい2〜3mか。長さも10mも無いくらいだ。はたしてその上を歩ける厚さが有るのだろうかと思ってしまうくらいに薄い堰堤である。その内側には確かに水が溜まっていた痕跡が残っている。やっぱりダムなんだ。

 ダムを離れて、大きな岩を廻りこんで行くとピアノロックが現れる。大きな岩だ。確か課題は殆ど無かったと思うが。やっぱり観光地なのだろう、結構多くの人がその道を歩いている。そして、3人の大きなマットを不思議そうに見る人もいる。ように感じたのだが。

 ザ・チューブという課題を3人で登る。壁の真ん中を斜めに走るクラックというかフレークを使う課題だが、フレークの最後のホールドからリップが少し遠く、リップのホールドも下からでは何処が効くのかわかり辛い。団長が場所を教えてくれたので、一応一撃する。最後はマットに飛び降りる。

 大きな岩の側壁にあるハイヌーンという課題に行く。二段に走る水平クラックから上の少し斜め横に走るクラック、その右上の縦リスを使ってリップに飛ぶという課題のようだ。チョーク跡やホールドとなりそうな物はそれくらいしか無い。

 まず団長がその横の方にあるザ・コーナーとかの5.8の課題を登って上を偵察に行く。この課題は側壁の凹角にあるクラックを登る課題だが、ジャミングは殆ど必要無い様だ。

 このハイヌーンという課題、Rマークが付いている。ということは危険ということだ。確かに高さは少しあるが、下地は砂ですごく良い。

 仲間2人が取付いて、縦リスを取りに行く。このホールド、どこが効くのかわからないらしい。基本的には殆ど効かないらしい。2人ともなかなか飛ぶ体勢になれない。

 小生は、途中まで続くその下のクラックを使って10〜20m位続く壁をトラバースするガンスモークトラバースという課題を触って見る。左から出発したが、途中1/4位の所で次のホールドに届かず落ちる。そこだけを何回かやってみたが、結局遠くて届かなかった。

 団長がやっと決心が付いたのか、マットを敷いてハイヌーンを飛ぶ。リップに手が掛かる。がそのまま落下する。

 ヤバイ。右足がマットから外れた。そこは石だ。案の定、右足をその石に強打したらしい。大分痛そうだ。歩くのには大した支障は無い様だが。一応立って歩けるので安心する。

 この課題のRはそういう事だったのだ。見た目よりも高さが有って、振られて落ちる先が大分先になるのだ。そして、その落ちるであろう場所に小さな石があったのだ。

 その後、もう一人の団員が、普段使わないマットをその石の上に被せ、これも殆どしたことのないスポッターが2人ついて、飛んだが、やっぱり思い切って右手を効かせては飛べなかったらしく、あまり振られる事無く無事に落下した。

 さっき偵察したストリートカーネームドデザイアという課題の岩に戻る。この課題もステミングの課題だ。その外に走って来てリップに飛びつくのもあるらしいが、それは相当にリーチが無いと駄目のようだ。

 もう一人の団員が取付く。なかなか離陸が難しいようだ。団長が取付き、離陸する。で、飛び降りる。が、足に衝撃を与えると相当に痛いらしく、飛び降りることは無理のようだ。

 小生は、その右の壁にチョークが着いていたので、そこを触ってみる。特に課題ということではないようだが、すごく細かいホールドで、悪いバランスで壁に張り付き、次の悪いホールドを取る。そこまでチョークがある。その先はホールドらしいものは見当たらない。そこまでを何回か挑戦する。色々バランスを調整し、ホールドの持ち方を工夫してやっと離陸する。そして、クロスで次のホールドを取る。それが、触るだけで持てない。

 さっきのハイヌーンの方で何やら大勢の人の声が聞こえて来る。見るとクライマーの一団がハイヌーンに取付いている。ヘルメットを被っているからルートを登りに来た人達なのだろう。

 仲間はスタティックに取っていた上のクラックのホールドを下から飛びついている。あれなら危険はないだろう。

 多分その仲間の人だろう二人連れが我々の所に見学に来る。で、何かを聞いて来る。団長が何か答えてたが、どういう事だか良くはわからない。後で聞くと、写真を撮っても良いかと聞いたのを写真を取りましょうと聞き違えて、その必要はないと答えてしまったらしい。それで最初はなんか変な顔をしていたのか。

 その一人が、自分達はV0クライマーだと言ったので、私も同じだと、自分では言った積もりだったのだが。彼らは、我々を暫く見学して、写真を撮って帰っていった。

 結局完登ならず。折角降り口にマットを用意していたのに。

 小生もマイクロホールドを使って離陸に挑戦する。しかし、離陸出来なかった。

 フランス青年は、相当に打ち込んで、結局2〜3回飛んで諦める。

 その後モーテルに直行し、レンタカー屋を先に買った地図で探す。地図には番地も入っているので、レンタカー屋の住所を調べたが、営業所の住所はない。

 実はレンタカーを借りた時に、その営業所の付近の地図をもらわなかったのだ。カウンターに置いて有ったのは見ていたのだが、当然くれた書類の中に入っていると勘違いしてしまったのだ。そんな訳で、朝10時頃出発の飛行機に乗らなければならないので、レンタカー屋の営業所までそんなに迷っていられないのである。それで、必死で地図を調べていたのである。

 仕方が無いから地図で確認する事を諦め、明日の夜に営業所を確認しておく事に決める。

 明日は8時頃にこのモーテルを出て、ロスアンゼルスに移動し、ストーニーポイントに行くことにして、荷物をまとめて寝る。


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作成年月日 平成14年 3月 9日
最終改定日 平成14年 3月21日
作 成 者 本庄 章