伊豆大川のボルダーそして城ヶ崎新エリアのボルダーに行ってきました

2007年 3月14日記

 土曜日の日に、またも相棒と二人で伊豆のボルダーに行って来た。今度は大川というところのボルダーである。そして、生まれて初めての、ボルダリングのスクールであった。

 金曜日の夜11時前に家を出発し、前回と同じく、東名、厚木小田原道路を使って、伊東に入った。今回は、小田原東ではなく、小田原西出口で厚木小田原道路を降りることが出来た。といっても、既に夜中の1時近かったから、例え小田原東で降りても、前回ほどのロスにはならなかったとは思うが。

 相変わらず、真鶴道路、熱海ビーチラインは迂回して、国道135号線を走っていった。無論、熱海市内も、駅前を通る道には入らず、海岸沿いの道を走っていった。

 今回の宿泊場所である前回泊めてもらった所に着いたのは2時ちょっと前だったので、そのままそこで朝まで仮眠させてもらった。今回は風は無く、健やかに眠ることが出来た。自ら持参したモコモコの暖かい羽毛シュラフに包まって。

 朝、8時に起床し、持参した朝食を食べ、9時頃宿舎を出発した。

 途中のコンビニで昼食を購入し、今回の待ち合わせ場所である伊豆高原駅に向かった。

 事前の調査では、伊豆高原駅は、改札口は一つだが、駅舎からの出口は2箇所あることになっており、自動車を停められそうな駅前広場は2箇所に分かれていた。待ち合わせ場所は改札口ということなので、はぐれることはないが、講師の自動車の後ろに付いて行く関係から、出来るだけ講師が自動車を停めた場所に近いところに停めたかったのだが、講師はそのどちらに停めるかは分からなかった。行く場所が、熱川方面だから、多分南側の広場だろうと、そちらに入る道に入っていった。

 国道135号から駅方面に左折し、線路沿いに駅前に行くと、そこは駐車場になっており、ゲートが設置されていた。一瞬有料かと思ったが、入り口には、1時間だか2時間は無料となっていた。

 ゲートで駐車券を取り、駐車場に入ってゆくと、直ぐに講師の自動車が見つかったので、その横に自動車を停めた。因みに、待ち合わせ時間にはまだ15分ほどあった。

 挨拶をし、少しお話をしていたら、時間になったので、講師は他の講習生を迎えに行った。

 暫くして、4人ほどの講習生と共に講師が戻ってきたので、近づいてゆき、挨拶をした。

 場所は、最初は白田川ということだったのだが、何人かの講習生が既に行ったことがあるということで、今回は大川というところになったのである。そこは、講師のブログによれば、最近見つけたボルダーエリアらしい。

 ちょっとしたスペースに自動車を停め、沢に降りると、沢床には小さめのボルダーがゴロゴロしていた。

 沢を渡って、適当な岩でアップする。その時、講習生の一人が沢に落ちた。それを見て相棒曰く、最初じゃなくて良かった。今までは、沢に落ちるのは、いつも相棒だったのだ。

 また少し移動して、小さな石のマントルに挑戦する。

 この石、丸っこい小さな石で、高さは2m無いから、リップでスタートするのだが、そのホールドがすごく細かいのだ。おまけに、左手はずっと左の方だから、横引きで身体を上げなければならないのだ。

 左手があまりに左だから、近くのリップに痘痕程度のホールドを探し出したり、右手も、大して変わらないホールドだったから、いくつかの僅かな凹みを探してみたりしたのだが、結局離陸が出来なかった。確か、講師も一撃ではなかったから、易しい課題ではなかったようだ。

 沢を少し登って行ったら、少し大きめの岩が出てきた。といっても、高さは2mちょっと。リップに僅かに手が届かない、という感じだ。幅は3mか4m近くあるから、見た目は大きな岩だ。その岩の地面からほぼ垂直に立ち上がっている、浅めのポケットがいくつかある壁を登ってみた。

 先ずは、リップ直下のカチホールドを左手で持ち、右足に立ってリップを押さえる。リップ奥にはホールドがあるから、後は簡単なマントルで上に立てる。つもりだったのだが、やってみたら、持てると思った左手が悪かった。真っ直ぐ上のリップのホールドを探ってみたが、みな最初以上に悪かった。仕方がないから、また左の方の少し離れた最初のホールドで離陸を試みたのだが、足が地面から離れなかった。

 他の講習生は皆抜けていった。講師も、当然抜けていった。小生の番になった。

 左手のホールドをほんの僅か上にずらせて見た。なんだか少し持てた。離陸したら、足が上がった。あとは適当に足もあるし、手もあったから、何とか上に抜けた。良かったぁー。

 皆がトライしている間に、その壁の右の方も登れそうだったので、岩を少し磨いてみた。そこは、高さが少し低くなるから、いきなりリップの浅めのポケットホールドに手が届く。先ずその辺のホールドを磨きだした。次はスタンスだ。これも、適当に使えそうなところを磨いておいた。

 離陸してみた。出来た。次の手だ。リップの奥にホールドに成りそうなところがありそうに見えた。しかし、足はよくないから、スタティックには手は出ない。適当に手を飛ばしてみた。止まらなかった。

 リップ奥のホールドになりそうな場所を確認しなおしたら、ガバだった。その場所をしっかりと確認し、もう一度やってみた。リップ奥に手がしっかりと掛かった。やったー。

 先に登った所を講師がSDで登ったので、真似をしてみた。

 右手はそこそこ持てる浅めのサイドチックなポケットだ。左手もちょっとした浅めのポケットで、地面すれすれのやはりポケットチックなスタンスで立ち上がり、左手の最初に持ったリップ下のホールドを取りに行く。そこが取れれば、後のムーブは大体同じだ。と思ったのだが、ホールドを地面から持つのと岩の壁の中から持つのではやっぱり違う。僅かに掛が少し良いところに届かず、ダイクの淵みたいなところにしか手が届かなかった。

 他の人はというと、最初のスタンスに立つのが難しいようで、大半の人は次のホールドまで届かなかったようだ。

 次にやったときは、なんだか簡単に左下のホールドに手が届いた。どうしたのだろう。良く考えたら、左足の踵が地面に触っていた。道理で。

 結局、皆で2回か3回ほどトライしたが、小生も、まぁ、たとえ左リップ下のホールドを取ったとしても、足があまり良くないから、次のスタンスに足を上げるのが難しかったので、あまりしつこくはトライしなかった。

 次の課題は100mくらい上流に登った所ということで、皆で荷物を持って移動していった。

 その場所は、沢が少し広くなったところで、その沢床の右岸の藪の中だった。

 途中、ちょっとした流れを渡渉しなければならないのだが、そこでも一人靴をぬらしてしまったようだった。

 目指す岩は講師のHPに写真が載っている岩だった。高さは3m位いか。全体がスベスベな感じの、少し寝たスラビーな岩だ。左の方が少し高くなっている。まず、その左の方の高いスラブを登ることとなった。

 右側には僅かなダイクというか出っ張りというか、そんな僅かな膨らみが縦に走っている。所々ホールドになりそうな僅かな凹みもある。一見易しそうに見えたのだが、取り付いてみたら、足が結構スリッピーで、見た目ほど易しくはなかった。

 その課題、若い人は意外と梃子摺っていた。やはり、スラブは慣れが必要ということか。一緒に参加した、女性は難なく登っていた。

 対岸から一人の小父さんが降りてきた。講師は顔見知りの近所の小父さんらしい。見学に来たらしいのだ。豊田でもそうらしいが、それなりの歳の人がボルダリングをしていても、地元の人たちは、そう訝しくは思わないようだ。

 次は、その面の右の、左斜め上に走るヘアラインクラックというのか、僅かな溝の右側の、やはりスラビーな面だ。出だしの1m弱が被っているし、ホールドはその斜上する溝の淵の僅かなアンダー気味のカチしかない。地面からだと離陸が物凄く難しいので、マットを2枚重ねて離陸を試みた。

 若者は何とか離陸し、リップを押さえるのだが、小生には離陸が出来なかった。女性の方も離陸が出来なかった。で、マットが3枚重ねられた。しかし、小生はやっぱり駄目だった。

 対岸に、やはり講師のHPに動画が載っていた、マントル課題のある岩がある。そちらに移動することになった。

 動画では、何となく低い、チンケな岩に見えたのだが、実際に見てみると、結構格好の良い岩だ。高さは3mくらいある。下2/3くらいは結構被ったスパッと切れた感じの面になっている。リップは右下がりだが、リップの淵から20cmか30cmくらいのところに結構かかるリスが走っている。そのリスの一番かかるところを持って、下の被った壁のちょうど良いスタンスで離陸し、リップに右足をフックしてその足に乗り込むと、岩の天辺のリップを右手で取れる。そんな岩だ。

 講師のHPの動画は、その岩の下にもぐりこんでいる、左側の岩の上から撮影したらしいので、下部の被ったきれいな面が全く見えていないのだ。それで、なんだかすごくチンケに見えていたようだ。但し、残念ながら、現在ではその動画は氏のHPからは削除されてしまっているので、見ることは出来ない。

 その岩の、そのマントル課題を見て、笠間の「ハングマン」に似ていると言った人がいたが、下部はハングマンよりも被っており、上部はハングマンより立っている。リップもずっと鋭角だ。それに、中ほどのリップは左上がりになっている。その為、フックを掛ける位置がハングマンよりは低くて済む。

 両手でリップのカチを持ち、右足をリップに上げてみた。何とか上がりはしたが、その足には全く乗り込めなかった。

 ほかの人達も、程度の差こそあれ、大体おんなじ感じだった。講師は右足のトウに乗り込んで天辺を取っていたのだが、何回かやっているうちに、我々にはトウよりヒールの方がいくらか右手が出るのではないかということになってきた。

 ヒールで、少し勢いをつけて両手を引き付けて乗り込んでいってみた。何となくヒールに加重が出来たような感じになった。しかし、右手ははるかに届かない。講師が身体を反らせろとアドバイスしてくれていたので、背中を一生懸命そらそうとしてみたが、力が尽きてしまった。

 講師いわく、背中を反られるのではなく、肩の辺りを反らせる感じで右肩を上げるのだ、と。では次に、と思ったのだが、次に足を上げるだけの力は残ってはおらず、試技はそれでおしまいになってしまった。

 最後に、講師が講習生が登っている写真を撮るというので、天辺のリップ辺りに手は出ていたのだが、あと少しで取れなかった若者が、トライすることとなった。ヒールをかけ、左手を引き付け、右肩を上げていったら、天辺のリップが取れた。登れたのだ。良かった良かった。

 このエリアは、登れる岩がそんなに多くはないらしい。既にお昼も回っていたので、次の海岸のエリアに移動することとなった。

 帰りは、おじさんの降りてきた側壁を登り、平らな草原を横切って、直ぐに道に出ることができた。

 登ってきた道とは違う道を下り、135号の裏道を使って、八幡野辺りから海岸方面に降りていった。行く先は、講師の見つけた海岸ということだった。

 自動車を停めた場所から、住宅街を歩き、なんだか人の家の畑に入ってゆく感じの細い道を歩き、なんだか学校みたいなところの横を通り、林の中に入っていった。途中、石碑や指導標等もあったから、一応遊歩道になっているところだったのかも知れないが、なにしろ、細い入り組んだ、ガチャガチャした道から、遊歩道のような踏み跡を抜けていった。

 海岸に出ると、観光客みたいな人達が増えてきた。途中、中高年というより、高年者のハイキングの一段に出くわした。すれ違うときに、我々の大きなザックを見て、縦走してゆくのですかと聞いてきた小母さんがいた。サンダル履いて縦走でもないだろうとは、若者の弁だった。因みに小生は運動靴を履いていた。

 なんだかどこをどう歩いたのか、歩いたときは指導標の地名等を覚えていたのだろうが、今となっては殆ど思い出せないのだ。いわゆる○○が始まってしまっているのだ。いやだなぁ。

 遊歩道の直ぐ脇から少し急な踏み跡を降りてゆくと、ボルダーがいくつか転がっている、きれいな浜だった。

 皆は昼ごはんを食べ始めたようだったが、小生は自動車の中でパンを食べたので、少し浜をぶらついてみた。

 浜には海に向かって左手から急な踏み跡を下りてきて、少し右に向かってなだらか広場のようなところを下りてゆく。浜の海に向かって右手は結構高い崖になっていて、その崖の先の海には隣の浜の出っ張った岩礁が見える。その岩礁の上には、釣り人の影も見える。崖の手前は砂利の浜になっていて、大き目の石が転がっている。しかし、ボルダリングの対象となりそうな石は殆ど無い。ボルダリングの対象になりそうな岩は、降りてきた辺りの岩盤の上とか潅木の中に点在している。そんな感じの浜だった。因みに、講師に窺ったところ、崖の先の岩礁は、橋立とのことだった。

 最初のターゲットは、ぼこぼこの岩の上に乗った、少し大きめの岩だった。といっても高さは3mかそこらだが。この岩も下半分ほどが135度くらいで被っていて、上は45度くらいの壁になっている。その面の左の、僅かに被った面のちょっとしたバンドからスタートして、その右の面の真ん中辺のリップを使って少し右にトラバースし、そのハングを乗っこしてゆくという課題を登ることとなった。

 何人かの試技の後小生の番となった。

 バンド左手、右のリップの左端辺りのカチを右手、左足をずっと左の方のリスに突っ張って離陸し、右手をリップに飛ばした。続いて、そのリップに両手をマッチしたら、足ブラになってしまった。それでもかまわずに、右足を右の方のカンテにフックして、そのまま少し寝ているそのカンテに乗り込んでいったら、右手が出た。そのままリップの左手を返し、膝を使ってマントルしてしまった。ということで、一応は登れた。

 同じバンドで離陸し、その面を直上するラインを講師が登ったので、真似をしてみた。

 離陸は同じホールドである。その後は、左手のホールドのバンドの左側に左ヒールをフックし、左手で左上の寝たカンテというかリッジというかを取りに行く。

 やってみたら、カンテに手は出るが、講師が持ったところまでは届かなかった。少し粘ってそのカンテの左手を飛ばしてみたら、なかなか手が上がらなかった。その後、2回くらいやってみたが、全く駄目だった。

 講師が、小生のホールドの保持の仕方を見て、虫様筋を使っていないと指摘してくれた。特に人差し指を使っていないらしい。虫様筋とは、カチもちでは殆ど使うことのない、手のひらの筋肉らしい。つまり、小生はカチ持ちしかしないということらしい。それで、体重が増えると登れなくなるし、スローパーなども弱いらしいのだ。地面の岩角で、その虫様筋の使い方を色々と教わってしまった。

 それからまた、人差し指と親指の又のところを揉んでくださった。それで、また一段と虫様筋が使えるようになるらしいのだ。続いて、女性の方も同じところを揉んでもらって、トライしてみたら、今まで持ちにくかったホールドが持てたらしい。筋肉を揉み解すだけでホールドが持てる様になるらしい。

 講師が、先ほど直上した面のスタートに使ったバンドの左の方のもう一段下のバンドからスタートし、その面をトラバースして最初の課題に繋げる課題をやって見せてくださったので、皆で、その課題をやってみた。

 そのスタートのバンドは、リップが直角の幅は10cmくらいある、僅かに外傾した、どちらかというとスベスベしたホールドだ。まさに虫様筋を使うホールドだ。そのホールドを左手で持って、右足で離陸し、身体を斜めにして、右の遠い目のカチを取りに行くところが最初の核心である。

 皆、最初はそのカチが取れなかった。小生も、近くまで手は出るのだが、少し届かなかった。

 2回目のとき、右足を少しキョン気味に場所を決め、左足を左の方の突っ張って右手を出したら、カチが取れた。次はどこだ。実は、その課題を講師が登ったところを見ていなかったので、その先どう行くのか全く理解していなかったのだ。というか、講習生が誰も取れていないそのカチが、まさか取れるとは思っていなかったのだ。まさに、講師に、虫様筋を揉み解していただいた成果ではあったのだが。

 足を体の下に移動し、左手を、ホールドが判らないまま、適当に出したら落ちてしまった。

 次の試技で、そのカチから身体を動かしたら、疲れていたのか、やっぱり落ちてしまった。

 講師が、この浜に最初に降り立った辺りの、下地の悪目の岩にトップロープをセットしてくださったので、皆でハーネスを付け、そちらに移動した。といっても、最初に触った岩の直ぐ後側という感じのところではあるのだが。

 この岩も下部2/3くらいのツルッとした面が被っている岩だ。全体的に、何となくツルッとしている。

 先ず、若者がトライを始めた。

 右よりのリップが右下がりになっているところのリップの上のホールドで離陸したら、すごく簡単だったらしい。あまりに簡単すぎるということで、続けて、その面の少し左よりの、リップが水平になったところを両手で離陸するラインを登ることとなった。

 そのラインは、リップに両手で離陸した後、上の少し寝た面の縦に走るカンテを取りに行くのだが、横引きのカンテだから、効かすことが難しいようだった。次の若者は、左側のガチガチした面のホールドを使って、少し左の面に入り、上に行ったのだが、そのガチガチした面の上の方のホールドを使うと易しくなってしまうので、そこは限定ということになってしまった。

 小生は、少し左に寄って、右手はリップ、左手はそのガチガチした面の右手のリップくらいの高さのホールドを使って離陸し、リップ上の右の方の横引きのカンテを右手で効かせて左足を上げ、横引きカンテの上の方を左手で取った。右手をリップ上にオポジションしたら、バランスは少し悪かったが、右足がリップ近くに上がり、リップの上に立つことが出来た。何時もの様に、そのまま上に抜けようとしたら、トップロープの支点を越えてしまい、ロープで引っ張られて、止められてしまった。あれーっと思ったら、講師が、そこから降りるように言ってきた。そうか、トップロープだったのか。そのままロープにぶら下がって降りてきた。

 その課題、小生のように、左の面のホールドを使って、少し左寄りから出ると、右足のスタンスは変わらないのだが、体が少し左に寄って、横引きのカンテが持ちやすくなり、少し易しくなる。しかし、講師の考えた、横引きのカンテは横引きで使うから、ギリギリ良しというところだったようだ。

 次は、その面の真ん中辺を真っ直ぐ登るラインを登ることになった。講師は、左手はリップ、右手はリップの上のポケットチックなホールドで離陸し、左手を左上のやはり浅くて大きなポケットチックなホールドに移して、そのホールド付近に両手を寄せ、少しレイバック気味にリップの上に立った。

 真似をしてみたら、左手のポケットチックに見えたホールドの淵が全く指にかからなかった。左手はリップの縦に効くホールドを持ち、右足は右のリップの上に上げていたから、講師よりは身体は上がっていたはずなのだが、その左上のホールドが持てるようには思えなかった。下から見ていると、結構なガバに見えたのだが。

 結局そのラインは講習生は誰も登れなかった。既に4時近かったので、おたつ磯の悟空ハングに移動することなった。

 吊橋を渡っているときに、橋の下の方を眺めてみた。そこは、たしか何年か前に来たことのあるファミリークラックエリアのはずだ。改めて橋の上からエリアを眺めると、この吊橋はエリアの真上を横切っていたのだ。この下で遊んでいたときは、吊橋のことは殆ど意識になかったように覚えているのだが。エリアにはクライマーの影は見えなかった。

 おたつ磯は、降りやすい磯だった。

 悟空ハングは、一目でそれと分かる、ルーフを持った立派なハングだ。当然トップロープでの挑戦であった。

 まず、講師の模範演技である。ルーフのホールドで離陸し、リップを取って、両手マッチし、ルーフを越えてゆく。城ヶ崎屈指のボルダリングの課題らしい。グレードはトップロープで11+とか。講師のムーブを見ていたら、どう見ても、11+には見えなかったのだが。

 講師曰く、近年にない下地の高さだとか。いきなりルーフのホールドで離陸が出来るということは、近年ではなかったことらしい。トライするなら今といわれたが、小生には未だトライする資格が備わっていない。もったいないが仕方がない。

 いよいよ小生の番になった。先ず離陸が不安だった。ルーフのホールドだ。恐らくそんなガバではないはずだ。案の定、指の第2関節がかかるかかからないかだった。折角だからと、何とか手順を考え、左手でそのルーフのホールドを持ち、足を上げていった。手は左手を中心に一応は両手ともホールドを持っている。足を決め、右手をリップまで飛ばしてみた。指がリップを叩いた。止まった。しかし、もっと右、もっと右という声が飛んでくる。確かに係りは悪いような感じだった。思い切って、少し右寄りに手を飛ばしてみた。落ちた。右は右だが、少し上を叩いてしまったらしい。

 少し休んでまたやってみた。リップを叩くどころではなかった。

 今度は少し長めに休んでみた。

 リップの位置のマークを確認し、手を飛ばしてみた。止まった。今度は位置は良いようだった。ガバか。ガバといえばガバかも。ほんの少し持ち直し、足を上げていった。講師のムーブは、ルーフの真ん中のちょっとした出っ張りと右カンテを両足で挟み込むというものなので、それをまねようとしたのだが、体がほぼ水平になってしまうから、小生にはきつい。おまけに一気に両足で挟まなければならないらしい。そんな勢いは既に残ってはいなかった。

 既に5時だ。でも、仲間は、その横のワンポイントジャムという課題に挑戦し始めた。10aらしいのだが、どうしても出来ないからと、講師にムーブを教わっていたらしい。小生にはそんな余力は残っていなかったので、帰り支度をしていたら、先に帰っても良いと言われたのだが、道が分からなかった。結局皆の試技が終わるまで待っていた。

 自動車を置いた所は、そこから10分くらい歩いたところだったので、自動車の運転手であった講師と小生だけが自動車まで戻り、相棒も含め、ほかの人達とは橋立の昔の駐車場の付近で落ち合うことになった。

 なんだか細い道をくねくね走っていったら、皆が待っていた。

 相変わらず、小生のカーナビはおかしな表示になっていたので、講師の自動車よりも少し早めに出発したのだが、途中曲がり角を直進し、講師の自動車の後ろを走ることとなってしまった。

 面倒くさいから、そのまま講師の自動車の後ろを走っていったら、講師の自動車は、朝の待ち合わせ場所であった、伊豆高原駅の駐車場に入っていった。Uターン禁止との注意書きがあったから、仕方なく、一緒に駐車券をとって駐車場に入り、一回りして駐車場をでた。

 そこからは道は分かる。出口のところを直進した講師の自動車とは別れ、国道に登って行った。既に回りは暗かった。

 朝の待ち合わせの時に、翌日曜日のスクールは日蓮崎の予定だったので、初心者でも大丈夫か聞いてみたのだ。すると、大丈夫、アプローチも歩いてゆけると言う事だったので、翌日曜日もクラック講習を受けることになっていたのだ。

 夕食は、折角だからと、川奈の近くの磯料理屋で少し豪華な夕食にすることになっていたので、その、味噌汁で有名なお店に直行した。

 そのお店は、結構混むお店らしい。少し覚悟して行って見たら、やはり手前の駐車場は一杯だった。そのお店は、実は2軒あって、手前の駐車場が一杯の店は以前来たことがあったのだ。ということで、奥のもう一軒のお店に行ってみた。駐車場は空いていた。

 お店に入ってゆくと、一階には待合所のような場所があり、そこから階段を登ってゆくと広い座敷になっていた。客は数人だった。その店の営業は8時までで、行ったのは7時頃だったから、この店が混むのはどうやらお昼のようだった。そういえば、以前来た手前の店も、そう混んではいなかった記憶が。

 本当に久しぶりに、結構値の張る散らし寿司定食を堪能した。当たり前だが、牛丼とは気分が大分に違っていた。

 別に登れたわけでもなし、これといって祝うことも無かったが、偶には良いものだと、相棒とうなずきあってしまったのだった。って、大して散財したわけでもないのだが。ささやかな庶民のお祭りだった。

 一応ボルダリングの報告はこれでお仕舞いである。あとは付録である。

 翌朝、城ヶ崎海岸駅で待ち合わせ、日蓮崎に行った。城ヶ崎海岸駅では、懐かしい人に会った。というか、その人も同じ講習生だったのだ。以前同じジムで登っていて、小川山や御岳などで一緒に登っていた仲間だった。

 日蓮崎の前に、オーシャンに寄って、ホッテントットだかなんだかのルーフクラックを触ったらしい。って、小生も一応は触ったのだが。

 最初、オーシャンが日蓮崎だと思って、持参したトポとあわせてみたのだが、なんだかよく分からなかったのだ。その時は、ルートのトポを見るのも何年か振りだからと思っていたのだが、実際は場所が違っていたのだから、合うはずはなかったのだ。うーん、もぉーいやだ。

 日蓮崎では、トポは実際と良く合った。当たり前だ。

 そこには先客が何人もいたので、インディアン・ドール、イブ、スーパーシリアスジャムの順にやったらしい。当然トップロープでだ。で、当然、2手目までも進めなかった。10d、10d、10cらしい。初心者のグレードではなかったようだ。

 とまぁ、実際はそうだったのだが、実は、その日は全身筋肉痛だったのだ。講師も、筋肉痛が出たといっていたから、前日のボルダリングは結構きつかったようだ。小生はあまりそうは思わなかったのだが、登れるか登れないかのグレードを沢山登ったからと講師に言われ、それもそうかと、少しだけ納得したのだった。とまぁ、何時もの言い訳ではある。

 夕食は、何時ものスタイルに戻り、牛丼屋で済ませ、宿で少しだけ仮眠した後、10時頃に出発した。

 時間が時間だけに道は空いていた。

 小田原からは、そのまま国道1号を走り、茅ヶ崎の方に走っていった。しかし、その先のルートが良く分からなかった。どこかでUターンしたりして、結局は、戸塚から横浜新道、首都高横浜線、首都高湾岸線で帰ってきた。本当は第三京浜に乗りたかったのだが、何となく一部一般道の入る、第三京浜から首都高というルートは取らずに、首都高の横浜線に入ってしまった。

 帰ってきてから料金を計算してみたら、早朝深夜割引の使える厚木辺り、或いは思い切って、大井松田辺りから東名というルートの方が安いし、早かったかもしれない。カーナビを使いながらだったから、マクロなルートが分かりづらかったというのがそのルートを取った理由だが、今度からはこれを教訓にロードマップと併用することにしよう。


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作成年月日 平成19年 3月14日
作 成 者 本庄 章