五木ボルダーと水俣八ノ窪ボルダーに行ってきました

2005年 1月12日記
 平成16年年末からの九州ボルダリング行第5日目である。

 昨夜スーパーで買ってきたうどんに一緒に買ったさつま揚げ、一昨日買い込んだブロッコリ等を入れ朝食を摂る。

 この五木子守唄の里道の駅は8時から営業が始まるらしい。食事が終わった頃には既に店が開いていたので、少し見物をする。

 道の駅を見物していたら、445号線の全面通行止めが12月25日だかに解除されて、片側通行ができるようになったとのチラシが置いてある。もうちょっとで大迂回をさせられるところだったらしい。

 この道の駅の斜め向かいには日帰り温泉施設である五木温泉がある。また此処に戻ってくるから、そのときに入ろうと、営業時間を確認する。

 9時頃出発し、県道25号を目指す。ところが、この道の駅や温泉施設のある国道445号線は新しく作られたバイパスらしく、山の少し高いところを通っている。ボルダーのある五木小川に行くにはその下を流れる川辺川を渡らなければならないから、川床まで降りてゆかなければならない。どこか適当なところから川床近くを走る旧道に下りなければならないのだ。

 人吉方面に走ってから旧道に入ろうとしたら、工事用の道に入ってしまったらしく、少しゴチョゴチョと迷ってしまった。

 なんとか、川床の集落の中の細い道を通って県道25号に入る。

 トポには八代からの案内が載っていて、そこには平瀬集落を過ぎてと書かれているのだが、途中で買ったでっか字の地図では、その辺の集落の地名は殆ど出ていない。大通峠すら載っていないのだ。自分が走っている現在地の確認がしにくいのである。ましてや今回のナビである相棒には殆ど絶望的である。折立谷に分かれる道を過ぎた辺りかと一応検討は付けていたので、その交差点の先で少しゆっくり走り、右側の駐車OKとトポに書かれた場所に注意しながら走る。幸いこの道は余り自動車は走ってはいない。

 道路の右側に大きな駐車スペースが出てくる。ここも以前コンペが行われた場所だから、それなりの駐車場が近くにあるはずだと思っていたので、この駐車場は間違いなくトポの駐車場だと直感したのだが、念のため、そのまま少し先まで走り、下平瀬バス停を確認して引き返してくる。

 自動車を停め、外気温計を確認すると1℃である。日は照ってはいるが、結構寒いようだ。

 川は駐車場の反対側だから、道路を渡って道路沿いから川原を偵察する。すると、しっかりした石の階段が川原まで降りている場所が見つかる。トポの地図の岩記号みたいに書かれていたのはこの階段だったのだ。

 メインはその階段付近の岩なのだが、そこから少し下流にも岩があるらしいので、そこに行く方法も一応偵察するため、そのまま道路を下流方面に歩く。約50mほど下流ということだから、それほど離れているわけではないのだが、川原を歩かずに行ければとの考えからである。

 結果は、道路との側壁が高く降りる場所は見つからなかったので、川原沿いに行くしか無さそうだった。

 もう一度自動車に戻り、駐車場の一番端っこに自動車を移し、支度をして、階段から川原に降りる。

 この川原への階段なのだが、大体が、川原に降りたとたんに歩く道がなくなってしまうのが一般的なのである。普通は遊歩道のような歩きやすい道を期待するのだが、そんなものが有ったためしがないのである。御岳渓谷ですらそうなのである。ましてやである。当然ここも例外ではなかったのである。

 少し大き目の石ころを跳びながら、周りのボルダーを観察する。

 目の前の大きな岩がエレファントロックだろうか。とすると、その左奥にこじんまりした岩があったり、裏にはジャンキーロックがあるはずだ。

 行ってみたらそれらしい岩が見つかった。しかし、そこには5cから6bの課題しかないから、ジャンキーロックの裏にあるしなロックを見に行く。そこには5aの課題がある筈なのだ。

 対岸に適当な小さな岩が見えたので、飛び石で渡っていって、アップの積もりで登ってみる。易しすぎたかな。

 戻ってきて、しなロックの「ハングを直上」という5aの課題に触ってみる。

 気温が低いせいか、何となく岩の表面が湿っている気がする。おまけに川原の岩だから、ホールドはツルツルである。岩も大きいし。こりゃ駄目だ。直ぐに諦める。それでも一応その岩の見栄えのしそうな壁に取り付いて記念写真を撮ってもらう。

 ジャンキーロックの圧倒的に被ったというよりルーフに近いところに触ろうと、竹薮に分け入って記念写真を撮る。しかし、逆光のため、岩しか写らなかった。

 エレファントロックに戻り、トポを確認すると、このエリア唯一の4cの課題があるらしい。因みに「スベルス」というらしい。

 岩を見ると、ホールドはそこそこありそうだが、結構高い。でも、4cだからなぁ。岩を触ってみたら、日も当たっていたせいか、乾いていた。

 下地は岩が出ている。砂ではない。落ちるわけには行かない。飛び降りるのもそう簡単ではない。途中まで行けばもう飛び降りることは出来ない。クライムダウンしかない。

 もう一度岩を見る。「スラブからハングを超える」とあるが、ハングを直上しなくとも、ハングの左端なら越えられそうだ。小生の一番好きな、易しいが少しだけ怖い高い系のカチフェースという課題は今回はまだ登っていないのだ。この課題は丁度それに合致しそうなのである。できれば登りたい。河頭山ではチキンハートを曝け出して来てしまっていたし。

 でも、家からは1500km位は離れているだろうし、此処には相棒以外は誰もいないし。万が一という事を考えると。等など、色々と考える。で、結局、人工芝を敷いて、離陸する用意をしてしまう。

 足がない。ホールドも良いものは無い。特に左手がない。やめようか。でも出られれば、上は大丈夫だと思うのだが。

 少しの時間、ああだこうだ試行錯誤を繰り返して、何とか離陸する。よし。

 その後は何手かは順調に登る。しかし、またまた、ハングの淵を取ってから行き詰まる。

 そのホールドは余り良くはないし、足が見当たらないのだ。このままではやばいかも。

 少し左の方にスタンスに使えそうなところが見える。ちょっと怖いけどあれを使うか。

 足を少し開いて、左足に乗り込む。リップのホールドを触る。持てた。

 慎重にホールドを繋ぎ、岩の上に立つ。

 裏から降りてきて、この岩の道路側のカンテの少し歩きにくい場所を越えて相棒のもとに帰る。やったー。

 その向かいに、真中に斜めにクラックの走った、ひもロックという岩が見える。5aの課題があるから行きたいのだが、飛び石が途中で切れてしまうから、行くことが出来ない。

 後ろ髪を引かれながら、下流の少し離れた岩を探索に行く。

 道路側のボサを掻き分けて行ってみる。

 5a+の課題らしいが、ハングの直上だったし、下地も岩だったから触らなかった。

 戻るときに、簡単そうな岩が有ったので、一応登ってみる。簡単すぎたようだ。

 ひもロックの正面まで戻って、またひもロックを眺めたら、どうしても触りたくなってきた。まだしつこく眺めていたら、これはもう触らなければということになってしまった。

 丁度此処からは真正面に見えるし、写真もここから撮影することができる。さっき見たときは、深くは無さそうだったから、靴を脱げば簡単に渡渉できそうだったし。ということで、相棒を此処に置き、小生のみ靴を脱いで渡渉していった。

 水は冷たい。でも、踝くらいまでだったし、2歩か3歩だったから、それほど冷たくは感じ無かった。

 足を乾かして、靴を履き、ヒモという5aの課題を触ってみる。「クラック沿いに左上」という課題である。

 クラックは岩を下から上まで抜けている。岩もそれほど高くはない。3mあるかないかだ。どの辺からスタートすれば良いのだろうか。別にSDとは無いから、届くところならばどこでも良いのだろうか。

 適当に持ちやすそうな所で離陸し、少し左上してうえに抜けた。少し力を使ったが、そんなに難しくは無かった。と思うのだが。

 折角渡ったから、その横のピヨピヨという課題を触るだけ触って、キジローというやはり5aの課題を登ってみた。キジローはSDとあったから、苦手だが、SDでやってみたら、出来た。

 まだ昼にはちょっと早いが、既に2時間ちょっとは此処にいた勘定になる。もう少しいても良かったが、温泉に入らなければと言うことで、引き上げることにした。

 川辺川を渡って、来た道を引き返せば近いはずだったのだが、どういうわけか、別の道に入ってしまい、少々遠回りして温泉まで戻った。

 まだ昼だし、正月休みには1日早いから、人は殆どいない。

 300円を払って風呂に行くと他には誰もいない。

 露天風呂に行こうとしたら、気温が低く温度が上がらないから、露天風呂は休みだと張り紙がしてある。露天風呂を見るだけでも見てみようと、出入り口の扉を開けようとしたら鍵がかかっていて開かない。ガラス越しに外を見たら、湯船に湯が入っていなかった。

 既に1時頃だから、そろそろお昼にしなければ。

 昨夜、来るときに、道を真っ直ぐ走っていたら、そのまま公園みたいなところに入ってしまったことがあった。道はその直前で左に曲がっていたのだが、暗くてわからなかったのである。

 相棒は、その公園で昼食にしたかったらしいのだが、その公園はしばらく戻らなければならない場所だったから、行く先でそういうところがあったら寄ろうということで走り出す。

 30分くらい走ると、民家の横に東屋のある公園を発見する。丁度その前が駐車場にもなっている。そこによって、昨夜のスーパーで買った一つのお弁当を二人で食べた。

 途中、相棒の携帯電話の電池が切れてしまう。娘へのメールを書いている最中の出来事らしい。相棒は、それまでも、電池を気にしていて、先程の温泉でもコンセントがあったから充電できたのに電話機を持ってゆかなかったからとかなんとか言っていたのである。

 人吉の町を走っていると、ビッ○電気だかの大型電気店が現れたので、そこの駐車場に自動車を停める。相棒の携帯の充電器を購入するためである。

 無事、車載用の携帯の充電器を購入し、出発する。

 3時過ぎに水俣市に到着する。一応目星を付けていた駅の裏の公園がありそうな高台に通じる道に入ってみる。駅前を通る古い繁華街だろう所を走る道から斜めに分かれて直ぐに踏み切りを渡る道である。

 狭い、すごく狭い。すれ違いが出来ないくらいに狭い道である。

 だんだん高台に登って行くのだが、公園がありそうな感じの場所は出てこない。尚も進むと高台の上に出て、平らな開けた場所に出てしまう。相変わらず道が細く、Uターンも出来ないから、仕方なく先に行くと、焚き火をしている人がいる。自動車を停めて、八ノ窪公園はないか聞いて見たら、なんだか怪訝そうな顔をする。大きな岩が幾つかある公園なのだがと尚も聞くと、あれかということで、途中の民家の脇を登って行く道を教えてくれる。

 その先が丁度T字路になっていたから、そこでUターンして戻って行ったら、民家の脇に新しくコンクリート舗装された急な道が入っている。こらか。登っていったら、左に曲がった先に大きな岩が現れた。

 その細い道の突き当たりが広場になっており、その真中に大きな岩が6つほど林立している。先程「八ノ窪公園」と聞いたから怪訝な顔をしたらしい。実際の名前は「岩付公園」だったらしい。よく見たら案内書にもそう書いてあった。

 風が強く、その風が吹き抜けているから寒い。4時近いし、曇っているから、なおさら寒く感じる。大きな角張ったボルダーがまるで人工的に置いたような形で一箇所にかたまっているから、壮観なのだが、なんか登りたい意欲が沸いてこない。そろそろ疲れも溜まっているし、この寒さでは無理もない。と言ってみても、自分で好き好んで来ている訳だから、そんな言い訳をすること自体がナンセンスなことだ。そんなことは充分に自覚はしている。でも寒い。

 一応ウインドヤッケを着込んで、トポを片手に岩の周りを廻ってみたが、どれがどの岩かが判りにくい。皆同じような恰好をしているし、岩も大きいから、上から見た形の書かれたトポと実際の岩との対比がわかり難いのだ。おまけに、岩も円くぐるっと配置されているように見えるから、位置関係もわかりにくいのだ。

 図だけではなく、課題の説明文を読んでみたら、何となくわかってきた。

 一番易しい5.6のイージー・カンテという課題を登ってみる。

 5.6って無茶無茶易しいはずなのだが、易しくはない。そこそこに難しい。ホールドはガバなのだが、なんかそのガバホールドが持ちにくいのだ。岩は輝石安山岩とか言うらしい。細かく言うとその前に水平摂理という接頭辞がつくらしい。水平のダイクの安山岩らしいのだが、そのダイクが丸っこい気がするのだ。

 いざ降りる段になると、下降路が見当たらない。3mくらいの角柱形をした岩だから、その切り立った壁を下りなくてはならないのだ。やっと登ってきた切り立った壁だから、降りるのはもっち難しいから、どうしよう。直ぐ近くに生えていた木を利用して何とか降りてきたが、結構力を使ってしまった。

 次はレディー・フェイス5.7である。確かに余り遠くないところにホールドが出てくる。イージーマントル5.7も登ってみる。こっちは隣の岩が直ぐ近くだから、その岩との間を簡単に降りることが出来た。

 次は5.8のフロッグダンス・ハングだ。

 丁度1.5mくらいまでルーフ状になっており、そのリップの上のガバでそのルーフを乗り越して行く課題である。両手でリップにぶら下がって、足をリップ近くまで上げてその足に乗り込んでゆく。結構恰好の良く見える課題である。これはどうやって降りたんだっけ。

 ヒールフックというのが5.9+とある。見てみたら、足を手のところまで上げてヒールフックでマントルする課題で、小生の苦手な課題であった。

 ガマスラブのWからY−の課題を適当に登り、ちょっと離れた場所のチョンカケ・カンテだったかを触ったら、もう登れそうな課題は無さそうだ。10a以上は小生には無理そうだからその他の課題は多分登れないだろう。

 それでも1時間ほどは遊んだろうか。この水俣には此処のほかにも杉山ボルダリング・エリアや矢城山ボルダー・エリアがあるらしいから、それらのエリアでも遊んでみたいと思っていたので、そのうちのこの近くの杉山ボルダリング・エリアに行ってみることにする。

 相変わらず細い道を走って、少し太い道に出て、多分それだろう道の分岐を見つけ出し、その奥に杉山ボルダリング・エリアが存在することを確信したのだが、既に5時である。どこかに、このエリアに行き着くことが最大の核心だとの文言も見たような気がする。水俣全体の案内図も、わかりよいものではない。岩も、想像したものとは幾らか違う気もするし。で、結局偵察には行かなかった。

 その後、何となく弱気になってしまったのか、来るまではこの水俣がメインかとも思っており、予定より1日早めだったので、もう一日水俣とも思っていたのだが、テントを張れそうだとあった公徳碑もよくわからなかったし、先の岩付公園でのキャンプもありえない気がしたので、そのまま鹿児島を目指すことにした。

 そうと決まればただ南下あるのみである。

 国道3号線を走って、出水市に入ると、またしてもJチェーンの店が現れる。本当にどこにでもあるなぁ。勿論入る。

 3号線から途中270号線に分かれ、9時ちょっと前に道の駅きんぽう木花館に到着する。雨が降り始めていた。

 自動車を停めると、その先に観音様のような金色の像が見える。観音様のまん前はまずいと相棒も言うから、隣の既に自動車の停まっているブロックに移り、その自動車の一台開けた隣に自動車を停めた。


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作成年月日 平成17年 1月12日
作 成 者 本庄 章