上信越のマイナーなボルダーを巡る旅その1

 赤城高原ボルダー、登川ボルダーそして勝山ボルダーに行ってきました
2006年10月 6日記

 9月末、秋雨前線が消えるのを待ち、残っていた夏休みを利用して、新潟、長野に点在する一般にはあまり知られていないローカルなボルダーを巡る旅に出た。今回は一人である。

 一応の目的は、群馬県は関越道の赤城高原サービスエリア内にあるという「全線開通記念碑」ボルダー、新潟県は巻機山の登山口、清水部落に向かう道の脇の登川の川原にあるという「いもっこボルダー」、そして親不知海岸の隣の、勝山海岸にあるというボルダー、長野県は白馬山麓の松川の川原にあるという「三角岩」、長野市内の善光寺裏の「物見の岩」の上に立つ何とかという岩、同じく長野市内の金井山公園にあるというボルダー、冠着山の坊抱岩の近くに存在するという「将棋岩」そして「オセロ岩」、上田市内の国道8号線脇にあるという「岩鼻」、そして、東御市の「金原ダム下ボルダー」である。

 色々と支度を整え出発したのは、水曜日の夜、9時過ぎだった。その夜は関越の、出来れば赤城高原サービスエリアまで行きたいと考え、一般道から三郷で外環に乗り、大泉から関越に入った。

 関越は、時速80kmほどでのんびりと走って行ったのだが、そのせいか途中で眠くなってしまい、11時過ぎに高崎の手前の上里サービスエリアで仮眠することにした。

 翌朝、7時前に目を覚まし、そのまま赤城高原サービスエリアを目指した。朝日が輝き、気持ちの良い朝だった。

 赤木高原サービスエリアには8時頃に到着した。

 サービスエリア内を散策し、記念碑を探したが、建物の裏にある公園風の遊歩道沿いには見当たらなかった。サービスエリアは上りと下りでは場所が違うので、もしかして上りだったかもと一瞬疑ったが、駐車場に面した建物の方に周り、駐車場の端っこの方を見ると、こんもりとした木陰があり、その木陰の中に何となくそれらしい岩陰が見えた。行ってみたら、赤黒い色をした、三角お結びの様な格好をした高さ2.5m位の「関越自動車道新潟線全線開通記念」の碑だった。

 早速自動車に戻り、道具を持ってきた。

 デジカメをセットし、チョークバックを下げ、靴を履いて見た。しかし、木陰の下とはいえ、正面は大きく開いており、駐車場から丸見えである。少し離れた場所のベンチには休んでいるおじさんも見えた。結構目立つ場所であった。

 咎められたらその時と、意を決し、先ずは左端を登って見た。

 目の高さ辺りに大きな縦カチがあったから、それを使って離陸して見た。すべすべした岩だから、足があまり良くはない。大きく掘り込まれた文字を使えば物凄く簡単になってしまうから、それは限定だ。

 僅かに寝ているし、手は物凄く良いから、難しくは無かった。

 次は右端だ。こっちはカンテを使ってしまったからすごく易しかった。

 さていよいよ中央突破か。

 中央はホールドに乏しい。足もこれといったものは無い。離陸に少し苦労したが、離陸が出来てしまえば左側で使ったホールドが使え、上に抜けることが出来た。岩の上から駐車場方面を眺めて見たが、誰一人としてこちらを注目している人は見当たらなかった。まぁ、木曜日の朝だから、そんな暇な人はいなかったのだろう。

 その間、およそ10分。先ず最初の目標はそれで終了した。

 次はいもっこボルダーだ。荷物を仕舞い、塩沢石打インターに向かった。

 塩沢石打インターから国道291号を使って、一応の目星をつけた蟹沢新田を目指した。

 道はそれほど広くは無く、真中には融雪用の散水口が走っている。雪国独特の道だ。

 緩い上り坂が続く。蟹沢新田付近に到着し、集落もそろそろ切れ掛かったので、目印の道端に材木が置かれた場所を探しながら走った。

 案内図には材木が置かれた場所と書かれていたが、材木が置れた場所なんて、その場所からいつ材木が片付けられてしまってもおかしくはない。案内図は少々古いから、既に材木は無いかも知れない。そう考えながら、同じく案内図に描かれた神社も探しながら走っていたら、道路からでもはっきりとそれと分かる小さな神社が現れた。道の脇には確かに材木が置かれた場所もあった。ここで間違いないだろう。その材木の置かれた場所の先を右折し、神社の前の少し先のT字路を左折して細い道を進んでいった。

 暫く行くと、道の舗装が切れ、傍らに自動車が数台置けそうなスペースが出てきた。その手前はちょっとした堰堤があった。案内図の駐車場所はここだろうか。その場所には既に所沢ナンバーの自動車が一台停まっていた。

 道はまだ先に続いており、駐車スペースも堰堤の僅かに先だったから、なんとなくトポの場所とは違う気もしたが、その自動車の横に自動車を停め、堰堤の方を偵察に行って見た。

 トポの写真では開けた川原にボルダーがあることになっているが、堰堤から下流は谷になっている。堰堤の上流は川原が開けているが、岩は堰堤の下になっているから、場所を間違っていなければ、ボルダーは多分上流の方ではないはずだ。

 岩は対岸のはずだと、堰堤をサンダルを脱いで対岸まで渡ってみた。途中流れの中に水苔が生えており、堰堤の高さは3〜4mはありそうだったので、足が滑り、少し怖かったが、対岸の堰堤の高いところに登って見たが、やはり、対岸は草藪で、岩らしいものは見えなかった。

 また堰堤を渡り返し、川沿いの林の中を下流方向に歩いて見た。こちら岸は谷が深く、沢床まで降りるにはちょっとした崖を降りなければならなかった。

 やっぱりここでは無さそうだ。もう少し先まで行って見よう。

 大きな石ころの敷かれた細いガタガタ道を先に進んで見たら、より大きなより高い堰堤が現れ道はそこで終わっていた。案内図では駐車場所は道のどん詰りになっているから、ここで間違い無さそうだ。

 やはり先客が一台停まっていた道の行き止まりのちょっとした広場に自動車を停め、川原に少し降りてゆくと、対岸にそれらしい岩が見えてきた。やっぱり間違い無さそうだ。自動車まで荷物を取りに戻り、飛び石伝いに渡渉してその岩に近づいていった。

 半分近くが川原の葦に埋もれた感じの丸っこいまさしくいもっこのボルダーだった。

 トポと見比べ、間違いないことを確認し、荷物を降ろした。

 昨日は雨だったし、来る時も、途中までずっとガスっていたので、増水を心配していたが、増水は殆ど見られなかった。しかし、岩の基部近くまで水流が来ており、「地ならし」という課題の下地は少し掘れて、その近くまで水流が来ていた。

 「いもっこボルダーと言えばまずここから」ということなので、「小川のせせらぎ」に取り付いてみた。「一歩踏み出した時に『どうしようかなあ?』と思ったりする」課題らしく、ホールドもスタンスも細かく、易しいらしいのだが、残念ながら一撃は出来なかった。

 あと登れそうなところは「へびイチゴ」或いは「地ならし」だ。共に川側の下半分くらいが被ったちょっと凹角状になった所を登る課題である。

 リップの小さなカチを拾って、被りの中のちょっとしたバンドまで足を上げてみたら、左のほうにちょっとしたホールドが見つかり上に抜けることが出来た。現地で見ていたトポには「地ならし」しか出ていなかったが、後で他のトポを見たら、どうやら左の方に登ったようだったから、「へびイチゴ」というラインだったかもしれない。まぁ、どこをどう登ろうと問題は無いのだが。

 あとはこの地ならしのSD版、その右のメイクイーンという課題があるらしいが、SDは苦手、メイクイーンは難しすぎということで、この岩はこれでお仕舞いとなった。

 持参したパンを食べ、少し休んでから自動車の方に引き上げた。

 トポにはその上流に「いわな岩」という岩があることになっている。しかし上流には高い堰堤があり、先が見えない。自動車の横を通り抜け、岸沿いの堰堤を越える踏み跡で上流に行って見た。

 この堰堤の上流もやはり広めの川原が広がっており、向かい側の岸近くに大きな岩が見えた。

 川の流れを2本ほど飛び石伝いに越えて近づいて見たら、すごく大きな岩だった。高さは7〜8mはあるだろうか。もっとあったかもしれない。岩の上には木が茂っていた。

 川側の面は平らで少しだけ寝ている。細かいリスが幾つか走っている。登ろうと思えば登れるかもしれない。しかし、苔も生えているし、岩の上は木や草がもじゃもじゃだし、それよりも何よりも高い。一人では登る気がしなかった。

 いもっこボルダーも以上でお仕舞いである。

 まだ11時だ。これなら明日の予定だった勝山にもいけるかもしれない。と言うことで、六日町から253号線で十日町を通り、上越市に抜けた。

 上越市とは昔の直江津だ。昔は上野駅から直江津行きの列車が沢山出ていたものだ。ということで、小生にとって直江津とは、何となく懐かしい響きなのだ。それにしても昨今の市町村合併には泣かされることが多い。カーナビの地図が古いから、最近の道案内板が分からなかったり、目的地設定が住所では出来なかったりするのだ。ここは道案内版に「直江津駅」とあったから、すぐに分かったが。

 この上越市に入る手前で全国版のスーパーの案内板を見つけた。食料の買出しでもと寄る積りでいたのだが、続く案内板が見つからなかった。カーナビは国道8号に左折を指示したが、そのまま直進し直江津駅付近に行って見た。しかしスーパーは分からなかった。そういえば、案内板には左折だかなんだかの文字があったようなきがする。

 国道8号に戻り、先に進んで行ったら、何時も入れている銘柄のセルフのガソリンスタンドが現れ、価格も高くなかったので、少し早めではあったが、そのスタンドで給油をした。その時、なぜか店員さんがいたので、スーパーがこの先にありはしないかと、スーパーの場所を聞いて見た。しかし、スーパーはインターの近くとかで、少し戻る方向だった。スーパーでの買出しは諦め、先に進んだ。

 既に12時は過ぎている。どこかで昼食でもと、ゆっくりと走って行ったが、なかなか良い場所が見つからなかった。

 能生道の駅が出てきたので、寄って見た。海辺の道の駅で、隣にはキャンプ場があった。お弁当もパンも売ってはいなかった。

 糸魚川市内に入ると、先程行き損ねた全国版スーパー系列のスーパーが現れた。これは寄らねば。案内板に従い、少し脇道にそれてそのスーパーに寄った。

 小さなスーパーを想像していたのだが、スーパーのほかにもお店がいくつもある、結構広いスペースの大きなスーパーだった。

 先ずはお弁当と、探して見たら、半額のお弁当が売られていた。で、つい欲しいと思ったお弁当とその半額のお弁当を手にとってしまった。

 パンコーナーに行くと、20円引きのパンがいくつもあった。これも、その割り引かれたパンを沢山買ってしまった。

 糸魚川を抜け、青海を過ぎると道は段々登りになりだした。そろそろやっているかどうかわからないドライブインが現れるはずだ。気をつけていたら、右側にそれらしい建物が現れた。そのドライブインの少し先の山側にちょっとした駐車スペースがあるとのことなので、それらしい所を探していたら、なんとなくそれらしい場所が見えてきたが、その場所はあまりにもちょっとしすぎていた。半信半疑で通り過ぎたら、洞門が出てきた。すでに大分道は登っており、周りに民家はなかった。

 その洞門が終わると、またすぐ先に洞門が現れた。そして、その洞門と洞門の間の左側が三角の広い駐車スペースになっていた。もしかしてここかも。もし間違っていてもUターンするには丁度良い場所だった。

 そのスペースに自動車を停め、念のため、道路を渡り、海岸側を偵察して見た。しかし、階段らしいものは見当たらなかった。

 やっぱり間違いかもと思い、先程のドライブインが「勝山ドライブイン」だったかどうかを確かめに戻ることにした。

 そのドライブインの看板は親不知方向からしか見えない看板だったが、その看板には消えかかった字で確かに「勝山ドライブイン」と書かれていた。

 そこからUターンし、再び先程の三角の駐車スペースに戻り、本格的に海側の道路の低い側壁の外側を偵察して見た。すると、道路と平行に降りるコンクリートの短い階段が見つかった。

 側壁を乗り越え、その階段の先に行って見たが、階段の先にははっきりとした道は無かった。引き返し、糸魚川方向を探して見たら、生い茂る草の間に真っ直ぐ海岸まで延びる手摺のある立派な石の階段が見つかった。これだこれだ。

 自動車に戻り、先程買い込んだパンと荷物を持ってその階段を下りていった。

 この階段、140段くらいあるのだが、物凄く蜘蛛の巣が多い。その全ての巣の真中に大きくて立派な女郎蜘蛛が陣取っていた。巣を壊しながら進むのも心苦しかったが、心を鬼にし、その丈夫な大きな蜘蛛の巣を全て手で壊しながら海岸まで降りていった。数えたわけではないが、20や30の巣は壊したような気がする。1m、2m置き位にあったから、物凄い数であったことは間違いない。

 海岸の少し手前で階段は終わり、左右に長く続く、護岸の上の幅が2mくらいの平らな所に出た。そこからはほぼ垂直に海岸までコンクリート壁が降りている。飛び降りられる高さではない。どっちに行くんだ。

 右手方向には露岩の崖が見える。左手方向にはコンクリート被覆された崖が見える。多分右手だろう。右に行ってみたら、崖の手前の浜辺に大きな露岩が見えた。

 その護岸の端は岩の続きになっていたので、その岩を使って浜辺まで降りた。

 高い岩壁の基部には波が迫っていた。砂浜の幅は2〜3mしか無かったかもしれない。

 大きな岩壁の基部を見ていたら、雨がぱらつきだした。少し粒が大きくなってきた。デジカメが濡れる。駄目かも。そうこうするうちに雨は止んだ。

 本来ならば、その岩壁の基部にいくつものボルダー課題が設定されているらしいのだが、雨は降ってくるは、マットは持っていないはで、途中から飛び降りるのもいやだったので、適当にちょこっとだけ登ってお仕舞いにした。それに、そこの課題はホールドが欠け、殆どの課題が消滅したとの情報もあったし。って、そこに課題があろうが無かろうが、小生にとってはどちらでも良かったのだが。

 その岩壁の手前には高さ3mちょっとの、この浜辺に降りる時に使った、コンクリートの護岸にくっついた大きなボルダーがあったので、そのボルダーで遊ぶことにした。

 先ずは8級辺りから。次は7級か。でも、そんなに易しくはない感じもしたが。

 やっぱり岩は脆そうだ。真下に引いている限りは大丈夫だが、少し手前に引いたりすると剥がれるものもある。細かいカチも欠ける事がある。気をつけなければ。

 少しおっかなかったが、少し高い目のところを登ったから、次は少しむつかし目でも登って見よう。

 クラックよりも左のみを使うと言う課題が目に付いた。それでもやってみるか。

 手が細かい。足が滑る。離陸は出来るがその先が続かない。持てるホールドが無いのだ。そろそろ終わりにするか。

 丁度3時半頃になっていた。ここに付いたのが3時頃だったから、まだ30分くらいしか経っていなかった。まだ早いか。

 パンを食べて、少し休息をして、またその課題をやってみた。結果は同じだった。少し左に寄って見た。やっぱり同じだった。

 再び海を眺め、ボケッとして、またまたやってみた。相変わらずだった。

 大分時間が経った気がする。そろそろ引き上げよう。

 防護壁の上を歩いて、降りてきた階段よりも先の方に行って見た。すると、その防護壁の終わりには、浜辺に下りる鉄筋の梯子が付けられていた。

 浜辺に下り、尚も進むと、またちょっとした岩が現れた。その岩を回り込むと、少し平らな、クラックの走った面が現れた。こいつでも触ってみるか。

 またまた支度をして、その岩を触ってみた。丁度手を伸ばした少し上辺りに水平にバンドが走っているから、一歩踏み出せばそのバンドのリップが取れてしまう。それでは面白くない。少し低い所からスタートして、岩の真中辺りに立てに走るクラックを使ってみたい。そう思って、やってみた。なんだか思ったほどには面白くなかった。

 既に4時半を回っていた。今度は完全に引き上げよう。

 この先は親不知である。折角きたのだし、道の駅もあるからと寄って見ることにした。

 この道の駅は高速の高架下を使った道の駅と言うことで、結構珍しい道の駅らしい。でもなんだか普通の道の駅だった。

 序に、富山湾の文字の入ったお土産を買ってしまった。その時、店員さんに、ここは富山県かと聞いて見たら、この先の何とかという集落まで新潟県だと言っていた。新潟県で富山県のお土産を買ってしまったのだった。

 明日は白馬に行くことにし、白馬の道の駅を目指した。

 糸魚川から148号線に入りトンネルをいくつも潜って行くと、小谷道の駅が現れた。寄って見たら、温泉があった。「深山の湯」というらしい天然温泉だ。500円だった。少し褐色がかった源泉掛流しの温泉だった。

 その夜は、白馬道の駅で、半額で買った方のお弁当を食べ、早めだったがすることが無いからと、8時頃だったが早々に寝てしまった。


戻る

作成年月日 平成18年10月 6日
作 成 者 本庄 章