一の峰のボルダーと内大臣峡のボルダーに行ってきました

2005年 1月12日記
 平成16年年末からの九州ボルダリング行第4日目である。

 朝5時過ぎに大津道の駅で目を覚ます。もう寝られないから、ヘッドランプを点けて、デジカメの映像を見直したり、これからのエリアの資料を見直したりする。

 朝食は昨日道の駅で購入した寿司弁当や魚の煮つけを食るが、コーヒーを沸かそうかの相棒の提案を却下し、8時頃に出発する。午後から天気が怪しくなるらしいのであまりゆっくりはしてはいられないのだ。

 カーナビで、直接西原村の宮山を目指す。トポの案内図は熊本からのものらしいから、途中の親切な写真は我々には役には立たない。少し残念だが、多分宮山までは辿り着けるだろう。

 相変わらず、カーナビの指示で、空いた道をごちゃごちゃとあっちに曲がったりこっちに曲がったりしながら進むと、トポの写真の交差点の近くらしいところに出てくる。意外と近い。

 トポの案内のとおり、風の里キャンプ場だかを目指して進む。カーナビも同じ道を示しているから、多分大丈夫だろう。

 途中なんだかごちゃごちゃしてしまったところも有ったが、ほぼ順調に宮山集落へという立て看板を見つけ、宮山集落に入る。続いて、火の見櫓も見つかる。ほぼ順調。

 と思ったら、火の見櫓の下で左折する道が見つからない。仕方がないからそのまま先に進んだら、わけがわからなくなって、結局はもとの宮山集落への分岐に出てしまった。

 気を取り直して、火の見櫓まで戻って、トポの説明を見たら、なんと火の見櫓から右折だった。

 火の見櫓の前の細い道を右に入ると、またトの字の裏返しのT字路に出る。さてどっちだろう。左折してみたが、なんか違う気がして直ぐに引き返し直進する。するとまた細い道のT字路にぶつかったからそこを左折していったら、小さな橋の先にゲートのある道が出てきた。あそこを入って行けばよいはずだ。

 少しうねうねと登って行く舗装された細い道である。当然対向車とすれ違うことは出来ない。

 しばらく進むと空が開けてくる。周りの山には木がなくなったのだ。なおも進むと、完全に草原の山の中をうねうねと走る道になる。しかし、まだ周りの山には岩は見えない。

 どれくらい走っただろうか。多分そんなには走ってはいないはずだが、やっと左側の山の斜面に岩が見え出す。多分あれだろう。

 細い道だから、駐車スペースに気をつけながら走って行くと、緩いカーブのところが待避所よりも少し広く膨らんでいる。トポの駐車スペースは多分ここだろうと、Uターンをして自動車を停める。まだ9時少し前だ。

 今回の九州のボルダリング行で、絶対に来たかった場所がこの一の峰だったのだ。阿蘇の外輪山の一ノ峯の山腹ということで寒くはないか、また、出るときの天気予報で丁度この日辺りが天気が崩れるとの事だったので、非常に心配しながらやってきた場所である。

 阿蘇の草原の山の斜面に空の雲を背景にシルエットととなって浮かび上がっているボルダー群。まさに想像通りの光景が目の前に広がっている。やっとやってくることが出来たのだ。

 支度も早々に、舗装された林道を歩き出す。

 思ったほどは風も無く、寒くもない。勿論暖かいわけでもない。強いて言えば、幾らか寒い、僅かに風のある、空は雲に覆われた、まぁぶっちゃけて言えば薄ら寒い曇リ空の天候である。そんなことはどうでも良いのである。曇り空はかえって逆光にならないから写真を撮るには好都合なのである。正直心底からそう思える気分なのである。

 出だしが少しだけ急なガレになったしっかりした踏み跡を岩を目指して登って行く。

 この斜面には背の低い、まるで芝のような草と、幾らか黒い大きな岩以外には何も見えないから、どこからでも岩の存在が確認できる。そうきつくはない斜面を登りながら、トポの絵と岩を見比べてみる。

 最初の岩がK岩である。その横を登って行くとJ岩が現れる。その上のほうには大きなA岩が見える。迷い様がないのだ。一応J岩の辺りに荷物を起き、その上に進む。

 A岩の前を通って左側の一番奥のE岩を見に行く。この岩にはトラバース課題が設定されている。

 トポにはスタートホールドが指定されているが、そんなことはこの際関係ない。小生の苦手なトラバースだから、端からやってみる気はないからだ。でも、一応リップにぶら下がって記念撮影をしてもらう。

 その手前にはC岩がある。この岩には正面の難しい課題のほかに、側面に、スタンスがあるので簡単だという課題がる。事実上のアップとして登ってみる。

 その左手前にはB岩がある。正面の左の課題を触ってみる。ちょっとしたテラス状にマントルが出来ず、少してこずったが、少し右にスタンスを見つけて何とか登る。

 A岩は高い岩である。正面は難しいから、トポの写真にあった左面のやさしいらしい課題を触ってみる。写真で見るとガストンでカンテを回り込んだりしているのだが、実際はそこは適当なムーブで回り込み、下地が斜めに上がってくる壁を下地に沿って斜めに登って行くという感じで登ってゆく。そんな感じだから、実際に登った高度は高かったが、それほど高いとは感じずに登ることが出来た。

 このA岩の右面には、「裏面左側のポケットなどを使い登る」という10級の課題があるのでそれを見に行く。

 触ってみたら、直ぐにリップが取れたから、10級なのだろう。まぁ、10級というグレードは幅も広く、難しさもバラバラだから、自分にも何が10級なんだか良くは判らないから、10級評論家の小生の意見としては、そんなものだろうということにしておこうか。

 今度はA岩の右側に並ぶ岩を見に行く。

 最初はF岩だ。この岩は、結構写真が発表されたりしている岩で、高さは2.5mくらいだろうか、正面の壁に2本ほどの顕著な浅めのクラックというか、リスがほぼ水平に、平行に走っている岩である。登り方でグレードも変わる岩らしい。

 先ずは右側のほうを縦に走るリスのガバホールドを使って登る。続いて、やっぱり正面突破だということで、水平のリスを使って登ってみたが、上には抜けられなかった。

 その奥のH岩に行ってみる。正面の「スタートホールドに届かなかったらマットを重ねてスタートかな?」とコメントのある場所をマットなしに触ってみたが、足がうまくリスの淵に掛からず離陸が出来なかった。

 この岩の左側面には易しいらしい課題が書かれているので、そこを触ってみる。例によって、離陸核心かな。

 参照したトポでは岩はそこで終わっているが、実際にはその先にも岩は点在しており、踏み跡も伸びているので、その先に行ってみる。

 少しだけ大き目のチョークの付いた岩がある。なんだか傾斜は無いが丸っこい感じのリップを這い登るというラインが登れそうな気がしたので、そこを登ってみる。

 スタートのスタンス、左手の斜めのカチホールド、最後にリップに這い上がるためのスタンスなどを確認し、離陸する。

 左手の斜めカチホールドに頼りながら、2歩3歩と足を上げ、最後の右足に乗り込んでゆく。しかし、左手に頼りすぎているせいか、うまく右足に乗り込めない。何とかリップのホールドを探るのだが、丸っこいリップはのっぺりしているからホールドが見つからない。

 また同じようなことを繰り返す。そして、岩を下から見上げて、何で登れないのだろうかと悔しがる。これだけは絶対に登りたい。何故だかそう思い込む。

 右足に立てれば登れるはずだと、登れない理由はわかっているのだが、何故立てないのかが判らない。多分体重の移動だろうと想像はしても、じゃぁーどおやって体重を移動すればいいんだということだ。

 スラブの立ち込みって、意外と疲れるようだ。少し休みを入れて、また取り付いてみる。

 2歩、3歩と足を上げ、右足を右のスタンスに移して、その足に意識を集中して、じわじわと乗り込んでゆく。右足の膝を右のほうに持っていったんだか、少し右足を沈み込ませたんだか、本人には自覚はない。でも、右足に体重が徐々に移って行く。なんだか右足に乗れている感じになってくる。もう左手のカチに頼らなくとも身体が岩に留っている。左手をリップに移し、右手をその上に伸ばす。完全に右足に立ちこむ。よし、左足がスタンスから離れた。

 都合3回位かかったが、何とか登れた。やっぱり偶にはこのようなクライミングもしなければね。何となく満足してしまった。

 グレード?、登れた時はグレードなんかはどうでも良いのですよ。

 戻ってきたら、G岩の右側面のクラックが目に付いた。トポを見ると、「シットダウンスタートのレイバック課題。とても気持ちがいい。」とある。SDは苦手だけど、じゃぁやってみるか。

 クラックの淵に手をかけ、その左側の岩の適当なところを足で突っ張って、その上の方のテラス状のガバホールドを取りたいのだが届かない。途中カチで中継する。それは何とか一発で出来た。しかし、そこからが動けない。なにしろ、足がうまく使えないのだ。

 身体の左側になるクラックを使いたいのだが、僅かにこちらに傾いているから、左足を掻き込むような恰好でクラックにねじ込まなければならない。それがうまくかからないから足が滑ってしまうのだ。で、落ちる。

 少し力を要するムーブだから、少し休んでまたやってみる。

 カチを取って、左足をクラックに思い切りねじ込んだら、足が留った。よーし。上の狭いバンド状の棚のリップを両手で掴み、体を上げて上に抜ける。やった。

 この岩の反対の面には「10級。と言われているが、結構厳しい。」という課題があるらしい。10級評論家であり10級ハンターの小生としてはぜひともさわらなければなるまい。

 確かに離陸が結構難しかったり、小さなポケットを使ったりしたから、やっぱり易しくは無かった。って、正直なところ、この頃になると中だるみ気味だから、細かいところは忘れちゃってるんですよね。

 ということで、以下は簡単に。

 一応上部に並んでいる主要な岩は触ったので、その下のJ岩の易しそうなところを登り、、I岩とかK岩は結構大きいのだが、高さはそれほどは無く、トラバースの課題が幾つか設定されているから、そのうちの2つ3つを触ってみて、リップの一番良さそうなところにぶら下がって、そこを相棒に写真に撮ってもらった。

 実際、リップの一番良いところでもぶら下がるのがやっとだったから、やっぱり疲れたようだ。

 先程、林道を軽自動車にもう一台の軽自動車が牽引されて登って行ったのだが、その自動車が再び戻ってきた。こんなだだっ広い何もないように見えるところで何か仕事があったのだろうか。なんて、どうでも良いことを考えてしまった。

 出だしは少し風があったから、ウインドヤッケなどを着たりしたが、その後は身体も温まったのかそれほどの寒さは感ぜず、時々日も射したりしたので、大変にすばらしい一時を過ごすことが出来た。

 パンを食べるなど、相棒と暫しの休息を取った後下山した。

 まだ昼にはほんの少しあっただろうか。次の目的地は内大臣峡のボルダーである。

 来る道に案内板が出ていた「阿蘇ミルク牧場」方面に進めば、内大臣峡のある矢部町はそう遠くはない。カーナビをセットし直し出発する。

 なだらかな起伏を縫う道をしばらく走ると、「西原村公共育成牧場」の看板が現れ、先程の一ノ峯のような風景が再び始まる。もしかして、一ノ峯の向かいの尾根の裏側に当たるのだろうか。ということは一ノ峯の向かいの斜面は牧場の一部だったのだろうか。そんなことを考えながら走っていたら、「種雄牛センター」の看板が現れる。そうか、熊本のセンターって此処だったんだ。誰もわからないと思うけど。

 「種雄牛センター」とは反対の方向に「阿蘇ミルク牧場」の看板が現れる。そろそろトイレに寄りたいと思っていたところだから、ミルク牧場に寄ってみることにする。

 広い駐車場に何台か自動車が停まっている。手前はバス用と書いてあったから、その先の駐車場に行ってみたら、入り口が閉まっていた。今は皆バス用に自動車を停めるようだ。

 入り口のゲートに近づくと、12月は入場無料と書いてある。トイレを借りに来ただけだが、無料ならばと入場させてもらう。

 さすが、師走だからか、殆ど人はいない。自動車は結構停まっていたのに。

 ソフトクリームの売り場があったから近づいたら誰もいない。用事のある人はベルを押せと出ているから、ベルを押したら、向かいの売店から人が走ってきた。

 ソフトクリームを2つ頼んで、隣の展示館のようなところを見学する。体験室みたいなのがあったが、やはり人は誰もいなかった。

 ソフトクリームの係りの人が出てきた売店らしい大きな建物に入ったら、何人か人がいた。まぁ、内容は千葉のマザ○牧場なんかと変わらないから、ざっと見て外に出る。それでも30分くらいはいただろうか。

 少し走ると、「吉無田高原」という看板が現れる。ヨシムタ高原?、なんか聞いたような気がするのだが。

 水汲み場のような場所が現れる。通り過ぎてから、あそこで水を汲んで置けばよかったと相棒に話したが、あとの祭りである。

 程なく445号に出て、矢部町の街中に入る。此処から内大臣峡へは結構複雑な道になるらしいのだが、一応カーナビを内大臣峡の近くの発電所にセットしていたから、その指示に従って、通潤橋という道の駅の前を通ってから、細い道に入り、その道をグニャグニャと走る。

 内大臣キャンプ場との案内板もあるから間違いは無いのだろうが、本当に細い道である。

 途中、どことかとどことかが通行止めだとの看板が出ている。どこかが通行止めということはわかったが、それがどこかはわからない。なにしろ、そこにかかれているような超ローカルな地名など小生の持つ地図には出ていないのだ。ほぼ無視して先に進む。

 しばらく走ると、結構深い谷の側壁をグニャグニャと降りはじめる。高台からその下の川原に降りて行く道である。

 大分グニャグニャ曲がったら、川原沿いに走る道にぶつかった。

 しかし、内大臣方向だろう道にはこの先平家の湯までしか行けないと書いてある。相変わらずそれがどこだかはわからないが、そこに書かれた地図を見る限り、内大臣峡に行くには通行止めの先に行かなければならないようだ。

 その道の左側は直ぐに川を渡る橋になっていたから、その橋を渡って、またまたもっと細い川沿いの道を内大臣峡に行くだろう方向に走ったら、直ぐ先で通行止めになってしまった。近くで工事が行われていたから、その工事の人に、内大臣峡に行きたいと聞いたら、土地の人ではないらしく、わからないという。

 実はこの川沿いの道は、反対方向も何とか郵便局までで、また通行止めになっているらしい袋小路らしいのだ。此処からは引き返すしかない様だ。

 諦めて引き返したら、地元の人のような犬と歩いていたおばさんがいたので、聞いて見たら、やはり、側壁の上まで上がってから、内大臣橋を渡ってゆくしかないと教えてくれた。で、町まで戻るのかと聞いたら、その手前の何とかというところから行けるから、上に上がったら人に聞けと教えてくれた。

 またウネウネと道を登り返して、適当なところで左に行く道に入って少し走ったら、プロパン屋さんの自動車が停まっており、配達しているらしい人がいた。

 自動車を停めて、その人に聞いたら、左に曲がって左に曲がって左に曲がって行けば内大臣橋に行けると教えてくれる。実際はもっと細かく教えてくれたのだが、何しろ記憶力が大変に減退してしまっている小生に相棒だから、結局はその左に曲がれということしか覚えられなかったのだが。

 言われた通りに何回か左折していったら、広い道に合流した。その道もしばらく走って2つ目くらいの信号を左折と教わったはずなのだが、小生の感覚では右折で内大臣峡に行くように思えてならない。少し不安になりながら、走っていたら、大きな案内地図のある駐車スペースが左側に現れたので、そこに自動車を停めて地図を眺めてみた。

 地図の右上のほうに内大臣峡と書いてあるから、やっぱり右に曲がるんだよなぁと漠然と感じて、もう少し地図を調べたら、やっぱり少し戻って小学校の脇を左折するように見えてきた。そう考えるとなんかすっきりしたから、そこからUターンして学校を探しながら走ったのだが、学校も見つからず、左折する道も見つからない。そのうちもう直ぐ街中的な雰囲気になってきたから信号を左折してUターンしてきてから先程の案内板まで戻り、駄目もとでなおも先に進んだら、内大臣橋への案内板が出てきた。その先信号も出てきた。2つ目の信号では内大臣への案内もあった。やっぱり左折左折は正しかったようだ。

 物凄く高いところに架けられたアーチ橋がその内大臣橋らしい。その高さと形で有名な橋の様だ。

 橋を渡り、直ぐに川沿いの道に分かれると、やっぱりこの先通行止めの看板が出る。でも、内大臣峡はその手前で右に分かれる道を行くらしいから、安心したら、途端に内大臣林道は10km先で通行止めだから何とか峠方面には行けないとの看板が現れる。

 その通行止めの場所は内大臣峡の手前なのか先なのかがまたわからない。15分位い林道を走るとあるから、時速20kmくらいなら5kmくらい先だから大丈夫の様だが、クライマーに多い時速30kmくらいで走る人だったら結構ぎりぎりのところかもしれない、等と考えてみたが、ここまできたら行くしかないと考え、先に進んでいった。

 林道は結構手入れがされていて、これならもしかすると時速40kmでも走れるかもと思えてくる。とすると?

 進むにつれ、やはり路面は幾らか荒れては来たが、林道としては相変わらず走りやすい路面である。

 山腹の結構高いところを走ってゆく。どこまで走るのだろう。一応時間は見てはいるが、こういう林道は人によって結構大きな時間の差が出るものだ。おまけに目標も、「川底がだんだん高くなり岩も見えてくる」だけだから、ちょっと見方が違えば、もう降り口を見つけられないかも知れないのだ。

 自分としては結構ゆっくりなペースで進んでいったら、岩が見え始めた。この辺だろうか。でも、川床はまだ少し低い。

 橋が現れ、対岸に渡ると、飯場のような小屋が現れる。少し先に行くと発電所のような建物が現れ、再び橋を渡って対岸を走る。

 相変わらず川原にはボルダーがゴロゴロしている。こんなにボルダーが続いたら、どこだかわからないではないか。そう思いながら、なおも進んだが、これではどこまでいっても同じではないか。本当にそう思えたから、適当なところで引き返す。

 まてよ、ここでコンペをやったんだから、自動車が何台かは停められるところが近くに無ければならないはずだ。とすれば、あの飯場の前後しかないではないか。岩も見えてくるとしか書いてないから、最初に岩が見え出す辺りの岩かもしれない。

 まぁ、そう考えて、最初に岩が見え始める辺りまで戻り、そこから、再び駐車スペースを気にしながら登り返す。

 最初に杉林の脇に自動車が数台は停められそうな場所が出てきたから、そこに自動車を停めて、何人もの人が降りたであろう川原への降り口を探してみる。

 あった。道の土抱えの部分の中ほどに足台に丁度良さそうな岩が出っ張った場所が有り、その下からは踏み跡が杉林の中を川原の方向に伸びていた。ここだ。

 川原に降りる前に、一応林道から川原の岩を偵察する。既に3時を少し廻っていた。

 上流だろう方向には橋桁ボルダーという岩があるらしい。ということは橋桁の残骸か何かがあるはずだ。上流に少し歩いて木立の間から探してみると、なにやら塔のようなものが対岸の藪の中に立っているのが見える。あれだろうか。木々に邪魔されているし、色も廻りの藪と余り変わらない茶色だからはっきりはわからない。でも多分そうだろう。

 下流方向に行って、ビッグオニオンらしい大きな岩を探す。と、言われれば玉葱かなと思えないでもないそれらしい岩が見える。多分そうだろう。2箇所が一致すれば間違いは無いだろう。

 支度をして川原に降りる。

 川原に降りた直ぐの場所には課題を設定された岩は無いらしい。課題が設定された岩はそこよりも下流と上流の様だ。

 一先ず、下流の方の探索を始める。

 ここの課題は殆どが対岸だから、対岸に渡る。といっても、渡渉は苦手だし、相棒も一緒だから、結構苦労して対岸に渡る。

 ビッグオニオンの脇を通り下流に向かうと、写真で見たことのある大きな壁を持った岩が現れる。位置的にも、ハニーロックの様だ。多分コンペの時に垂れ幕などがかけられた岩のようだ。トポをみると、その壁は1級/初段らしい。触るだけにする。

 その後、オーサムロックなどを確認したが、如何せん、トポのこのエリアには難しい課題しか載っていない。一番易しいのが3級なのだ。小生のグレードではないのである。高い岩も多いし。

 適当に簡単そうなところをチョコチョコッと登る。それだけでは何だから、一応「味千」の記念撮影も敢行する。

 上流のエリアに移動する。

 橋桁ボルダーの手前の川の中に上に木の生えた大きなボルダーが見える。この辺はトポの流れとは大分に違っているようで、大半のボルダーが流れの中になっている。

 このエリアは5級から10級の課題が幾つか紹介されているから、それを登ろうと岩を探してみたのだが、殆どが取り付きが不可能になってしまっている様だ。「熱唱!五木ひろし」も触りたいと思ったのだが、はるか川の中で近寄ることすら出来なかった。

 ここでも適当にお茶を濁し、早々に退散した。

 およそ2時間くらいだったろうか、一応靴は履いては見たものの、たいしたクライミングは出来なかったのである。それでも福岡スラブ10級くらいは登ったのかなぁ。少しだけ残念だった。

 やっぱり台風が影響していたようだ。

 帰る途中、内大臣橋の袂で自動車を停め、橋の途中まで歩いて行って、下の川を眺めてみた。本当に高い橋だった。

 町の手前で、迷っているときに確かJチェーンの店を見かけたので、その店に行くことにする。しかし、その場所がどこだったかわからなくなってしまっていた。

 相棒は最後の国道沿いだと言うのだが、小生は町から国道に出る手前だった記憶がある。小生の記憶で行ってみたら、違っていたようで見つからない。相棒になんだかんだ言われながら国道を戻ったら、右側にあった。

 その店で、カードの利くガソリンスタンドを教えてもらって、少し町まで戻ったら、大きなスーパーがあった。当然そのスーパーに寄る。

 コタツ用の銀マットを売っている。小生のテント用の銀マットはもうビリビリである。おまけにそのコタツ用の銀マットは安売りをしていたのだ。内の方で買ってももう少し高そうだということで、その銀マットを2枚買い込んでしまった。

 その他色々のものも買い込んでしまう。極普通の買い物である。

 今夜は五木まで足を伸ばすつもりである。

 218号線をしばらく走ってから445号線に入る。

 この445号線だが、最初はそれほどでもなかったのだが、山に入ると急に細くなってくる。廻りも真っ暗である。しまった。当然予測された事態では有ったのだ。でも行くしかない。

 相変わらずグニャグニャ曲がりながら高度を上げて行く。なんだか峠を越えるらしい。当然対向車はない。これで対向車があったらもうお仕舞いだったかもしれない。そんな感じの所だ。

 峠の上に出ると、その先の空がなんだか明るい。多分大分先の八代辺りの明かりだったのだろう。

 再び暗黒の中に入って行く。しかし、それまでよりは幾らか道は広がる。多分五木村に入ったのだろう。

 いきなり木の板が敷かれた道になる。どうやら川の上に仮設の橋を作って、その橋を走らせているようだ。橋というよりは、川への張り出しという感じで、あっちに渡ったりこっちに渡ったりしながら、結構長い間走らされた。初めての経験である。ここも台風で側壁に作られた道が崩れたのかも知れない。

 一方通行が現れる。丁度信号が青だったから待つことなく通ることが出来た。といっても、未だ一台の自動車ともすれ違ってはいない。当然追い越されてもいない。多分大変な山の中なのだろう。山道に入ってから今までに見えた電灯の明かりといえば、峠にあった茶店のような建物の明かりと、この信号だけだったのだ。

 しばらく走ると家が見え始める。やっと人里に降りてきたようだ。自動車も走り始める。ほっとした。

 五家荘への道を分ける。ここがかの有名な五家荘か。明るければ寄るのだが。

 やっと道の駅に到着する。当然ほかに自動車はいない。

 障害者用の駐車スペースの脇に自動車を停め寝る用意をする。丁度10時頃だから2時間くらい暗い細い道を走ってきたのだろう。

 トイレから戻るときに、その障害者用の駐車スペースを横切ったらいきなり照明が燈された。センサーがあって、勝手に電気が点いたようだ。

 序だからと、わざわざ再び照明をつけて残りの用意をしてしまった。


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作成年月日 平成17年 1月12日
作 成 者 本庄 章