茨城県内某所のボルダーその3

2004年 3月 9日記
 日曜日の日に、相棒と二人で、またまた茨城県内某所のボルダーに行ってきた。

 朝、少し遅くなったが、8時45分頃家を出る。その日は何時ものコースである海沿いの道が、マラソンコースになるらしく、9時から一部通行止めになるらしいのだが、何とかぎりぎりで間に合い、何時もの通り走ることができた。もう少し遅れるともっともっと遅くなってしまう可能性があったので、なんとなくホッとする。

 今回も仲間が行っている可能性があったので、途中高速道路を使い、何時もの峠まで行く。

 実は、今までは土曜日だったので、日曜日がどれくらいの自動車が集まるのか不安だったのだが、着いてみると先客は2台のみだったので、何とか峠のハイキングコースの直ぐ脇に自動車を停めることが出来た。

 しかし、仲間の自動車は無い。どうやら来てはいないようだ。一瞬、他の所に転戦しようかとも思ったが、そのまま支度を整えて歩き始める。

 もう3回目だから、そんなにきつくは感じないが、でも、やっぱりきつい登りである。

 途中、少し平らな峠に出るのだが、そこから麓に降る登山道が付けられている。今回は、この道に入って、少し下部の方の偵察をして見ることにした。

 その道は、峠から、物凄く大きな岩のあるエリアの方向になだらかにトラバースしながら下って行く。これ幸いとその先に進んで行く。

 途中岩らしいものは見えず、僅かに降りながらほぼ真っ直ぐに進んで行く。この感じだと、物凄く大きな岩のあるエリアからの沢の下部に直接行けるかもしれない。そんな期待を抱きながら尚も下ると、その道は途中で大きくカーブをして反対方向に下るようになる。

 丁度、その大きなカーブのところに、その道の延長線上に踏み跡が入っている。当然、その踏み跡に入る。

 相棒が遅れていたので、目印としてそのカーブに荷物を置き、踏み跡を少し先まで入ってみる。

 急な傾面に落ち葉で覆われてはいるが、幅20〜30cm位のしっかりとした踏み跡がほぼ一直線に水平に続いている。なんと理想的な。

 荷物まで戻ると、相棒がそのカーブを曲がり、少し先まで降りていたので呼び戻し、一緒にその踏み跡を歩く。

 途中、ちょっとしたザレで、一部道形がなくなっていたところがあったので、慎重に落ち葉を払い、地面を出して相棒を渡す。

 ちょっとした沢形を2つくらい越えた辺りから岩が出現し出す。思った通りである。しかし、皆急傾斜の中にあるから、近づくことすら至難の業である。とっても登ろうという気にはなりえない。

 尚も進むと、傾斜が緩くなり、僅かに水の流れる沢に出くわす。もしや物凄く大きな岩の前の沢では。

 傾斜も少し緩くなっているから、踏み跡から少し潅木帯に入り、平らな所に荷物を置いて一休みする。そう言えば既に昼時はとおに過ぎている。相棒とおにぎりを食べる。

 相棒と荷物をそこに残し、デジカメだけを持って、その先を少し偵察に行く。

 踏み跡の下の方に岩がいっぱい見える。その踏み跡の下からは再び傾斜が急になっているから、その踏み跡から外れて下に降るのは難しいが、本当にいっぱいある。踏み跡の上の方はというと、傾斜が緩いから見通しが効かず、岩らしいものはそう多くは見えない。

 倒木を越え、尚も進むと、道の上側の直ぐそばに垂壁面を持った少し大きめの岩が出てくる。こちらの方が踏み跡から下の傾斜はきついが、丁度、神戸の北山公園の将棋岩のようなロケーションと形である。

 もう少し進んで広い尾根を回り込むと、その先は急な傾斜になっており、踏み跡もわからなくなっている。こっちが物凄く大きな岩の前の沢の下流なのかも分からないが、地図を持ってはいないので、はっきりとは確認が出来ない。踏み跡を探せば探し出せるのかも知れないが、傾斜も急だし、相棒も残して来ているので、余り先まで行ってもしょうがないと思い引き返すことにする。

 廻り込んだ尾根は傾斜が緩くなっているので、その尾根を少し上まで登って見る。歩くことはできるのだが、登れるような大きさの岩は余り見当たらない。先に見た傾斜の急な沢の側も見に行って見たが、あい変わらず傾斜がきつく、木もあるからあまり良くは見えない。でも、周りは明るいので、結構稜線には近い所のようだ。

 引き返す途中、踏み跡の下側にワイドクラックが見えたので、そこを少し下ってみる。

 立ち木を使い、岩を使って下り、その岩が良く見える場所を探す。しかし、木が邪魔をして中々写真を撮るのに良い場所が見つからない。その岩に近づくのも容易ではない。適当なところで写真を撮り、小さな岩を攀じ登って踏み跡に戻る。この辺は結構形の良さそうな岩が有りそうだ。他にも何枚か写真を撮る。

 行きに見た将棋岩に似た岩の前に出る。この岩、日当たりが良いせいか、一部細い蔦が絡んではいるが、適当にホールドも見出せそうで、磨けば登れるかも知れないと思ったが、表面の風化は進んでいる感じだし、細かいフレークも剥がれ落ちそうで、掃除は結構大変そうに見える。踏み跡の下はやはりそれなりの斜面だから、落ちるわけにも行かないから、登るのは誰かと来たときの楽しみと言うことにして、写真を撮るに留める。

 相棒の所に戻り、その沢を詰めて見ることにする。

 沢は意外と傾斜の緩い所もあり、形の良さそうな岩も点在している。そんな中の一つに真ん丸いカンテを持った直ぐ脇に20cm位の太さの杉の木の生えた2mちょっとの岩を見つける。

 カンテの左側は岩が一部剥がれたような感じのほぼ垂直な面になっているのだが、カンテから右側はまん丸である。岩の上の方は寝ていて、マントルもそれ程悪そうではない。おまけに、カンテ部分に手ごろなスタンスが2つ3つある。岩が剥がれ落ちたと思しきところの縁はちょっとした窪んだ段差となっており、適当なホールドを提供してくれている。苔もそう酷くは無い。余り磨かなくとも登れそうだ。

 運動靴で離陸できるかどうか試して見ると、何とか離陸はできそうだ。荷物からブラシを引っ張り出し、スタンスと適当なホールドになりそうなところを大雑把に磨く。

 靴を履いて、取り付いてみると、運動靴の時よりも簡単に離陸ができる。しかし、次に動けない。右足で離陸したのだが、左足がない。飛び降りて左足のスタンスを探す。

 スタンスになりそうな感じのところは幾つかあるのだが、垂壁だし、上からだと、その壁が少し引っ込んでいるから見難いし、ホールドもガバではないから、スタンスには使えそうにない。

 その岩の横の斜面の途中に出ている石に乗って、その岩の上のほうを探って見る。その石から、カンテの真中辺のスタンスに足を掛け、より上の方も探って見る。

 1mmか2mmくらいのフレークの淵は有るのだが、小生のホールドには不十分である。

 岩の上に回りこんで、上にかぶさっていた枯れ木を払いのけ、岩の上のほうを磨いて見る。やはり新たなホールドは出ては来ない。それでも可能性の有りそうなところを何箇所か磨いて置く。

 下に戻って、再び離陸して見る。今までは左足を左の垂壁に探していたが、右足で乗ろうと考えていたカンテのガバスタンスに左足で乗ってみる。物凄く安定する。よし、これだ。

 右足はカンテの右のほうを巻き込んでヒールフックの様にして左手を寄せ、カンテの右側の方のホールドを探して見る。しかし、僅かな凸凹はあるが、ホールドできそうなところは無い。左奥の少しだけかかるホールドのまま右足を上げるしかないか。

 右足のスタンスを探して見る。

 傾斜が少し寝てくる場所に結構使えそうなスタンスを見付け、磨いてチョークで印を付ける。

 離陸して、右足をそのスタンスまで上げて見る。しかし、体が硬いからか、そこまで僅かに届かない。例え届いても足を結構上げているから、スメアで利かせるには少し無理のようだ。

 傾斜の急な斜面に飛び降りて、またまたスタンスを探す。

 ちょっとした岩の凹みに僅かな外傾したスタンスを見つける。これならしっかりと置ければ利きそうだ。

 やって見たのだが、そのスタンスの上の出っ張りが邪魔をして、見えないし、その場所に靴が置きにくい。何回か試行錯誤をして見たが、中々利く感じで足が置けないので、そのスタンスに乗り込めない。2回か3回位やって見たが、怖くて乗り込めない。

 新たなスタンスを探す。

 あった。その少し上に、ちょっとした結晶の突起がある、確実に乗れそうなスタンスがあった。

 磨いて印を付け、使って見たら、十分に乗れた。その足に乗り込んで体を上げたのだが、次のホールドに手が出ない。岩の上のほうの平になった辺りのちょっとしたホールドに届けば多分登れるのだろうが、右足に乗れたといっても、スメアチックに乗っているから、手を放すことが出来ない。思い切って手を飛ばせばよいのかも知れないが、落ちると大変だから、その手が出せない。何とかバランスをとって、顎まで動員して右手を飛ばす。手は留まったが、体を上げるほどは利かない。左手は細かいホールドで体を支え続けていたから、既に疲れきっている感じである。体を上げるほどの力が入らない。泣く泣く飛び降りる。

 もう少しなのだが、既に左手が大分に疲れているから、もう頑張れそうに無い。諦めよう。

 永遠の宿題になりそうな予感もあって、心残りではあったが、荷物を纏め、歩き出す。

 岩を越え、青木を掻き分け、枯れ木を跨いで沢型を上に上にと登って行く。枯葉が厚く積もっているから、足をとられるところがあったりするが、何とか木に捉まって急な斜面を登ったり、小さな石を攀じ登ったりして高度を稼ぐ。

 少し傾斜が緩くなってきたところに、尾根筋の登山道の脇にある岩に良く似た岩が出現する。やった、あの岩だ。もう稜線だ。相棒を待ち、その岩を左側から廻り込んでみる。

 どうもおかしい。その先も急な斜面に岩がぼこぼこ出た斜面が続いている。残念、あの岩では無かったようだ。でも、そろそろ稜線と言う感じではあるのだが。重ねて残念。

 仕方が無いから、まだガサガサと急な斜面を登って行く。傾斜も増し、岩の量も増え始める。

 結構大きな岩の基部に出る。この岩は登れそうに無い。少し廻り込んで岩の切れ目を拾って上に登って見たが、その先もまだまだ岩が続いていそうである。多分物凄く大きな岩の裏の沢を登って来たようだ。これでは相棒にはこの先は無理だ。引き返すことにする。

 傾斜の比較的緩い所まで下り、物凄く大きな岩のところから張り出しているであろう尾根の方向に向きを変え、進む。その辺は比較的傾斜が緩く、岩もそれ程無いから、比較的歩きやすい。

 その尾根の向こう側の沢側の所まで回りこんでゆくと、その先は傾斜が急になっているが、その傾斜が急になる手前辺りが歩きやすかったので、そこを真っ直ぐに上に登って行く。

 段々傾斜がなくなってくる。多分、もう物凄く大きな岩の近くのようだ。相棒がまだ下だから、一応そこに荷物を置き、先を偵察に行く。

 やった。踏み跡だ。やっと踏み跡に出た。少し走る感じで先に行くと、ここに初めて来た時に一番最初に登った岩の前に出た。もう大丈夫だ。

 戻って相棒を待ち、もう直ぐ道に出ることを告げる。

 2時過ぎである。結構時間が経ったような感じがしていたが、2時間ちょっと位しか経ってはいなかったようだ。

 物凄く大きな岩の前で一休みした後、急な斜面の登り返しでもう大分に疲れてしまっていたし、これと言って登りたいところも見当たらなかったので、少し早くはあったが、帰ることにする。

 帰りは早い。何しろ行く手を邪魔するものは何も無いのだから。

 急な広々とした登山道を走るように下り、峠の少し手前まであっという間に着いてしまった。

 峠からほんの少し登った所に、真っ赤に錆びた字が全く見えなくなった指導票のある脇道に、まだ時間が早いからと、入ってみることにする。

 杉林の中に緩やかに下る道が続いている。5分くらい下ったのだが、相変わらず杉林の中である。段々傾斜も増してくる。その先あんまり面白そうな所も無さそうだと、引き返す。

 その分岐から峠まではほんの1〜2分だった。

 来たときとは反対の方向に少し下り、湧き水で手を洗った後帰路についた。

 家の近くまで行ってもまだ5時過ぎである。相棒が寄りたいと言っていたホームセンターに寄り、結構遊んでから、また別のスーパーに寄って時間を潰したものだから、結局は何時と余り変わらない時間の帰還となってしまった。

 大いに疲れはしたが、でも、充分にのんびりとしたボルダー探しの旅ではあった。宿題も有るし、また行こっと。


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作成年月日 平成16年 2月27日
作 成 者 本庄 章