檜原湖に行ってみました

2001年10月22日記
 先日の土日で裏磐梯方面に行って来た。これは、ボルダリング目的ではなく、社員旅行の一環である。

 丁度この時、仲間は小川山だとのことで、本当は行きたくはなかったのだが、それはそれ、小生も若くはないものだから。

 今回の日程の中に檜原湖が入っていたので、一応靴とチョーク、人工芝から大きなブラシまで用意して参加する。おまけに、普段殆ど履く事のない運動靴まで履きこんで出かけたのだった。

 午後3時頃、盤越道を降り、裏磐梯方面に向かう。

 途中そろそろ紅葉が始まりかけた所辺りから渋滞が始まる。そして、五色沼辺りから殆ど動かなくなる。五色沼に車を止めて歩きだしたであろう人達が我がバスを追い越して行く。やっぱりシーズン中の行楽地にはあまり来たくはないものだ。

 やっと檜原湖の駐車場に到着する。自由時間は30分。これでは、インターネット上の情報に有ったように、ボートで探索なんてことは無理だ。歩いて行ける湖の周りを探索する事にしよう。まぁ、混んで無くても1時間位しか時間をとってないから、最初からボートは無理では有ったのだが。

 土産物屋を抜けて湖畔に立つ。檜原湖は以前一度来ている筈なのだが、記憶は殆ど無い。結構大きな湖だ。

 水辺は全部石である。しかし、そのほとんどが1m以下の小さな石で、登れそうな物は見当たらない。工事中の所の下の湖岸に僅かに登れそうな石が見えるが、工事中の中をわざわざ降りて行くのも大変なのでそのまま造りかけの道を進み、その先の林の中に進む。

 この造りかけの道はそこでUターンをして湖畔の方に降りて行くのだが、そのまま真っ直ぐに林の中に踏み跡が続いているので、それを辿って林の中に入る。

 思ったとおり林の中には石が結構点在している。しかし、そのほとんどが小さく、登れそうな石は見当たらない。適当に先に進む。とは言っても、時間はすでに5分も経過している。そんなにゆっくりはしてはいられない。あと10分位先迄歩いて、それでも無ければそこから引き返さなければなるまい。

 少し進むと踏み跡の脇の少し奥に2〜3m位の石が見える。それを目指して踏み跡をそれる。林の中だから藪にはなってはいないが、木の枝や倒木、そして小さな岩とか、決して歩き易いわけではない。

 目的の石にやっと近付き、石を見ると、上は木が茂り、正面は傾斜が無い。左の方は下が1m位掘れており、少し被っている。

 灌木や石を乗り越えてその窪みに降りると足が潜る。倒木や石の隙間の上に落ち葉が溜まっているらしい。慎重に足場を選んで降りる。

 壁はガバガバ。リップは苔苔、下地は激悪。登っても面白くなさそうだ。即止める。

 そのまた少し奥に少し大きな石が見える。その石を廻りこむ。

 そこはきれいな垂壁である。が、ホールド、スタンスは見当たらない。リップは分厚い苔の絨毯である。ちょっとの掃除位ではとても触れるようにはなりそうも無い。石の上に立つなんて論外だから、リップのトラバースだけでもと考えたがそれも無理である。諦める。

 時間はすでに半分を過ぎた。移動して石を見るだけでも時間が掛かるのに、掃除して靴を履いてなどは無理だ。まだ何にも登っていない。少し焦る。それではと、多分掃除をする必要の無いであろう湖岸の石を探す事にする。

 その林を出て湖岸に行き、水辺を、来た方向に石を探す。

 土産物屋の前の湖岸からは見えなかったが、林と水辺の堺当りに結構大きな石がある。といっても2mかそこらだが。

 そんな中の一つに、下が少しハングし、上が少し寝ている岩を見つける。マントルが出来そうだ。

 リップを触って見る。高さはマントルには丁度良さそうだ。が、ホールドはスローパーのみで甘く、スタンスも顕著なものはない。4級や5級のマントルでは無さそうだ。1回や2回の試技では登れそうに無い。下地は石、そしてゴミ。靴を履いてる時間も無い。やる気も失せる。時間が有ればやって見たいとは思ったし、少し惜しい気もしたが諦める。

 さっき土産物屋の前から見えた石がこの少し先の一寸した岬状を廻りこんだ向こう側にある筈だ。それを見ることにしよう。

 護岸工事が行われた所を通り、一寸した岬を廻って石を探す。

 これだったかなぁ。やけに小さいなぁ。登れないや。だめだ。諦めるしかないか。もうあと7分位しか時間が無いし。バスに戻るしかないか。

 我々の停まったバスの駐車場の道を挟んだ反対側にも駐車場がある。その駐車場の脇は山だ。まだ僅かだが時間はある。最後の望みを託して、その駐車場に行って見ることにする。

 お影様で道は渋滞していたからすぐに渡れた。駐車場を奥に進むと、隅に、多分この駐車場を造成した時に片付けられたであろう、小さな石が転がっている。

 もう本当に時間が無い。もうあれしかない。何がなんでも檜原湖で石に登らなければ。ザックを背負いなおし、そこまで走る。

 1m位の石が3つ程ある。ボルダーとはとっても言えない。でも石には違いは無い。靴を履いている時間はない。

 左手は左のカンテ、右手はオポジション。右足を石に上げて離陸。無事左足を石の上に乗せる事ができた。グレードは10級の無茶苦茶易し目、って、下駄でも登れる程度だが。

 ついでだと、その隣も登る。こっちはもっとやさしい。ノーハンドでも登れる。でも両手を使って少しSD気味に登る。

 やったー。檜原湖でも登ったー。まだ時間は2分位はあるかも。で、帰りは余韻に浸りながらバスまでゆっくりと歩いて戻る。なんてことはないが。

 宿の傍には五十川という川が流れている。若しやとバスの中からその川を偵察するが、小川で渓谷を形成している訳でもないから、石なんか有りそうにも無い。山の中にしか望みは無さそうだ。

 宿に着き、集合写真を撮ったりしていたら、既に夕暮れが迫ってしまった。これから外に行っても成果は期待出来そうにも無いからと、その日は宿の周りの探索は諦めて風呂に入ってしまった。

 夕食の時に念のため仲居さんに聞いて見たが、この辺に大きな石は無さそうだった。

 翌朝、早めに起きて石の散策でもと、寝る時には思ったのだが、朝になって見ると、いつもと変わらずに朝ご飯を食べていた。なんとも軟弱な事だが。

 この日は午前中にこの近くの高玉金山を見学する。

 ここは日本の3大金山の一つだとかで、結構有名な所らしいが、知らなかった。

 トロッコ電車で坑道に入る。周りは石だらけ。若しや。

 トロッコを降り薄暗い坑道を歩く。当然石を触る。脆い。駄目だこりゃ。

 あちこちに「石には触るな」と書いてある。でも、やっぱりホールドになりそうな所が見つかると触ってしまう。そこそこ持てそうな所もある。少し期待する。

 脇に天井辺りから上に向かって坑道が分岐している所がある。そのためか、ここは天井が少し高く少し広い。そして、側壁が少しハングしている。見ると良さそうなカチがある。当然触る。硬い。崩れそうに無い。持てる。右上にはこれまた手頃なホールドが見える。

 よし。左手でスタート。少し遠い右上のホールドを触る。ざらざらする。濡れている。崩れそうだ。だめだ。あれを取れば、その分岐した坑道のリップに触れるかもと思ったのに。残念だ。でも、離陸はできた。良しとしよう。

 外に出て明るい所で手を見ると手が黄金色に変色していた。やっぱり粉粉だったようだ。

 土曜、日曜と2日に渡って、結局はフラートソールを履きチョークを手につける事も無かったのだが、また、仲間の小川山を恨めしく思いつつではあったのだが、何とか石に触る事ができた。これは大収穫と言っても良いのだろうか。

 まぁ今回も、先の大洗と並ぶ素晴らしいボルダリングであったことには間違いが無いであろう。

 とまれ、充実した2日では有った。


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作成年月日 平成13年10月22日
作 成 者 本庄 章