ハッピー

2002年 3月 4日記
第3日目

 今日はハッピーに行く。

 朝7時前に起床。仲間はまだ起きていない。7時過ぎ、仲間の一人が起きたので、独りで町に出て見る。

 既に角のスポーツ用品屋は空いている。町のメインストリートを歩くと、コーヒーショップ等も空いている。やっぱりカウボーイは朝が早いのかなぁ。

 マウンテンショップまで行って見る。といっても、モーテルからは5分かそこらだ。

 さすが、空いてはいなかったが、9時から開くと書いてある。店の1軒か2軒先には通りから入れる駐車場もある。この駐車場が使えそうだ。

 帰りがけに、モーテルの近くに大きなキャンピングトレーラーがいっぱい停まっている所があった。

 朝食は昨夜買ったカップヌードル。何しろ英語だから、ベリーホットという文字を見過ごしてしまったようだ。朝から辛いの何のって。幸いソーセージも一緒に食べたので少しは辛さが和らいだが。

 9時頃出発。夕方は6時で閉まってしまうので昨夜は寄れなかったマウンテンショップに、先程偵察した駐車場に車を置いて、自炊の為のガスカートリッジを買いに寄る。序に、キョンで膝を少し傷めたと言う団長がサポーターを買う。

 一昨日偵察に来た入口の駐車場に到着。月曜日だから他に車はいない。でも、既に日差しは強い。

 車が1台到着する。女性が1人だけだ。マットを下ろしているからボルダリングに来たらしい。

 団長がサポーターを着けたらガバガバ。フリーサイズということらしいのだが、将にアメリカンフリーサイズである。どうにも使い物にならないらしい。小生がマウンテンショップの向にスポーツ用品屋があったと言ってしまった物だから、また戻って買って来ると言う。なので、我々は先に岩場に行くことにする。

 先ずはローキャニオンエリアでうろちょろしていようと、マットを背負ってトポを持って出発する。

 ここハッピーは、溶岩大地に削られた渓谷の中に点在する火成岩のボルダーである。溶岩台地の端ッ子を走る道からその渓谷を登って行く。渓谷といっても、今は全く水はなく、ただ細長い広い溝である。

 溶岩台地の端ッこの斜面に付けられた、石ころできちんと囲まれた、斜めに上がって行く砂の道を登って行く。途中、砂漠の植物を守るためトレール以外には入るなと、多分書いてあるだろう、看板がある。その斜面の上の方には石ころが露出している。その斜面を2/3程登ると渓谷の入口となる。その辺からは岩がごろごろしだす。そこから台地の中に谷が伸びているらしいのだが、岩が沢山あるから谷の全容は見えない。

 石ころできちんとトレールが作られているし、トレール以外には足跡も無いので、勝手に岩の間に入って岩を探す訳にも行かない。最初の目的の岩が、多分トレール沿いの大きな岩のすぐ後ろだろうと思われるのだが、そこに行けない。少し戻って、トレールの分岐に入る。そうすると今度は岩の配置がわからなくなってしまう。おまけに岩が混んでいるから背負っているマットもじゃまだしで、結構てこずって目的の岩の前にでる。

 高い。下には岩がある。危ないじゃないか。Rマークが無いじゃないか。これくらいではRじゃないのか。おまけに上の方がクラックだし、一発目から登る課題じゃない。とかなんとかぶつぶつ言いながら、次の三ツ星課題を探す。すぐ裏の岩の裏にあるはずだ。

 今度はすぐに見つかった。こっちも少し高いが、下地はそんなに悪くはない。最後まで多分ホールドも見えるし。ということで、この課題でアップする。メインのトレールを何人かの人が通って行く。さすがハッピーだ平日でも人が来ると感心する。

 仲間に続いて小生も登る。町に引き返した仲間も合流し、登る。

 先に見た課題に戻って、それを仲間が登る。クラックに移る所が少しいやらしそうだったが、クラック自体は問題は無いらしい。仲間に続いてなんとか登る。

 メインのトレールに戻り、その先のトレール沿いのV4の課題が面白そうだと仲間が登る。仲間1撃出来なかったが、2撃目に登る。やっぱり少し悪いらしい。小生も真似をするが、3手目か4手目の2本指ポケットが結局持ち切れず、3回か4回挑戦するが敗退する。

 トポに絵のある被った岩の課題、たぶんレイヴというのだと思うが、に二人が挑戦する。ここは小生のグレードではないから、その横にある岩のコーナーという星二つのV0の課題を登って見る。傾斜は無いし、ガバガバだからすごくやさしい。しかし、最後のガバのフレークがすごく薄い。触ると壊れそうだ。少し高いし、それを使って岩の上に出る所だから、なんか恐い。そーと使って上に抜ける。

 彼らの横のV2となっているメス・スカーラーとかいう課題を触って見る。被っていてSDだからスタートからきつい。なんとか身体を振ったりして2〜3手は行けるが、その先のホールドが悪い。地面からその辺のホールドを探るがどのホールドも甘くて小生には持てない。少し休んでから、次に取るであろうホールドをピンチで持って見たりいろいろやって見たがやっぱり駄目だ。

 諦めて、フランス青年にやってもらったら、やっぱり悪いと言う。V2ということだから、カンテを使うかもと、カンテのホールドを探ると、カンテの奥にガバがある。でも少し遠くて、疲れてしまった小生にはやっぱりきつかった。

 隣の岩からなんかすごく賑やかな声が聞こえて来る。女の子の声だ。でも、岩の裏からだから姿は見えない。声とマットに飛び降りる音しか聞こえてこない。

 シェパードみたいな犬が寄って来る。手を出すとなめて来る。馴れ馴れしい犬だ。

 バターミルクでもそうだったが、この辺はイヌ連れのボルダラーが多いようだ。バターミルクなんか2組みに1組は犬を連れていたと言っても過言ではない位に犬がいた。そして、結構多くの犬の糞を見た。まぁ、乾燥しているから、日本みたいに踏んづけたらという心配は殆ど無かったが。

 隣の岩ではどうも岩を一周するトッティートラバースという課題をやっているようだ。二人の女の子とさっきの犬が我々から見える面に廻って来た。どうやら高校生位の女の子達だ。日本だったらすぐにお友達になる所なのだが、誠に残念である。

 仲間も、何とか上の方は完成したらしいが、下から続ける事が出来なかったようだ。離陸が出来なかったとか。やっぱり、初めての岩場で、自分の限界グレードに近い難しい課題を僅かな時間で落とすのは相当に難しい。結局2〜3回で登れなければ諦めてしまう。なにしろ、課題がいっぱい有り過ぎるから。

 仲間がレッドラムという課題で遊び始める。小生は、近くのハッピーボルダーとか周りの岩を見学し、色々と写真を撮ることに専念する。

 すでに2時頃になったので、本来の目的だった、といってもこの辺がV1V2クラスの三ツ星が多いからこの辺にしよう的な目的だったのだが、トップキャニオンに行くことにする。

 トポだと、少し離れている様に思えたが、で、事実少し岩の少ないところを通りはしたが、すぐに側壁にある、目的のアメリカンヒーローという課題の下に到着する。

 トップキャニオンとは名前の通り一番奥の一番上のエリアである。そこの側壁だから、一番高いところにある。ハッピーの全容を写真に収めようと、もう少し高いところ、もう少し谷の通せるところと岩の間を登ってゆくと上の台地に出てしまった。ほんの少し登ったら、そこはもう溶岩台地の上だった。

 相変わらず、小さな草みたいな木がまばらに生えた平らな土地が遠くの山の裾まで広がっている。途中構築物など何にも無い。ただだだっ広い平地が広がっている。本当に何も無い。はたして、あのビショップの町を維持する町の外に住んでいるであろう人達はいったいどこに住んでいるのだろうか。そして、その人達はいったい何をやっているのだろか。大変に不思議な光景であった。

 仲間の元に戻り、昼食にする。といっても、ライ麦パンにバナナだけであるが。

 仲間はなんとかアメリカンヒーローとかいうV4の課題を登る。溶岩の地表近くの岩だからすごくもろいらしい。それに高さもあるから怖いらしい。小生はその横のマリッジゴーラウンドとかいうV0−の課題を登って再び台地の上に出る。全部ガバだが、やはり上の方は岩が剥がれそうで、怖かった。

 少し戻って、やはり側壁のなんとかビッグバッドファイヤーとかいうなんだか長ったらしい名前のV2の三ツ星の課題に行く。しかし、この課題、V2といいながら、仲間が撃退される。結局何回かで登るが、上の方でデッドが出てくるのだ。高いし、ホールドの掛かりがわからないから、そこがなかなか手が出せなかったらしい。フランス青年がそこのホールドを取って登った後、団長も登る。

 小生も取り付くが、2手目か3手目のサイドガバまでで、その先のバランスの悪いホールドが足が無く取れなかった。デッドはその先である。

 メイントレールまで戻り、次のV0三ツ星を目指す。

 被ったカンテのガバガバの課題である。カンテの右と左と2本の課題が設定されえいる。共に正確にはV0+である。

 右のほうのスライスインデュースメントとかいう方は一撃できたが、左のシークレットツーサクセスとかいう方は、仲間のムーブに惑わされ、左のほうのガバポケットを取りに行ってしまい、動けなくなってしまう。仕方が無いからマットを敷いて貰ってそこに飛び降りる。2回目には左手をアンダー持ちし、上の少し遠いガバを取ってなんとか抜ける。

被っているし、疲れてきているから、手が腫ってしまった。

 セレンゲティというエリアまで戻って、ブリーチドボーンズとかいうV3/4の課題を仲間がやるというので、小生はその近くのV0−の三ツ星、エアリアルサーベイランスとかいう課題を登る。

 一応少し高い岩だったから、降り口らしいところを登って、降りられることを確認してから登る。

 ポケットから大ポケットに行き、カンテを使って上の少し寝た亀甲状のスラブに出て、それを真っ直ぐに登って行く。カンテは使わないのかもしれないが、まぁV0だからと使ってしまったのだが、上はガバガバとはいえ、高いから怖かった。

 その裏側のV0の課題も大きなポケットがあって面白そうだったので登ってみる。

 仲間の所に戻り、V3/4の課題に触ってみるが、途中で降りる。

 向かいのセレンゲティボルダーに行き、小生が先に登ったV0−の三ツ星を仲間も登る。続いて、仲間がセレンゲティというV5の課題を登る。小生も触ってみるが、少し被った上が取れない。2回やってみたが、同じ。

 5時を回ったので、引き上げることにする。自動車に戻ると既に暗くなりかかっていた。

 ハッピーやサッドからUS6まで戻るときに、US6を走る自動車のヘッドライトや町の灯が真っ直ぐに見える。それらの灯を見ながら気持ちよく走っていると、突然道が曲がってしまう。廻りは街灯も家の灯も何にもないから、その道が曲がっていることが、本当に直前にならなければわからない。うっかり走っていると道を外れてしまう。そんな場所がUS6との合流点の直前にある。

 実はこの、ハッピー方面に行く、ファイブ・ブリッジス・ロードはUS6の延長線上にあり、US6はビショップからだと右のほうに曲がっているのである。そしてこの道は合流の直前で少し曲げて、US6のカーブの途中に交差させているのである。なんでこんなことになっているのかはわからないが、知らないで夜に走ると本当に怖い道である。飛び出しても、ぶつかる物は何も無いが。

 今日はガスボンベを買えたので、帰りにボンズに寄って鍋を買った。これでカップラーメンでは無く、袋ラーメンや生の食材が買える。メニューも増えるかもしれない。

 オレンジジュースが安かったので、3人ともこのジュースを買ってしまった。しかし、宿で団長がレシートを見ていて、ジュースが高いという。確か2ドル何がしが4ドル何がしになっている。間違ったのではないかと。しかし、次の日にそのジュースの価格を確認すると、2ドル何がしはボンズクラブの価格であった。このボンズクラブに入ると、いろいろなものが安く買えるのである。我々はこのボンズクラブには入らなかったが、実際は入ったほうが何かと便利だったようだ。今度行く時は入ることにしよう。

第4日目

 今日でビショップは最後である。荷物を纏め、9時頃宿を出てハッピーに行く。昼頃まで登ってからジョシュアツリーに移動する予定である。

 既に3日目であるから、大分疲れている。仲間も疲れているようだ。まぁ、今日は半分休養みたいな日としよう。

 ハッピーボルダー近くのザ・ソラリウムという岩のV0−の課題でアップ。その隣のソラリウムというV3の課題に取り付く。疲れ気味だし、ここで怪我をしてもつまらないし、一回では登れないから、マットを使用する。

 左手カチ、右手はカチを親指ピンチで離陸し、左ポケットを取る。足を上げて、右斜めカチ、左足を上げて左手甘いカチをとりに行く。ここ迄は2回目に行く。が、この左手の甘いカチが持ちきれず、リップを取りに行けない。何回かやったが、どうしてもリップが取れない。このリップが取れれば終わるのだが。

 しばらく休んでいたら、3人連れだったかが来てそのうちの女性が登りはじめる。小生のムーブとは違うムーブである。でも登れはしない。何回か左から出たり、右から出たりするが、2手か3手しか行かない。

 彼らが敷いたマットを借りて、小生も登らせてもらう。さっきの甘いカチまで行くが、そして、その甘いカチを持ってリップに飛びついてみるが、届かない。今回はだめだと諦める。

 仲間が登っているハッピーボルダーに行き、右の方のカンテの課題であるビッグチキンをスタンドアップで取り付く。SDだとV4だがスタンドアップだとV2である。三ツ星課題である。

 先ず、スタートが出来ない。スタートホールドに届かない。カンテの右下が少し傾斜していて高くなっている。少し右に寄って、少し高さを稼いで、右手はカンテのホールドで、左足をなんとかスタンスになりそうなところに乗せて、左手はスローパーに添えて、その上のカンテの右の水平カチに左手で飛びつく。それでやっと離陸する。右手を右上のカチに持っていって左手を途中中継しながらガバに飛ばす。というムーブらしいのだが、被っているからなかなか出来ない。

 休んで、何回かやって、団長にヒールフックのムーブを教わって、左手がやっとその先の斜めのカチに止まる。が、ここから動けない。

 次は、団長にヒールフックのやり方を教わり、ヒールフックがしっかり決まったので、その左手の左斜めのカチが飛びつかずにしっかり持て、その上に右手を添えることが出来る。が、足が外れる。何とか足は戻るが力尽き、そこで終わる。

 仲間は同じハッピーボルダーのザ・ハルクやディスコ・ディバなどをやっている。

 このハッピーボルダーはすごく被った面をもっていて、そこに仲間がやっていた課題がある。横から見ると本当にすごく被っている。140度以上はある。そこを一生懸命写真に撮る。しかし、あまり良い写真は撮れなかった。

 側壁のところにある、シークレットアレートという課題を登りに行く。この課題は、V2なのだが、岩と岩の間のカンテを登る感じの、落ちると後ろの岩にぶつかってしまう、そして、最後は岩の上からその後ろの岩の頭まで飛ばなければならない課題なのである。怖い課題なのである。格好が良いから登りたかったのだが、落ちるわけには行かないし、易しくは無いとの事だったので、仲間二人は登るが小生は登らなかった。少し残念だった。

 メイントレールに戻って、アルセアというV0の三ツ星課題を登ることにする。これも、高くて怖いから小生だけマットを敷いて上る。マットなんか在っても無くてもあんまり変わらない高さなのだが。

 続いてガールフレンドロックのV0をやる。これはステミングで凹角を登る課題であるが、結構面白い。

 サバンナボルダーの被った所のV2の課題をやるが、すでに相当疲れている。殆どできない。

 そろそろ移動しなければならない時間だ。名残惜しいが引き上げることにする。

 駐車場に戻ると、結構自動車がいる。こんなに人がいたんだ。

 折角だから、反対側のUS395側に走り、キャンプ場を見学してビショップの町に戻り、ボンズで最後の買い物をする。ここでクライミング誌を購入、こんなところでこんな雑誌を売っているのであった。

 さぁ、ジョシュアツリーに向けて出発である。

 ロスから来た道を途中まで引き返し、カリフォルニア14には入らずに、そのままUS395を南下し、I−15からI−215、I−10を経てカイフォルニア62に入ればジョシュアツリーである。

 カリフォルニア14と別れた所で小生が運転を交代し、ジョシュアツリーまで行く。途中、I−15とかI−215とか、結構広いハイウェイの合流や分岐が少し大変だったが、また途中で暗くなってしまったが、なんとかカリフォルニア62に入ることが出来た。

 ところが、ユッカバレーまではわかったが、ジョシュアツリーがわからない。あたりをキョロキョロしながら走っていたらどうやら通り越してしまったようだ。ガソリンも残り少なくなっていたし、その先ますます寂しくなって来るので、適当な所で引き返す。

 ガソリンスタンドで給油をする。結局そこがジョシュアツリーだったようだ。

 ジョシュアツリー公園の入り口を確認しに行き、その入り口への分岐のすぐ近くのモーテルい入る。

 部屋はすごく広い。電子レンジと冷蔵庫は無いが、風呂も広い。隣はコンビニだ。便利そうだ。

 今日も永い一日だった。


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作成年月日 平成14年 3月 4日
最終改定日 平成14年 3月13日
作 成 者 本庄 章