白州町のボルダーその2

2004年12月17日記

 土曜日の夜中から日曜日の日にかけて、久しぶりに相棒と二人で、あるHPで紹介されていた白州町の以前行った所とは別の場所のボルダーに行ってきた。

 金曜日の夜に出かける積りだったのだが、何となく出遅れてしまい、土曜日の朝もウダウダしてしまったので、ボルダリング行は諦め、午後になってから、予てから付けようと考えていたETC装置を買いに近くの自動車用品屋に行ってしまった。

 帰ってきて、天気予報を見ると、それまでは日曜日は天気が崩れると言うことだったのだが、日曜日も天気が保ちそうな気配なのである。天気が悪いと言うので日曜の外出は諦めていたのだが、そうなると家に居てももったいない。やっと付けたETCを試しても見たくなってきた。では、明日は、前々から行きたいと思っていた白州町のボルダーでも探しに行ってみることにするかということになった。

 で、また色々と考えた。

 うちの自動車はワゴン車なのだが、そのワゴン車での車中泊の場合、後席の背もたれを倒しても、僅かな段差が出来てしまい、尚且つ背もたれが少し斜めになってしまうので、完全なフラットにはならず、あまり寝心地が良くなかった。そのため、少し厚めのコンパネを買ってきて、背もたれを倒した後席に敷いてみたのだが、未だその寝心地を試してはいない。しかし、年末のボルダリング行に向けて、その寝心地を一度はテストしておかなければなるまい。

 朝早く出るよりは夜遅く出ることの方が楽だ。

 それよりなにより、ETCを使うと、3割もの夜間割引というなんともありがたいサービスが受けられるらしい。となれば絶対にその恩恵を享受しなければなるまい。

 ということで、急遽土曜日の24時過ぎに近くのスタンドでガソリンを入れ、出発する。

 装置を付けたその日の内のETCカードの発行だったので、そのカードが使えるかどうか、ほんの少し不安があったのだが、首都高の千鳥町のインターのゲートに近づくと、ETC装置からピピッと音がして、ゲートのETCの文字が点灯して、係員の「通れ」の合図を受け、自動車を停めることなく無事首都高に乗ることが出来た。先ずは一安心。うーん、楽だ。

 首都高から中央道に入る。この料金所にはETC専用ゲートがあるから、そこを通ってみる。

 あこがれていた、近づくと勝手に開いてくれる、あのETCゲートにあるはずの遮断機がない。あの遮断機が勝手に上がってくれることを期待してETC専用ゲートに入ったのに。期待はずれである。でも、あそこのゲートって、最初から遮断機はなかったのかなぁ。

 夜間割引があるから、別に無理することは無かったのだが、まぁ、そんなに急ぐことも無いからと、相模湖インターで高速を降りる。

 土曜日の深夜と言うことなのか、意外と自動車が走っている。

 大月を過ぎ、甲斐大和の道の駅に到着する。3時近くだろうか。今夜の宿泊予定地である。

 気温は9℃だからそんなに寒くは無いのだが、両脇の乗用車はエンジンをかけっぱなしである。その乗用車の間に自動車を停め、カーテンを吊るして仕度をする。夜中だし、駐車場事態がそんなに明るくは無いから、車内灯を点けるのが何となく憚られる。薄暗い中での作業だから、少し手間取ってしまった。

 仕度を整えて改めて座ってみると、頭が天井に付く。相棒も頭が天井に付くらしい。5cmかそこら高くなったからそのせいなのだが、そこまでは考えてはいなかった。まぁ、我慢できない状態ではないから、一先ずは良しとしよう。

 寒くは無かったのだが、時々目を覚ましてしまう。といって、決して寝心地が悪かった訳ではない。

 そんな中、辺りが明るくなったので時間を見ると、8時を廻っている。そろそろ起きることにするか。

 一応朝食の用意はして来たのだが、偶にはまだ食べたことの無い牛丼屋の朝食でも食べてみようかと言うことになり、湯を沸かすことも無く、9時前に出発する。

 国道20号で甲府市街に入る。この街道には幾つかの牛丼屋がある。その内のある牛丼屋を目指す。

 相棒と色々と話しながら走っていたら、その牛丼屋を通り越してしまう。しまった。引き返すのもなんだとそのまま先に進む。

 甲府駅前を過ぎて暫く走ってもそのチェーンの牛丼屋は現れない。

 ところで、何故そのチェーン店に拘るのかだが、実はそのチェーン店の只券を持っていたという、ただそれだけの理由ではある。まぁ、その系列の店であれば、なにも牛丼屋でなくともファミレスでも良い只券ではあるのだが。

 若しかするとこの街道沿いにはそのチェーンの牛丼屋はあそこだけだったのだろうか。無ければコンビニにでも寄るか、と話していたら、対向車線側に現れた。

 混んでいる。牛丼屋って朝からこんなに混んでいるのだろうか。客席の半分以上が埋まっている牛丼屋って滅多に見ない気もするのだが。

 豚丼よりも高い朝定食を食べながら、今回は殆ど歩かないらしいからということから、おまけに只券の単位が500円でお釣りはくれないから差額をなるべく減らそうと言うことも手伝って、昼飯は豚丼にしようということになり、ついでに豚丼弁当も作ってもらう。

 韮崎を過ぎると、「北杜市」という看板が目に入る。そうか、最近、この辺一帯の幾つかの町村が集まって北杜市と名を変えたのか。白州町だけでなく、瑞牆山のある須玉町も、武川の湯の武川も北杜市になったんだっけ。南アルプス市といい、北杜市といい、確か牧丘町も塩山市かどっかと合併する見たいだし。早川町もどっかと合併するんだったっけ。あれは身延町か。でも、そのうち山梨には町や村が無くなってしまうのかなぁ。

 途中、白州道の駅に寄る。南アルプスの天然水と同じらしい湧き水を汲むことが出来るようだ。

 直ぐわかるだろうとカーナビをセットしなかったためか、曲がる場所を通り越してしまったようだ。大分進んだ後に、多分あそこだったのだろうと思われる場所を目指し引き返す。

 またまた通り越す。カーナビでは結構はっきりとした交差点に見えるし、大きな目標物があると思えたのだが、実際は信号の無い余り目立たない交差点なのである。多分。

 暫く荒れた舗装路が続き、砂利道に入って行く。

 意外と荒れた砂利道である。あまり使われてはいない林道のようだ。

 橋を渡ると、河原にボルダーが見えてくる。そろそろだろうか。

 このボルダーだが、以前から2つほどのHPに写真が紹介されていた。それを見て行きたいと思い、恐らくこの辺だろうと目星をつけた場所がここなのだが、最近また別のHPで紹介され、そこに場所の新たな手がかりが示されたため、この場所に間違いないと確信はしていたのである。

 ほんの少し走ると、左奥に大きなボルダーが見える。あれだ。やっぱりここで間違いが無かったようだ。ということで、ボルダーを探しには来たのだが、殆ど探すことなく辿り着くことが出来たようだ。

 ボルダーに向って道が分岐しているので、林道から別れ、その道を先に進むと、その道はボルダーの横を通りまだ先に続いている。その道を先に進む。

 ボルダーを回り込んだ向こう側はちょっとした広場になっており、道はそこで終わっている。一応そこに自動車を停める。ボルダーのまん前だ。

 一先ず岩を見て廻る。相当に大きい。沢沿いの一段高い場所にあり、岩の上には数本の松の木のような立派な木が生えている。お地蔵さんの様な石像も置かれている。山側はスラブ壁、沢の上流面は少し被った凸凹の壁、沢側は被った非常に綺麗な壁、従って弱点は殆ど無い壁、となっている。スラブと上流側の壁には沢山のチョーク跡が残されている。

 下地は、沢側に石が積まれ、綺麗に整地されている。素人の整地ではない。重機が入った玄人の整地である。堰堤とか林道とかの工事の為の整地なのだろうか。数十mに渡って沢床から2〜3mの高さに大きな玉石が積み上げられている。そしてその内側にはこのボルダーを取り囲む様に白い綺麗な砂が平らに敷き詰められているのだ。惜しむらくは、沢側の幅が狭い所だと1mちょっとしかなく、丁度登れるかも知れないカンテの上の方の部分がその下地ぎりぎりか僅かにはみだすくらいの幅しかない。落ちたら沢床までまっ逆さまという感じなのだ。贅沢だが、まっ平に綺麗に整地されているから、余計に惜しい気がしてしまうのだ。

 その岩の沢の下流方向の面は傾斜が緩くなっており、丁度良い下降路となっている。おまけに工事の時の忘れ物なのか鉄製の梯子まで置かれている。

 梯子で岩の上に上がって岩を上から偵察してみる。やっぱり結構高い岩だ。スラブ壁のリップを見ると、少し狭めだが、苔が綺麗に剥がされている。

 相棒は、寒いのか自動車から出て来ない。日が当たっているし風も無いから、寒くは無いのだが。

 上だけTシャツに着替えて、準備をする。

 まず、スラブを見に行く。易しそうな、左端の方を触ってみる。ホールドが細かい。簡単には持てない。スタンスを探す。余り良いスタンスは見当たらない。スタートホールドだろうチョーク跡のあるホールドと、適当に選んだスタンスで離陸を試みる。離陸が出来ない。花崗岩だと思うのだが、意外と滑るのである。駄目だ。もう少し指を暖めねば。

 スラブ壁の一番右に行ってみる。ホールド、スタンスはある。右のカンテからその右の壁に出れば傾斜の緩いスラブ状の面に出られる。だろうということで、そこを登ってみることにする。

 離陸のバランスが少し悪かったが、離陸が出来ればあとは立派なスタンスがある。ホールドもしっかりとある。3歩ほど登るとリップが持てる。そこからそのリップを乗ッ越して右の面に出る為のスタンスを探す。しかし、適当なスタンスは見つからない。少し広く探すと、少し右の方のカンテの近くにガバスタンスが見える。あれを使おう。

 少し遠いから、右足を大きく右に開いてそのガバスタンスに乗せる。身体を右に移動する。手が低いから少しバランスが悪い。何とか頑張って右足に乗る。少し苦労したが何とか右の面に出る。

 傾斜は無いのだが、ホールドは余りない。スタンスも苔があったりで、何となく滑りそうな気がする。何とか2歩位登って、手を伸ばすとリップに手が届く。しかし、しっかりとは持てない。尚もホールドを探ると、右の少し奥がかかりそうである。しかし、そこまで手を伸ばすと体が伸びきってしまいそうだ。でも身体を伸ばせばしっかりとホールドは出来る。ここまで来て落ちたくは無いから、みっともないけど、岩に全身をへばりつけて身体を伸ばしてリップのホールドを掴み、何とか身体を引っ張りあげる。

 初めての場所だし、アップだし、何となく岩も朝露で濡れている感じもあってスタンスに信頼が置けなかったので、物凄い無様な登りになってしまった。

 取り付き迄戻って上を見上げると、途中から右上するよりも、直上する方がスタンスがあったようだ。相変わらずオブザベーションが下手なようだ。再び同じ所で離陸し、そのまま直上してみたら、先程よりも易しかった。多分ここがこの岩の一番易しい所だろう。

 さっき触ったスラブに戻り、スタンスを探る。ホールドはどうやらチョークが付いていたホールド以外には無さそうだ。

 位置を変えてみたり、高さを変えてみたりと、スタートスタンスを幾つか試してみる。離陸は何とか出来るのだが、次のスタンスに乗れない。何回かの試行錯誤の後、やっと上に行くことが出来た。

 リップ直下にはちょっとした浅い岩溝が水平に走っていて、適当なホールドを提供している。そのホールドを取ってしまえば後はリップで簡単なマントルだけだ。上に抜ける。

 ここに入ってくる手前の橋の上から見えた川原のボルダーが気になったので、道を少し戻って、川原に降りてみる。

 来るときに見た岩は見つからなかったが、手ごろな大きさの岩が幾つか有ることはある。そのうちの藪に少し入った所の、余り綺麗ではない岩を触ってみる。多分誰も登ったことは無い岩だろう。

 沢側のカンテ状の所を登ってみたら、何時もの13級という訳には行かず、意外と力を使ってしまった。

 川原を上流に向かって歩いてみたが、途中で水で歩けなくなってしまったので、道まで戻り、先程のメインの岩の沢側の綺麗な面を偵察に行く。

 少し遅れていた相棒がなかなか来ない。探しに行ってみたら、藪の中でなにやらうずくまっている。近づくと、大変なことになったという。どうしたと聞くと、罠に掛かったと言う。

 前に廻り込むと、棒の先に挟まった靴をはずそうとしている。ワイヤートラップというか、そんな罠に足をとられたらしい。急いで足をはずそうとしたら靴が脱げて、その靴がワイヤーに絡まってしまったらしい。

 幸い罠のバネが緩かったので、足を怪我することも無く、靴もはずすことが出来た。トラバサミでなくて良かったが、一体なんのための罠だったのだろう。熊でないことは確かだが、気を付けなければ。

 メインの岩の下の沢床にも少し大きな岩がある。行ってみたら、傾斜がない。でも、一応登る。

 メインのボルダーに戻り、スラブ壁の右の方の腰くらいの高さに大きなポケットのある場所を登ってみることにする。

 先ずスタートホールドを探る。両手とも余りよいホールドは無い。探すと、右手の右斜め下にほんの少し利きそうなカチホールドが見つかる。しかし、少し離れて少し下だから、利かしにくい。最初に持ったホールドとどちらが良いのか迷うところだ。

 続いてスタート用のスタンスを探る。3箇所位の候補を選んでみたが、一番右のスタンスを使うしか無さそうだ。そのスタンスで離陸は出来るのだが、左上のポケットスタンスに中々足が乗ってくれない。足を置く場所を吟味して、僅かに左にずらせて乗ってみたり、スタートホールドをお互いに変えてみたりしたら、何とか足を上げることが出来た。

 そのガバスタンスから、少し利いてくれる左手のホールドを取って、右足を僅かな窪みにスメアしたら、あと一歩足が上がればリップに手が届くという態勢にまでもって行くことが出来た。

 次の左足は少し高い所に利きそうなスタンスがある。そのスタンスに立てれば確実にリップが取れる。左足をそのスタンスに移し、そのスタンスに乗り込もうとするのだが、右手のホールドが頼りにならないから、中々乗り込めない。躊躇している間に段々疲れてくる。駄目だ、飛び降りなければ。

 3回ほど同じ事を繰り返したが、どうしても踏ん切りがつかずリップが取れない。思い切って飛びつけばリップが取れるようにも思ったのだが、怖いから、それもできない。

 上流面に移り、そこの真ん中辺の3級位いらしい課題を触ってみる。

 両手のカチで離陸し、少し上のガバホールドを取るらしいのだが、少し遠いし、保持しているホールドもガバではないから、おまけに少し被っているから、中々取れない。離陸して、身体を引き付けて即手を出す。所謂デッドなのだが、ホールドに手が届かない。3回位やってみたが、どうしても届かない。

 3人組のボルダラーがやってくる。人が来るんだ。内一人は小生のHPを見てくれている人のようだ。少しお話をする。それにしても、どうして一目見て小生だとわかるのだろう。そんなことはどうでも良いことだが。

 時間もそろそろお昼を廻ったし、彼らもゆっくりしているので、我々も自動車のルーフボックスからクラッシュパッドと椅子を取り出し、クラッシュパッドをテーブルにして、豚丼を食べる。最近は殆どクラッシュパッドをルーフボックスから取り出すことも無いから、丁度良い虫干しである。

 先ほどの3級位の課題をまた触ってみる。今度は少し沈み込んで、勢いをつけて手を出したら、上のホールドが持てた。取れた。そのホールドにぶら下がって、足を探ったが見つからない。右の少し上のスタンスに乗せてみたが身体は上がらなかった。

 彼らがスラブを登りはじめたので、小生も先ほどのスラブの課題を触る。

 同じ所で飛び降りる。そして、飛び降りた壁を下から見上げたら、一生懸命乗ろうとしていた少し高目のスタンスの手前に乗れそうなスタンスがあるではないか。そうか、あれを使えばその右上のあのスタンスも使えてリップが持てるかも知れない。

 「よし、次は登れる」と思ったのだが、疲れが出てきたのか、最初のガバスタンスに乗ることが出来ない。「まぁ、大体いつもこんなものですよ」と言っては見ても、やっぱり何となく悔しい。

 3人組がそのスラブの一番左のカンテ絡みのところを登っていたので、一緒にそこを触らせてもらう。

 左手のホールドを左のカンテに求め、そのままカンテ沿いに登るのだが、そのカンテは途中から角度が寝てくる辺りからホールドしにくくなってきて、その辺からが核心になるらしい。しかし、悲しいかなカンテを2手までしか登ることが出来ないから、核心まで行くことが出来ない。

 悔しいから一生懸命スタンスを探したら、少し右に外れてはいるが、しっかり立てそうなスタンスが見つかった。よし、これを使おう。

 左足で離陸し、右足でそこに乗ってみる。乗る事はできたが、右過ぎるからカンテを持つ左手がイッパイイッパイである。それでも何とか左手を上げようと左手を飛ばしたら、左手がカンテに届かない。そして一瞬両手が岩から離れてしまう。落ちるーと思ったのだが、身体は岩に留っている。足が良いとノーハンドで留っていられるんだ。一瞬思ったが、慌てて左手を元の場所に戻し、カンテを保持する。で、その先動けず、結局駄目だった。

 元の課題に戻って登って見たら、ガバスタンスに乗れ、想定したスタンスも使え、身体も上がって、しっかりとリップを捕らえることが出来た。多分そんなに難しくは無かったのだろう。

 またカンテの課題を何回か触ったが、やっぱり出来なかった。しかしここで、あえて、「使っていた靴がリソールした靴で、そのソールが結構減っていたから、エッジングがしにくかったのだ」と、言い訳をして置くことにしよう。未練たらしいが。

 上流面の一番左のところが1級のマントルの課題らしい。そこを触って見る。

 左手狭い水平のバンド上のスローパーチックなホールド、右手は同じバンド上のしっかりかかるサイドホールドを使って右足で離陸し、リップ上の少し窪んだ所を左手でホールドすると言うのが最初のムーブらしいのだが、左手がそれ程は良くは無いから、手が届かない。

 スタートホールドのバンドは左斜下まで続いている。そこにヒールを掛けてみるか。やってみたら、リップに手が届き、リップの少し窪んだところがホールドできた。次はリップの上の小さな窪みだ。ヒールを置き換えて、その足に乗り込んで身体を上げて行くと、リップの左手が外れてくる。

 リップの左手に右手をマッチしようとしてみたが、どうも右手が寄せられない。もう少し休まなければだめなのかなぁ。

 少し休んでやってみたら、リップに両手がマッチでき、右上の窪みが取れたのだが、利くホールドではなかった。

 また二人か三人連れのボルダラーがやってくる。結構知られたエリアなんだ。どおりでチョークが残っているはずだ。その内の一人は以前御岳でお会いしたことがあったようだ。

 スラブに戻ったり、上流面を覗いたり、少しあちこち触っていたが、疲れても来ていたし、先に行った同じ白州町の別のエリアにも行ってみたかったので、2時頃だったが、引き上げることにした。

 帰る前に、最初に来たボルダラーの一人が小生がやっていた上流面の左端の課題を触っていたので、裸足でリップを取るまでのヒールフックのムーブをやって見せたら、意外と簡単に出来た、ような気がした。

 こういう戯れにやったりした時って、それ迄出来なかったり難しかったりしたことが出来てしまうことが多いようなきがするのだが、どうしてなのだろう。登ろうという意欲がないから、余計な力が抜けるからなのだろうか。

 その白州町の別のエリアなのだが、前回はキャンプ場が営業していたので、キャンプ場の川原は見に行かなかったので、その川原を確認に行きたかったのだ。

 前回よりは大分空いている駐車場に自動車を置き、キャンプ場まで行ってみる。

 受付の売店のような建物は閉まっており、キャンプ場は営業していないようだ。入り口に鎖も張られている。

 この受付の建物のまん前に恰好なスラブ壁が存在している。少し寝ているから、難しくは無さそうなのだが、少し高いのである。まぁ、4〜5mだが。

 前回は店も開いていたし、人もいっぱいいたので登らなかったのだが、今は誰もいない。登ってみよう。

 靴を履いて取り付いてみる。

 1歩、2歩目で滑る。あれー。やだなぁー。

 1歩、2歩目、滑る。まただよー。何でかなぁ。

 足の置き方とか体重のかけ方とか工夫しながら何回かやってみたら、3歩目、4歩目と登ることが出来た。よし、5歩、6歩と歩を進める。地面が段々遠くなる。真中を過ぎる。もう落ちられないかも。慎重にスタンスを選ぶ。歩を進める。少し太い木の根っ子に辿り着く。登れた。でも、その根っ子は持ちたくない。その根っ子を避けて右に出る。しかし、もう岩が無いからホールドが無い。バランスが悪い。どっちみちブッシュか根っ子を掴むしかないか。仕方がない、掴みやすい根っ子を掴む。安心した。

 キャンプ場を通って、そこの川原まで行ってみる。

 その途中のキャンプ場の中にも、その川原にも確かに岩はある。が、登れそうな岩は余り見当たらない。そのまま下流に向って川原というよりも、ゴーロを歩いてみる。間も無く堰堤が現れたので、山側の斜面の裾の踏み跡を使って堰堤の下流方面に歩いて行く。堰堤から下はキャンプ場の敷地では無さそうだ。

 踏み跡は川から離れているから、少し薮に入って川原を覗くと、適当なボルダーが見える。踏み跡に戻り、尚も降ると、駐車場からキャンプ場への立派な道に上る踏み跡らしいものが分かれる場所に出る。そこからほんの少し行くと駐車場の下辺りに出た。

 この辺までだろうと見切りをつけ、堰堤の下まで戻って川原に出てみる。枯れてはいるが、薮が濃く、ズボンに草の実をいっぱいくっつけながら川原に下りる。

 適当なボルダーを見付け、登って見る。そこを相棒に写真に撮ってもらう。ところが、相棒が、デジカメがおかしいという。電池がなくなったのではないかという。登り終わってから、荷物に戻り、予備の電池を出してデジカメの電池を入れ替えてみる。しかし、画面が出ない。別の電池を入れる。やっぱり駄目だ。先に替えた電池は間違いなくまだ電気があるはずなのだが。また電池を入れ替えて、デジカメを良く見ると、メモリーカードを認識していないようだ。電池切れ近くで写真を撮ったからメモリーカードがおかしくなったのだろうか。

 相棒に電池切れで写真を撮ったからではないかと言うと、電池を入れ替えてから写真を撮ったらおかしくなったという。やっぱり入れ替えた電池も残り少なかったのかなぁ。それで、やっぱりカードがおかしくなったのかなぁ。仕方がないか。でも、折角撮った写真が全部駄目になってしまったかも知れない。また丸森の二の舞になってしまったかも知れない。以前、丸森に行ったときの写真をメモリーカードの不調から失ったことがあって、このデジカメはその時のものと同じだったのだ。それを思い出して、何となく不安な顔をしていたら、相棒はまた来ればと言ってくれた。しかし、もし写真を失ってしまっていたならば、そう簡単にはあきらめきれない。とは言っても、結局は諦めるしかないのだが。

 ここに来た主な目的は写真撮影である。それが出来なければこの後続けても仕方があるまい。そう思ってしまったから、そこでボルダリングを打ち切り、先ほど確認したキャンプ場を通らずに駐車場に帰れるだろう踏み跡を登り、駐車場に戻ってしまった。まぁ、ショックと言えばショックだったわけだ。

 甲府で夕食にするには、何となく中途半端な時間である。途中温泉に寄ったとしても、まだ3時頃だから、5時前には甲府に行ってしまうだろう。思案していたら、丁度相棒が朝寄った道の駅に買い残したものがあるというので、これ幸いとその道の駅で時間潰しをすることにする。

 国道に戻り、道の駅まで戻ろうとしたら、丁度国道に出たところが道の駅だった。

 朝とほぼ同じ所に自動車を停める。道の駅の建物の入り口の前の湧き水の前で水を汲む人が何人か並んでいる。折角だからと、朝食用に持参した2L位のポリタンと700ccのボトルを持って自動車を降りる。

 この道の駅の隣はスーパーになっている。相棒がそのスーパーに寄ると言うので一緒に付いて行く。極普通のスーパーだった。

 スーパーの出口で焼き芋を売っている。その焼き芋を相棒が一本買う。結構大きな芋だ。

 この焼き芋、一本が200円となっている。目方では無いのだ。大きくても小さくても一本が200円なのである。

 その芋を持って道の駅に行き、休息所で持参したボトルに残っていた水を飲みながら相棒と二人で焼き芋を食べる。食事前だというのに、相棒が小生により多くの芋を呉れたから、結構お腹がいっぱいになってしまった。そう相棒に言うと、残せば良いのにと言われた。でも、小さい頃から食物は絶対に残すなとの教育を受けてきた小生にとっては食べ物を残すと言うのは結構難しい所作なのである。結局はただの食いしん坊ではあるのだが。

 この休息所から湧き水の汲み場が直ぐ前に見える。それで、その汲み場をずっと見学してしまったのである。

 大半の人達は20Lくらいのポリタンで汲みに来ているのだが、焼酎やウーロン茶などの大きなペットボトルを何本もダンボールに入れて持ってきて、後に並んでいる人に配慮することも無く、延々と水を汲み続ける人が何人もいるのである。汲む場所は2ヶ所あるのだが、夫婦で2ヶ所を占有してしまう人達までいるのである。一応一回に1.8Lと看板に書かれていた筈なのに。(実際は18Lの間違いだったことが自分達が水を汲んだときに判明した。朝、チラッとしか見なかったので思い違いをしてしまったらしい。しかし、1.8Lは1升ビンだろうと分かるのだが、18Lって何でだろう。1斗のことだろうか。まさか1斗缶を持ってくる人もいないだろうに。ポリタンにも1斗という規格があるのだろうか。余り見たことが無いのだが。)水を汲みに来ている人達は多分殆どが地元の人だったのだろう。殆どが大量に汲んでいたし、その汲んだポリタンクを運搬するためのキャリアーまで持参している人もいたのだから。

 結局は大福を買って、湧き水を汲んで道の駅を後にした。

 今まで何回も行ったことのある武川の湯に寄って、1時間くらいゆっくりしてから、甲府に向った。

 甲府の市街に入る手前に上海料理の店がある。何時も凄く空いている店なのである。でも、安くて、味も悪くは無いのである。以前2回ほど寄ったことがあって感じも良かったので、今回もそこに寄った訳である。若しかしたらカンフービデオが見られるかも知れないと期待して。実際は先客が一組いて、日本のテレビが流されており、その後は中国語のニュースだったから、カンフーは見られなかったが。

 その後は20号線を走って大月を過ぎた辺りで眠くなってきたので、上野原から高速に乗り、藤野パーキングで仮眠をすることにした。

 目覚めると12時を少し廻っている。3時間以上も寝てしまったのだろうか。急いで出発する。

 家に着いて、デジカメのメモリーカードをパソコンに入れてみたら、生きていた。ラッキー。メモリーカードではなく、デジカメ本体が死んだようだ。このデジカメも4年位い使ってきて、大分くたびれていたからあまり勿体無くはないし、カードが生きていたから、目出度し目出度しではある。バンザーイ。お陰で暫く眠れなかった。

 それにしても久しぶりのボルダリングではあった。その証拠に翌日、足が筋肉痛になったのだ。スラブをやりすぎたからなぁ。


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作成年月日 平成16年12月17日
作 成 者 本庄 章