群馬のボルダーに行ってきました

2002年10月18日記
 体育の日の3連休を利用して、相棒と二人で、群馬県内のボルダーを幾つか廻って来た。

 渋滞に巻き込まれるのがいやなので、土曜日の昼頃出発する。それでもラジオでは高速道路の下り線の渋滞を報じている。関越道も相変わらず花園付近を先頭に渋滞が続いているようだ。

 首都高から外環道で関越に乗るつもりで、外環への分岐の一つ手前の出口を前の車につられて出てしまう。仕方が無いから、それに、外環の下を走る一般道が思いの外空いていたので、そのまま下の道を走る。

 荒川を越える辺りから少しずつ信号で混み出す。和光の川越街道との交差点の手前からも混みだしたので、所沢から関越に乗る積もりで、途中から朝霞方面に右折し、川越街道に出ようとしたのだが、何時も右折する場所よりは大分手前だったようで、大きな団地の中に入ったり、何とか大学校の横を通ったりして、結局練馬のインターに行く道に出てしまった。

 こうなったら仕方が無いから、外環を使わなかった分練馬から乗る事にする。所が、関越のインターに右折する交差点で右折レーンを間違え、別の道に入ってしまい、また引き返す羽目に陥ってしまった。

 最初は寄居で、以前発表されたボルダーを探そうかと思っていたのだが、そんな訳でその時間もなくなってしまい、前橋まで直行する事にする。

 本日は、前橋のクライミングジムに寄って、群馬のボルダーの情報を得るつもりなので、急ぐ必要はない。

 出る前に、赤城山の近くのボルダーと烏川のボルダーと草木湖のボルダーの位置図と写真とともに、そのジムへの案内図もインターネットから落としてきたので、その案内図に従って、ジムには迷う事無く6時頃に着く事ができた。

 受付でオーナーの方から、赤城のトポのコピーを頂き、黒岩のボルダーの位置を教えて頂く。烏川は今は殆ど水没していて登れない事も窺う。

 このコピーだが、ファックスの熱感紙へのコピーだったので、見え難い所を書き加えていると、相棒が、その原稿をお借り出来れば近くのコンビニでコピーして来ると言う。お聞きすると、快くお借り出来たので、コンビニの場所を聞きコピーをして来てもらった。

 明日は又ボルダリングに行くから余り登らない積もりだったが、壁が新鮮だから、結局2時間ほど被った壁も含めて登ってしまった。

 8時頃ジムをお暇し、榛名山の黒岩方面を目指しながら食事場所を探す。黒岩への案内書を見ながら走っていたのだが、信号の看板を見落とし二つ位先の交差点まで行ってしまったので、脇道にそれて戻る。途中、しゃれた感じのイタリアンレストランが有ったので、そこに入る。イタリアンは豪華な雰囲気の割にはそんなに高くは無いので、最近は結構使うようになったのだが、ここも、そんなに高くなく、コーヒーからデザート付きの食事ができた。

 案内書に従い、黒岩を目指す。山道に入って少し行くと黒岩が見えて来て、左側に車が10台程止められる駐車場が有るとその案内書には書いてあるのだが、何処からが山道かわからないし、夜だから黒山も見えない。駐車場らしき所を2〜3箇所過ぎて峠に差掛かる。どの駐車場だったのだろうか。

 もう榛名湖は近いかなと思われた所で左側に駐車場のPの道路標識が見える。そこに入ると、運動公園の駐車場の様で、道路とは植え込みで遮られている。トイレは無いようだが、道路脇よりは大分ましなので、そこで車中泊する事にする。午後10時頃である。

 日除け用のマットを4面のガラスに張り、クラッシュパッドを後席に広げ、夏用の薄いシュラフにくるまる。ここまで来る途中すれ違う車はなく、この道は空いていると思ったのだが、意外と自動車が通って行く。しかし、ヘッドランプの光が明るく見えるわりには自動車の音は余り聞こえない。点滅する赤いランプが少し先に見えるから、榛名から伊香保に行く道との交差点の近くなんだろうか。

 突然、リア硝子に何か当たる音がする。一瞬びっくりするが、木の下に車を止めたので、木の実でも落ちて来たのだろうか。相当に大きな音がする。少しラジオを聞いていたが、他には何もやることがないから、10時半頃には寝る。

 夜中に少し寒くて起きる。2時頃だろうか。フリースを一枚着込んで再び寝る。が、今度はなかなか寝付かれない。やはり、足を十分には伸ばせないからなのだろうか。

 気が付くと既に外は明るい。すでに7時近いようだ。水滴で濡れたガラスを拭いて外を見ると、日の当たらない所は白くなっている。自動車の外気温計を動かして見ると、1度である。白いのは霜だったのか。道理で寒かった訳だ。

 寒い事は寒いが、非常に良い天気である。外に出ると、辺りにはドングリが一面に落ちている。林の方ではドングリの落ちるらしい音もした。昨夜の音はやっぱりこのドングリだったのだ。

 7時過ぎに自動車が一台入って来た。エンジンをかけたまま暫く停まっている。ここはサッカーグラウンドの様だから、伊香保には元プロ選手が何人かいるサッカーチームがある事だし、練習にでも来たのだろうか。もう一台自動車が入って来る。しかし、お互い話しをする気配が無い。テーブル代りの荷物箱と椅子を出して、朝食を自動車の外で食べていたら、もう一台自動車が入って来る。夫婦が降りて来て、登山靴に履き替えている。そうか、目の前の榛名山に登るためにここに自動車を止めていたのか。道理で、お互い話しをしないはずだ。ここからはまん前に大きく榛名山が見えるのだ。

 8時過ぎにもと来た道を引き返し、黒岩に向かう。最初に右側に出て来た少し広くなった路側帯に車を止める。しかし、黒岩らしい物は見えない。歩いて、そのすぐ下にあるらしい駐車スペースと林道を偵察に行くが、そんなものがある気配はない。

 再び車でもう少し下まで降りる。すると、車が10台位止められる路側帯が現れ、正面に黒岩らしい大きな岩が見えている。ここか。そこに車を止め、歩き出す。しかす、少し歩いた所で、ここから少し下って林道に入ると言う事だし、下にも駐車場所があるらしいから、念のため偵察し、あわよくば下の駐車場に車を止めようと、車に戻り、車で下に下る。

 ゲートが閉まった林道の入口を発見し、間違いない事を確認して引き返す。帰りに、行きに発見出来なかった下の駐車スペースを探してみるが、それらしい車を一台か二台入れられそうなスペースには柵が作られていて車を寄せる事は出来なくなっている。結局最初の駐車スペースに車を止める。

 林道の入口には立入禁止の看板がある。なんとなく後ろめたい感じもしたが、舗装された道なので、ゲートを越えてだらだらと下って行く。

 程なく、左側の沢筋に岩が見える。これだろうか。踏み跡を入ると、少し上により大きな岩が見えたので、そこまで登って行く。

 結構被った大きな岩である。現地にトポがあるという言葉の通り、岩の基部のハングの下の岩の上にプラスティックの容器に入ったこの岩のトポが有った。

 4級から二段の課題が記されている。ほとんどが1級とか初段だ。当然触るとすれば4級の課題だ。一本は正面の左の方の岩の課題。もう一本はその岩の左面の左の方の課題で、ともに被ってはいない。

 備え付けのトポの写真と岩の写真を一頻り撮って、支度をして、左面の左の課題に取付いて見る。その場面を相棒に写真に納めるように頼む。

 スタートして2手目か3手目のホールドが悪く、足を上げたのだが、恐くて乗り込んで行けない。下地が斜めになっているのだ。

 相棒が、突然デジカメが何にも表示しなくなったと言う。電池切れだと思い、予備の電池に変える。しかし、こちらの電池でも全く表示しない。元の電池に戻すと、こちらは辛うじて電池切れのマークを表示する。再び予備の電池に入れ替えると、やっぱりこちらはそれすら表示しない。どうも予備の電池の電気が全く無いようだ。そう言えばその電池を充電したのが暫く前だったから自然放電してしまったのだろうか。仕方が無いから、写真は諦め、再び登って見る。

 3回か4回目で、少しカンテの方にスタンスを求め、何とか上に抜ける。まぁ4級だからそんなもので良いことにする。

 正面左の4級を触って見る。フレーク危険と書かれた課題だが、縦ホールドでの離陸が出来ない。次も縦ホールドのようだ。これは登れそうに無い。早々に諦める。

 後は2級以上だから、ここはこの辺で引き上げる事にする。途中の湧き水で手を洗い、車に戻る。

 我々の車の後ろに所沢ナンバーの車が止めてある。多分黒岩に登りに来たクライマーの車であろう。

 次は赤城である。途中まで引き返し、別の県道に入って、赤城山麓の畜産試験場を目指す。この畜産試験場の交差点が最初のエリアの目印なのだ。

 車の荷物の中に予備の電池が有ると思っていたのだが、その電池の入った、爪切りなども入れていた袋毎置いて来たらしく、電池が無は見当たらない。途中、コンビニの電池は高いので、スーパーやホームセンターを探しながら走ることにする。

 前橋の町に入って、赤城山方面に曲がる道の少し先に大きなパソコンチェーンの店が有るのを発見し、そこに寄って電池を購入する。ついでにパソコンや中古品も見てしまった。500円の17インチのディスプレーがあった。500円だから映らないだろうけど。

 赤城に向けて道をぐんぐん登って行くと程なく畜産試験場が現れたので、そこを右折し、一旦353号線に入り、すぐに左折して青年の家を目指す。途中T字で右折すぐに左折して道なりに走っていたら、青年の家の宿泊棟の前で行き止まりになってしまった。青年の家に入って来てしまったようだ。我々はその少し手前の右に別れる細い道に入らなければならなかったようだ。

 引き返して鍋割山の登山口まで行く。そこはT字になっているのだが、車が7〜8台道路際に止めてある。この近くにもボルダーがあるとのことだったので、我々も車を止め付近を少し探して見る。しかし、岩らしい影は見当たらない。まだ草木が茂っているから隠れてしまっているのかもしれない。諦めて、メインの大穴エリアに行く事にする。

 T字を右折し、オートレース場を過ぎて森林公園だかの駐車場まで行く。この林道はその先治山工事とかで通行止めになっていた。

 駐車場には既に5〜6台の車が停まっている。入口の近くでは車の横でお弁当を食べている家族連れがいる。相棒はこんな所まで来てなぜこんな所でと言うが、まぁ。

 支度を整えて、相棒がクラッシュパットを背負って、その家族連れの横を挨拶しながら通ると、絵でも描かれるのですかと聞かれるから、小生が横から、いえいえ、このマットでお昼寝をするのですよと答える。よく考えると理解不能な答えなのだが、これで余計な事を聞かれることは無い。そんな経験は一度も無い。

 ここでも、立入禁止の立て札を横に見てゲートを越えて林道の先に進む。その林道が大きくU字形に曲がっている所辺りに大穴エリアがあるらしい。途中法面工事をやっている現場を過ぎて林道が少し下り出し大きく右に曲がる当りで大穴のナラという案内標を見付ける。踏み跡もあるし多分ここだろうと踏み跡に入る。

 トポにはコンクリートの道という表現があるので、道が有ると思っていたのだが、道はなく、踏み跡の先は沢形のガリーになっている。踏み跡の続きが無いかとその付近の藪を少し偵察するがそれらしい物は見当たらない。

 ガリーを少し進むと、沢沿いに縄で囲いをし、大きな看板の立つ大きな木が現れる。村天然記念物「大穴のナラ」らしい。そのナラの木の前は壊れたコンクリート道の一部が残っている。このコンクリート道が壊れてその跡がガリーになっていたようだ。

 このナラの木の周りには結構大きな岩が点在している。ここに間違いない。コンクリートの上に荷物を下ろして、トポを頼りに少し偵察をする。

 ナラの木の横に石の祠のある岩が有り、トポにも鳥居マークがあるので、それを頼りに周辺を探すが、トポの岩らしい物は見当たらない。トポには位置図と一緒に個々の岩の絵もある。少し右の方に入って見るが、藪が結構茂っていて歩き難いし、岩の影も有りそうに無い。トポの感じではその藪の中辺りに幾つか岩があるように見えたのだが。

 沢沿いのナラの木の上の方の斜面は杉林になっていて、下草も無く、岩も結構見える。そっちの方に登って行くと、登れそうなボルダーも幾つか発見する。しかし、どの岩がトポのどれなのかの同定は出来ない。トポと首っ引きでより上の方まで登って行くと特徴的な岩に出会う。一見写真の岩だと思ったのだが、どうもそうではないようだ。上を見るとまだ少し大きそうな岩が見える。なおも登って行くと、写真にある、凹面という、このエリアを代表する特徴的な写真の岩と似ている。トポの絵と照合すると凹面に間違いなさそうだ。

 改めて、トポ上で、この凹面と祠印とブナ印を確認すると、トポを見る角度が大分違っていたようだ。それに気付くと、あとはなんとなくわかって来る。船とかコケスラブとか、大体わかって来る。

 相棒の所に戻り、支度をして、一番下の岩から登ろうと、多分台岩だろうと思われる岩の一番左のカンテを触って見る。しかし、どうも離陸出来ない。グレード的には易しいはずなのに。トポの図と見比べると、なんとなく違う気もする。しかし、位置的にはこの岩しかない。

 易しそうな岩を求めて少し上に登る。そして、Hの坂という岩の小さなスラブの左側の方をカンテを使わずに登って見る。登れたので、右側も登って見る。次はズラ頭のズラありとかなしとかいう易しいマントルの課題をやって見る。小さな丸い岩である。続いて、コケスラブの結構見栄えのする凹角を登ろうとしたが、2級とか3級だから、こちらは離陸が出来ない。

 船という少し大きめの岩に行く。ここにはスラブチックな2級とか被り気味の3級の課題等がある。5級か6級のスラブチックな易しい課題もあるので、それを登る。

 さっきのコケスラブに戻る。この岩のもう一方の面はこの岩の名前通りの少し高いスラブになっている。そのスラブを2〜3歩上がって写真を撮る。

 折角来たのだから凹面の写真が欲しいと相棒と一緒に凹面の前迄登って行き、工事という看板課題のスタートであろう辺りを離陸した写真を撮ってもらう。初段だから、やっと離陸する。もしかすると、隣の2級の課題かもしれないが。

 この岩にも4級の課題があるので、右側の4級の課題を触って見る。右手カチで石の上からスタートして、左手ガバチックなホールドを掴むも、次のホールドが無い。左足を少し高く上げてしっかりしたスタンスに乗り込んで見たが、次に動けない。それでも、しつこく4〜5回やって見ただろうか。何しろ、岩の上からのスタートだから派手な落ち方は出来ないから、結局諦める。左端の4級は恐そうだから触らない。

 今迄見に行かなかった少し奥の方の岩を見に行き、ホコリタケとかいう岩を見付ける。あまり大きくない岩で、側壁をマントルする課題があるらしい。真ん中の課題は難しそうだから、左側の易しい所を登って見る。

 少し戻って、しわよせ岩のやさしいらしいマントルと、しわをつかわない課題とかやって見るが、真ん中のマントルは登れたのに、右の皺を使わない課題が離陸が出来ない。

 壁の真ん中にまん丸の穴のある岩を見付ける。そのポケットを使う課題を指切り穴とかいうらしい。本当に指が切れそうな縁を持った1本か2本指のポケットである。で、一応やって見る。6級くらいらしい。なんか易しかった気がする。

 ブナの前の道を隔てた沢の反対側に行って見る。2つほど岩がある。一つは垂壁から僅かに寝た壁を持ち、そんなに難しくはないトウフ岩。一応3級の課題もあるらしい。もう一つは奇麗なリップを持ったそんなに高くない小魚岩。こっちもいきなりリップが持てるから何処でも易しいマントルが出来る。

 沢沿いにもう少し奥まで行って見る。またコンクリの道が現れる。その道の右側には少し大きくてそこそこ高いなクマ穴という岩が有り、少し立った壁の6級位の課題をやって見る。

 なんか人の話し声が聞こえる。森林公園の方から山道がここのブナの木までついているのかもしれない。そんな踏み跡がさっきの岩の近くに有ったような気がする。

 コンクリ道まで戻りそこから伸びる踏み跡に入って見る。被った岩があるらしいのだ。

 少し歩くと左の方に被った面を持った岩が現れる。Aハングと言うらしい。結構被っている。真ん中にクラックが走り、小生でも登れそうなので近付くと、岩全体がどろどろである。脆い訳では無さそうだが、なんか登る気がしない。

 その岩からまた少し上にやっぱり被った壁を持ったハウスという岩がある。こちらは奇麗な岩だ。ハウスという4級位らしいのをやって見る。そんなに大きくはないから、2手目位でリップが取れる。でも、使わない左隣の岩が少し邪魔ではある。1手目の左のガバを取るのが核心のようだ。それが取れればあとは簡単なマントルである。

 戻り際にさっきのどろっぽいAハングの真ん中の易しい所を一応登っておくことにする。

 鈴の音が聞こえる。音のする方を探ると、犬がいる。こんな所で犬に会うなんてなんか気持ちが悪いと相棒が言う。確かに襲われたら恐いなと思いながら様子を窺うと、中くらいの犬で人なつっこく尾っぽを振って近寄って来る。恐い犬でなくて良かった。

 鈴を付けていない犬がもう一匹いる。仲間のようだ。こちらは寄っては来ないがおとなしそうだ。

 既に4時を廻ってしまった。まだ、このエリアの半分位の岩しか見ていないが、そろそろ暗くなりだしそうだし、凹面も触ったしで、引き上げる事にする。

 支度をして自動車に戻り始める。と、さっきの犬も付いてくる。林道に出ると、そのイヌ達は一度反対方向にいったが、また戻って来て、結局駐車場まで来てしまった。

 この犬、飼犬だとは思うのだが、飼い主の姿は見えない。近くに人家がある訳ではないから、どうしてここにいるのだろうか。何時もこの辺を運動場にしているのだろうか。それとも、駐車場に車を止め、アンテナを立ててアマチュア無線をやっていた人の犬なのだろうか。赤城山の山麓だから、関東方面に開けているので、アマチュア無線にはもってこいのロケーションだから、この人は何時も犬を連れてここに来ているのだろうか。

 朝来た時に見つからなかった鍋割山の登山口の近くのボルダーを今度は脇道に入ったりして探して見たが、結局また見つからなかった。

 畜産試験場の横を通る国道353号を前橋方面に走り、桐生を目指す。今夜は草木湖まで行く予定である。途中、大間々と言う所から国道122号で足尾方面に別れるのだが、その大間々の町の手前で渋滞し出す。なかなか進まない。工事が行われていて、片側の交互通行が行われていたので、そのせいかと思ったのだが、その工事現場を過ぎてもまだ進まない。もう周りは暗くなっている。

 味工房なんとかという食堂が有ったので、本日は中華の予定であったが、この先足尾方面に曲がってしまうし、食堂は見当たらない可能性も有るので、その店に入る事にする。駐車場には他に自動車はない。

 入ると、どうやら本職は甘い物屋のようだ。でも、丼物とか有るので、そこで夕食にする。鳥肉丼セットを頼んだのだが、心配した甘辛い濃い味ではなく、さっぱり味で結構美味しかった。相棒はほうとうを頼んだのだが、そちらも美味しかったらしい。誰も客がいなかったから少し心配したが、結構まぁまぁの店であった。

 店の人の言葉によると、近くのゴルフ場で女子プロのトーナメントがあったらしい。それで渋滞していたらしい。丁度それが終わった頃に通りかかってしまったようだ。

 食事を終えると渋滞は解消していたので、店の人に教わった少し引き返す道ではなく、町中を通るオーソドックスな道を行く。その道沿いにはこれといった食べ物屋は見当たらなかったので、あの店に入って正解だったのかもしれない。

 途中に道の駅が有るので、そこで寝ようかと思ったが、その道の駅がコンビニとかラーメンやとかがある道路に面したあまり大きくない駐車場だったので、先に行く事にする。

 ダムの堰堤の上の道を渡り、対岸の運動公園を目指す。近くに人家はあったが、駐車場はそこそこ静かだったので、ここを宿泊地の第一候補と決め、まだ時間が早いので明日行くであろうエリアの偵察に出かける。

 途中、ダム湖の縁に一寸した、トイレも有りそうな公園風の駐車場を見付ける。道路のすぐ脇だが、この道は自動車の往来は殆ど無さそうなので、宿泊予定地第一候補をこちらに変えることにする。

 更に先に進む。すると国民宿舎が現れる。湖畔の駐車場には自動車がいっぱい停まっている。駐車場の脇でテントを張っている人もいるようだ。しかしここでテントを張る勇気はないと思いながら、国民宿舎の先の林道に入ろうと右折すると、その道の脇にもいっぱい自動車が停まっている。なおも進むと国民宿舎の玄関に出てしまった。道を間違えたようだ。それにしても、すごい自動車の量だ。繁盛しているのだろう。さすが3連休である。

 少し先のその国民宿舎の脇の林道に入る。所がこの道、舗装されている道なのだが、その舗装は荒れ、道の真ん中を深いガリーが走ったりしていて、普通の乗用車ではちょっときつい道である。途中大きく自動車の腹を擦ってしまい、相棒ももう帰ろうと言い出したので、少し広くなったカーブの真ん中で、相棒を見張りに立てながら、辛うじてUターンし、明日は、国民宿舎の駐車場に車を止めで歩くしかないかと考えつつ、元の湖畔の道に戻る。

 地図上ではこの先にキャンプ場が有るようなので、そこを偵察に出かける。なにしろ、まだ9時かそこらである。

 キャンプ場の看板を見付け、その看板にしたがって山道を登って行く。今度の道は細いだけで普通の舗装された道である。暫く走ると民家が無くなり、なお少し走ると電気の点いたバンガロウのいっぱいあるキャンプ場らしき所に付く。ほとんどのバンガロウには電気が点き、自動車が停まっている。なんだ、営業をやっていたんだ。まだまだブームは続いているんだ。残念。そろそろ10時近くなったので、引き返して、さっきの湖畔の公園に行く事にしよう。帰りにはその山道で3台か4台ほどの自動車とすれ違う。こちらも結構繁盛しているようだ。

 戻る途中にまた山の方に林道が別れていたので入って見る。私有林のための林道のようだ。でも、通り抜け出来ませんの看板は有るが、進入禁止の表示はない。

 道は綺麗である。途中真っ赤な乗用車とすれ違う。こんな所を走る自動車がいるんだ。相手もそう思ったと思うが。少し入って見たが、良さそうな天場も無さそうだから早々に引き返す。

 車中泊する積もりで、さっきの公園風駐車場の奥の東屋の前に車を止めてみたが、殆ど自動車も通らないし、人も来ないだろうと、東屋の中にテントを張る事にする。途中、自動車が来る。すると、この駐車場はカーブの真ん中辺の出っ張りの所だから、東屋にヘッドライトがまともに当たる。おまけに自動車はスピードを落とし、ゆっくりと走って行く。そんな所にこちらのヘッドランプがちらちらしていると変に思われると思って、自動車が近付いた時にはヘッドランプを消してみた。大して影響は無かったんだろうが。

 またも夜中の3時頃に目を覚ましてしまったが、結局は朝の8時近くまで寝てしまった。

 今日も良い天気である。テントを畳み、外にあるテーブルを使って朝食の用意をする。眼下に草木湖の噴水も見え、遠くには砕石場と思しき場所に点在する岩も見えて、おまけにお日さまもさしているからとっても気持ちが良い。そう言えば、時々パンという鋭い音が聞こえて来るのはその砕石場での発破の音なのだろうか。

 ここは風通しが良い所らしく、少し風が吹いている。でも、明るい日がさしているし、昨日程は寒くはない。トイレも余り使われることがないのか、非常に綺麗だし、誠に気持ちの良い場所だ。東屋を使わなくとも、東屋の横が駐車場から一段上がったコンクリの少し広いスペースになっているので、そっちにテントを張っても良いだろうし。

 朝食を済ませ、出発しようとすると、一台の自動車が入って来た。千葉の人のようだ。特に言葉を交わす事無く出発する。

 国民宿舎の駐車場に車を止め、昼食を持って歩き出す。林道に入り登り坂になるとさすがに歩くのが少しかったるくなって来る。昨夜の暗い時の印象よりは明るい今の方が道が良いように感じる。思い切って車で行ける所まで行こうか。相棒も同意したので、荷物を相棒に渡し、小生だけ、車を取りに戻る。

 この林道に一台の乗用車が入って来る。女性が独りで運転している。やっぱり、そんなに道は悪くはないのだろうか。林道の出口の所で、もう一台ジープタイプの車とすれ違う。石切り場の管理にでも行くのだろうか。

 急いで車に戻り、林道まで引き返すと、林道の入口を少し入った所の道の脇にさっきすれ違った乗用車が止めてある。なんだここまでしか入らなかったのか。やっぱりな、である。

 道の真ん中の結構深いガリーを避けながら慎重に車を進める。そろそろさっき引き返した所なのだが相棒の姿は見えない。もう追い付いただろうと思われる所まで進んでも相棒はいない。少し心配になりだした頃にやっと相棒に追い付く。結構歩いていたんだ。

 昨夜Uターンした所を過ぎ、橋を2ヶ所渡る。この2つ目の橋の近くにボルダーがあるらしい。それに、橋を渡った袂の先は結構広い場所になっていて、他の車の邪魔にならないように車を置く事が出来そうだ。それを確かめ、一応先に石切り場跡まで行く事にする。

 先程の4駆車が道の脇に止めてある。その脇を抜け、ほんの少し進むと道の真ん中に通行止めの様に工事用の馬が置いて有る。ここから先は行けないようだ。バックで引き返し、Uターンをする。石切り場跡は諦めることにするか。先程の橋の袂のボルダーのあるらしい場所まで引き返す。

 林道の膨らんだ所から更に車2台くらい置けそうな広さの草原に車を入れる。ここなら、他の車のUターンにも支障はないだろう。

 先ずは橋の手前の林道の下の方にあるらしいボルダーを探そうと窺うが、道端の法には刺刺の草が生えており、踏み跡も見つからない。橋を渡った林道の上の方のボルダーを先に探す事にする。

 そっちの方は日が当たり難いからか刺刺の草はなく、踏み跡が入っている。踏み跡に沿って急な斜面を少し登ると藪の先の沢沿いに幾つかのボルダーが見える。

 垂直から僅かに寝たスラブチックな岩に近付くと、インターネットに写真が紹介されている岩のようだ。「寝てる魂」というらしい。このエリアは写真だけの紹介で、課題とかそのグレードとかの紹介はない。

 この岩のその僅かに寝た面には僅かな出っ張りを持つダイクが2本斜めに走っている。岩の面も僅かにガチガチしているようだ、細かいカチを探せばそこそこ有りそうだ。降り口を探すと、沢沿いの斜面にある岩だから、沢側はコケが生えているようだし結構高いので、降り口が見つからない。しかし、その面のリップに掛かっている木の枝を使えば降りられそうだ。支度を整えて登って見る。

 ホールド、スタンスはそこそこ有りそうだと思ったのだが、いざ取付こうとすると、出だしの足が無い。ダイクのホールドも方向が悪く、持ち辛い。離陸の場所を少し左に移して、ダイクとダイクの間辺りから離陸して見る。右手は右のダイクの一寸した出っ張りを持つが、左手は顕著なホールドが見当たらない。左のダイクにはホールドになるような所はないのだ。ダイクの上に僅かなフレークを見付け摘まんで見る。

 やっと離陸すると、後は適当なスタンスを拾ってリップを掴み上に這い上がる。しかし、そのままリップ沿いに岩のテッペンまでは行かず、そのまま再びそのリップに掛かる木の枝を使って下に降りる。これで、一応当エリアのノルマは果たしたことにしよう。

 次は先に行こうとした向い側の岩だ。橋の袂の沢沿いの辺りを探すと、藪が薄くなっていて、なんとなく人に踏まれた感じの所を発見する。ここなら刺刺の草も無さそうだ。その踏み跡らしき場所を入ると、その先は杉林になっていて、下草は殆ど無く、薄暗いが歩き易くなっている。赤城の大穴エリアみたいな感じだ。

 林道から見えたボルダーに行って見る。1ッ箇所登れそうな所は有るが、掃除はされていないので、上の方のホールドを確かめるだけにする。

 ここは沢沿いの杉林の中なのだが、あちこちに色々なボルダーが点在している。写真で紹介された面白い格好をしている「かぶり」というボルダーも見付ける。早速スタートホールドを触って見るが、とっても離陸出来るとは思えないホールドだ。スタートホールドに触っているだけの写真を撮ってもらう。他にも登れそうな感じの岩の写真を幾つか撮って車に戻る。

 これから石切り場跡地のボルダーを見に行くか別のエリアのボルダーを探しに行くか迷ったが、折角だし、多分見付け易いだろうと、車はそのままに、歩いて石切り場跡まで行く事にする。

 先のジープの横を通り、工事用の馬の横を通ると、馬の置いて有る所が数十センチ程の深さの結構大きな穴になって陥没している。それで馬が置いて有った訳だ。知らずに落ちれば大変なことになるところだ。

 少し歩いた所で、男女の二人連れが降りてくる。多分ジープの人と乗用車の人だろう。一応挨拶をし、キノコ取りかと聞くと、そうだといって取って来たキノコを見せてくれる。ビニール袋二つに結構沢山取って来たようだ。

 なおも暫く歩くと斜面の上の方に岩が点在している。結構大きな岩が多いようだが、中には登れそうなボルダーが有るのだろう。そう思いながら更に先に進と右側に石切り場跡と思しき場所が現れる。もう少し遠いかと思ったが、意外と近かった。

 石切り場跡と言う事で、案内図にも場所が丸くかかれていたので、丸い平らな広場を想像していたが、草や灌木の茂った少し広いだけのでこぼこしたした場所であった。

 草を分けて入って行くと、確かに岩はごろごろしているが、登るのに手頃な高さの岩は余り無い。高いけど、グズグズでとっても登れそうに無い岩だったり、小さくて登っても面白くない様な岩ばっかりだ。中位の岩を見付けるが、その岩も表面は風化しており、触るとボロボロ剥がれてしまう。登るにしても掃除をしないと無理のようだ。

 期待して来たのだが、付近の斜面を登って行って岩を探る気もしないので、疎らな灌木の中の適当な草の上にマットを広げ持参したパンを食べる。

 適当にのんびりして、引き返そうと林道を歩き始めると、林道のすぐ脇の斜面のすぐ上にボルダーが見える。見ると、その斜面になんとなく踏み跡に見える所が見える。

 その斜面は傾斜がきついので、林道に相棒を残し、小生だけが偵察に行く。5〜6m位登ると、なだらかな尾根に出る。ところが、ここは尾根ではなく、先程休んだ場所からなだらかに登って来る広い斜面の端ッこだったのだ。あとは、その斜面をだらだらと登って行くと、そこが本当の石切り場だったらしい、斜面を大々的に削った場所に出る。その場所の右の方に、林道から見えたらしい岩が見える。

 近付くと、岩は一つだけではなく三つ程の結構大きなボルダーである。一つは僅かに被った面を持っているが、そこにはホールドらしい所は殆ど見当たらない。しかし、もう一つのやはり少し被った面には僅かなポケットやホールドになりそうな所が見える。カンテも使えるかもしれない。1級とか初段とかの課題が出来るかもしれない。

 そのすぐ横にくっついている岩は、石を切り出した岩のようで、易し目のマントルの課題ができそうだ。

 その奥には、真ん中にクラックを持った3m位の岩がある。クラックはフィストかそれよりもう少し広いかもしれないが、中に木が生えており、その木を取り除かないと使う事は出来ない。そのクラックの右側が、途中に一寸した斜めのバンド状の棚が有り、小生でも登れそうな気がする。その岩を登った場合、果たして降りられるかどうかを確かめると、右側から簡単にその岩の上に登れ、おまけに、その岩と、隣の岩の上は広くて平になっていて、非常に見晴らしの良い事が判明したので、石切り場の中を通って林道に戻り相棒を呼んで来る。

 先程登れそうだと読んだ壁に取付く。何時もの事だが、離陸がなかなか出来ない。何とか足を探し、離陸をして、左手を一寸した斜めの棚状の所に持って行くが、これが思った以上に悪く持つ事が出来ないで落ちる。

 次は足をもう一歩上げて、その棚状の所よりもう少し上のカチのように見える細いバンドまで手を飛ばし、リップを取ってマントルをする。

 離陸の足があまり良くないのと、次の一手が少し遠目なので、4級か5級と言う所だろうか。

 岩の上に相棒と一緒に登って、草木湖や眼下の景色を楽しむ。高いから眺望を遮る物がないので、すごく気持ちの良い所である。改めてゆっくりする。

 もう一つの岩の横の低い岩でマントルをして見る。やはり簡単である。その反対側の面でもマントルをして見る。ところがこちらのリップは石を切り出した時のドリル穴が残っており、それがガバになってしまっているので、興覚めしてしまい、途中から降りてしまった。

 自動車まで降り、下の湖畔道路の脇にあるらしいボルダーを探しに行く。

 入江を少し廻り込んだ後ろの湖側の斜面にボルダーらしい物が見える。しかし、既に通り過ぎてしまったので、場所だけを確認し、先のボルダーを探す。

 すぐ近くの道の山側の斜面にあるはずだと走るが、ボルダーが有りそうな所が見つからない。暫く走った先にボルダーが見える。これだったのか。ではこの先にもう一つあるはずだからとなお先に進むと、湖に掛かる橋の袂に出てしまう。さっきのボルダーは一つ先の伐採後ボルダーだったのか。

 その橋とのT字路を利用してUターンをしようとすると、原チャリの集団が橋を渡って来る。10台位も居ただろうか。それが通り過ぎるのを暫く待ってからUターンして引き返す。

 伐採地に自動車を乗り入れ、すごい急傾斜の道を登ってボルダーの所まで行く。ここにはボルダーが3つか4つ有るのだが、登れそうなのは1つくらいのようだ。多分写真の伐採後ボルダーであろうボルダーに近づき、反対の面を見ると、やっぱりその岩が写真の伐採後ボルダーだった。

 相棒に写真を頼み、取付いて見る。当然離陸が出来ない。この岩も縦にクラックが走っており、そのクラックを使うのだろうが狭すぎて指が第一関節位しか入らない。なんとかそのクラックのすぐ外側のカンテ状をガストンでごまかして上のホールドまで飛んで見るが、左手が無かったから止らない。3〜4回目にやっと止まるが、これが見た目よりも悪く、身体を上げることができない。写真は撮ってくれたようだから、諦めて引き返す。

 来る時に場所を確認しておいたボルダーを見に行く。所が写真のポロカンテという課題のある岩とはちょっと違うようだ。付近を探して見るが、それらしい岩の気配はない。諦めて引き返す。

 その岩の道路の反対側にも「必殺技」という課題のあるボルダーがあるらしいので、そのボルダーも探して見たが、やはり見つからない。

 写真はそこそこ撮れているからと、渡良瀬川のボルダーを偵察に行く事にする。こちらは詳しい資料は何も無い。以前インターネットの何処かに紹介されていたのをコピーしたのがあったのだが、出がけにそのコピーを探した時には見当たらなかったので、持って来てはいない。

 県境のトンネルの脇の渡良瀬川の河原で、旧道から河原に降りるのだと言う記憶があったので、一応行って見る。

 暫く走ると、右側に駐車スペースが有り、その少し先からトンネルになる。トンネルの入口の脇には旧道が有るが、入口には柵がしてある。トンネルを抜けると、道は左側にカーブしている。そのカーブの内側は廃業した生コン屋になっており、路側帯が結構広いスペースになっている。このスペースに車を止め、反対側の旧道と思しき道に行って見る。

 こちらは入口に柵は無いが狭く少し登りの道になっている。河原までは結構高い急な崖になっている。相棒と荷物を残し、その道を河原に降りられそうな場所を見ながら少し進むと、程なく崖崩れで行き止まりとなる。引き返して、最初に降りられるかもしれないと読んだ、国道近くの所から相棒と一緒に河原まで降りる。河原の直前で不明瞭になってしまうが、一応踏み跡が有り、そんなに苦労せず河原に降りられる。

 河原には白い岩がいっぱい有り、非常に明るく奇麗な所である。早速目についた対岸の大きめの岩に行こうとするが、適当な徒渉点が見つからなかったので、適当に写真を撮りながら引き返す。河原に降りた辺りの岩の上で持参したパンなどを食べながら、対岸を走る渡良瀬鉄道の列車に手を振ったりしながら、ゆっくりする。

 折角だからと、靴を脱ぎ、裸足になって流れの中の岩を使いながら徒渉し、最初に目についた岩に行って見る。最初に感じたより遥かにでかい。目を着けたラインにはホールドも無さそうだ。まぁ、小生には登れそうに無いようだ。

 中州に真っ白な三角オニギリみたいな岩がある。傾斜は適当だし、下地は良いし、高さは少し低いが、まあまあだ。折角来たのだからこれくらいは登ってみようか。

 靴も背負って来ていたから、靴を履き、スラブ状の壁をカンテを使って登って見る。しかし、ツルンツルンだからスタンスが無い。カンテも手がかからない。手も足も出ない。その右側のもう少し寝た凹角状の、細い斜めの浅いリスの走った面ならどうにかなるだろうとそっちの方に移る。

 こちらは適当なホールドが有ったから離陸はできたが、その上のカンテやリップがツルツルだから足が上がらない。リスにスタンスを求めたり、ステミングを試みたりするが、あと一歩岩の上に手が届かない。思い切って、右足を凹角の上のリップ状の所まで上げるとやっと身体が安定し、岩のてっぺんに手が届いた。やっと持てるホールドを触る事ができた。といっても、片手でぶる下がって身体を上げられるホールドではないから、左手をカンテに手を返してオポジションし、右手を下に押し付けるようにしてやっと上に抜ける。簡単だと思ったのに、意外に苦労してしまった。

 左のスラブに戻って、丹念にスタンスを拾い、カンテの手のかかりそうな場所を探してやっと離陸する。スタートの右手は少し効く所を見付けたので、足は上がるが次の手が無い。変なバランスになってしまう。

 またスタンスを拾いなおし、ホールドを探って登って見る。そんなことを何回か繰り返し、やっと岩のテッペンを掴み登る事ができた。最初は全く駄目かと思ったが、何とか登れて、少し嬉しくなってしまった。最初に簡単だと思った所を登れて嬉しいと言うのも変な話しでは有るのだが。

 この状況を、対岸から写真に撮っていた相棒も靴を脱ぎ徒渉してそばに来て、写真を撮ってくれた。この辺は足を濡らす覚悟が出来れば徒渉は何処でも出来るようだ。もう少し早くにこの決断をすべきだったか。

 3時を廻ったので、そろそろ帰る事にする。自動車に戻り、Uターンしてトンネルを潜る。もう少し先だと思っていたトンネルを出た所の路側帯が出てすぐだったので、その駐車スペースにまた車を止め、今度は小生だけがカメラを持って河原の偵察に出る。

 同じ様に河原に降りる踏み跡を探し河原に降りる。こちらは途中沢形に合流し河原に降りる形になる。が、河原に降りる所で踏み跡はなくなってしまう。

 適当に河原に降り、適当に写真を撮る。降りた所に少し大きな岩が有り、面白い格好をしているのだが、どうやら人工的に割った岩らしく、岩を割るための丸い穴が何ヶ所か残っていた。

 旧道までの登り返しで踏み跡をはずし、少し違う所に出てしまって上部で少し苦労したが、特に問題も無く自動車に戻る。途中その路側帯で仮眠している自動車がいた。

 4時頃に出発し帰路につく。といっても、どこをどう帰れば良いか俄にはわからない。前橋から関越は渋滞にはまりそうだし、佐野とか小山からの東北道も遠そうだしで、地図を見てもこれだと言う道が浮かばない。しかし、一先ずは桐生を目指す。

 大間々の手前で渋滞し出す。何台か前の軽トラックが県道3百何号線かに分岐して行く。すかさず地図を見ると、大間々まで渡良瀬川の対岸を並走する道である。すぐにUターンし、その道に入る。すぐ前をその道に入る自動車がいる。この自動車もUターンして来たのだろうか。

 その自動車が狭い道を快適に飛ばすので、調子に乗ってくっついて行く。暫く走ると前の車に追い付く。もうす枯死するとまた前の車に追い付く。都合5〜6台の集団になる。大間々で行くべき道を一時失うが何とか元の122号に戻り桐生に入る。

 その間、どう行くかの検討をする。そして、そのまま122号を行き、加須に出て16号から帰る事に決定する。それで行けば10時前には帰れるだろう。

 さすが、町中の道は混んでいる。その混雑が50号に合流しても暫く続く。暫く50号を走り、別れて再び122号になる。この道も館林とか羽生の町で少し渋滞するが、特に問題なく走る。

 今日こそは中華にしようと言うので、以前加須の町で結構安い中華レストランに入った事を思い出し、一応そこに行く事にする。行って見ると、大手の中華風ファミレスのチェーン店だった。まぁ、既に7時近いし、この先中華は有りそうに無いからとそこに入る。

 今回の夕食は3回ともそれなりの店に入ったようだ。なんかリッチな気分になれて、たまにはそういうのも良いのだろう。大手チェーンの中華風ファミレスでリッチと言うのはちと心苦しいが。

 8時過ぎに店を出て、帰路につく。特に渋滞も無く、といって空いている訳でもなく、極普通に走り家に着いた。

 今回は帰りの温泉は無かったので、家に帰ってから風呂に入ったのだが、何時に無く早めの帰宅になったようだ。たまにはこういうのんびりとした旅も良いものだ。


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作成年月日 平成14年10月18日
作 成 者 本庄 章