安達太良改め大日ボルダーその3

   東北合同合宿その2
2005年10月 7日記
 7時に起床し、地元の方々に作っていただいた具沢山のうどんを頂く。ボルダリングに来て、自分で作ることなく、こんな豪華な朝食が頂けるなんて、滅多に無いことであろう。

 食事を頂きながら、朝風呂に入ってきた方が居ると聞き、少し寝すぎたことを後悔する。

 行く先は既に2回ほど行ったことのある安達太良だったので、一応カーナビをセットし、三々五々出発する。

 東北道で、仲間に追い越される。

 高速を降り、山道に入る。自動車が繋がっている。回りは綺麗な紅葉である。やっぱり行楽シーズンの行楽地なんだ。帰りが大変そうだなぁ。

 自動車の流れは非常にゆっくりである。しかし、1車線だし、繋がって走っているから、追い越すに追い越せない。

 登坂車線が現れる。即登坂車線に入り何台かの自動車を追い越す。

 同じように登坂車線を物凄いスピードで走る先行車が見える。やっぱり今回の仲間の自動車だ。

 山の上の道の駅を過ぎ、峠の長いトンネルを抜け、道の脇の土産物屋をやり過ごすと自動車は幾らか空いてくる。見ると、前を走る3台ほどの自動車は仲間のものだった。

 フロントガラスに水滴が着いている。あれーっ、気のせいかなぁー。

 何となく水滴の量が増えている。やっぱり、なのかなぁー。

 完全に水滴が視野を遮りだす。「やっぱりー」というと、後ろから、「気のせい気のせい」と帰ってくる。「やっぱり気のせいか」と小生。

 気のせいとも言っていられなくなって来たので、ワイパーを一回だけ動かす。後ろから「間違って動かしたんだよねぇ」、小生「いやテストです」。空しい抵抗である。

 標高を下げ、沼尻に近付くと、雨は止んできた。

 沼尻温泉の近くで、ショートカットの道に入る。再び、沼尻温泉への道に合流するところで、前走の仲間の自動車に置いてゆかれ、他所の人達の自動車が何台か入ってくる。

 沼尻温泉からスキー場の砂利道に入っても、前には2台3台の他所の自動車が走っている。我々の直前を走る自動車は、信じられないくらいゆっくりと走る自動車である。急追してぴったりと後ろにくっついても、ゆっくりと走って行く。

 上からは自動車が何台か降りてくる。その都度、すれ違いのため停まったり、ゆっくり走ったりしなければならないのだが、そこでも必要以上にモタモタする。

 ほんの少ししかない砂利道を大分時間をかけて駐車場に到着すると、自動車がいっぱいいる。こんなに自動車が登ってきているんだ。

 標高が上がったせいか、相変わらず小雨がぱらついている。風も強い。

 皆で集まり、今後の打ち合わせが始まる。

 「多分岩は濡れているから、まともには登れないだろう。」「ここで、こんなに風が吹いていれば、上ではマットはヒョイと空を舞いどっかに飛ばされてしまうだろう」「見学に行くにしても、結構大変だと思う」などなどの話が出る。

 一瞬白いものが舞い始める。雪である。雪だぁー。決まりである。近くの大日エリアに転進することになった。

 カーナビに以前セットした大日の場所を呼び出そうとしてみたのだが、なかなか出てこない。仲間はそろそろ出発し始める。今回の自動車はほぼ地元の人たちだ。遠来は我々だけかも知れない。急いで、一番目立つであろう色の自動車にくっついて降り始める。

 途中、4号沿いのコンビニに寄る。ここは以前にも寄ったことのあるコンビニである。駐車中にカーナビをいじっていたら、大日の場所は無名として登録されていたことがわかる。なんだ、やっぱり登録はされてはいたんだ。遅ればせながらカーナビに登録する。因みに、大日はそこからすぐ近くだった。

 橋の袂の前回我々も停めた場所に集合し、大日岩の対岸のエリアに向かう。途中前回吼えついてきた犬は、今回は余りにも大勢の異様な風体の団体に圧倒されたのか、吼えはしたものの道までは出てこなかった。

 多分一番手前の岩の前辺りに荷物を置き、近くの岩を触り始める。

 強い人たちは被った面の課題を触り始める。女性軍団は、その裏のスラブを登りはじめる。一緒に来た仲間は、前回見た恐いカンテを見に行くという。小生は少し遅れて仲間を追った。

 岩の重なり合ったところに被ったスパッと切れた面のカンテがある。その被った面を、その面のカンテを挟んだ左側のほんの少し傾斜の緩い面にある薄いフレークの淵をホールドにして登る課題である。落ちると多分大変なことになるであろう課題でもある。

 行って見たら、仲間は既に外を見て廻っていた。一応その岩の写真だけ撮って、荷物を置いた皆の居る場所に戻る。そして、当然小生女性軍団に混ぜてもらう。

 傾斜は80度前後で、ホールドスタンスはそこそこあるスラブである。途中2/3くらい登ったところで一瞬ホールドが乏しくなるので、その辺が核心になる。

 4mちょっとの高さがあるから、小生にとっては落ちるわけには行かない課題でもある。まぁ、何とか一回で登る。

 そのスラブの右の真中辺のテラスの大ガバにマントルし、リップに抜ける課題をやってみる。こっちも難しくは無い。

 皆がやっている薄被りの課題の横に薄被りではあるが斜上するしっかりしたリップを持つ岩がある。そのリップをトラバースし、上に抜ける。うーん、9級かも。

 だんだん奥に移動して行く人たちが増えてきたので、小生も奥に移動することにした。

 前回は見るだけだった、真中に大きな穴凹を持った岩の前に女性群がたむろしている。一先ずはそこに混ぜてもらうことにする。

 その大きな穴の岩より川側に低めの垂壁に少し小ぶりの穴が開いている岩があり、そこを女性群の何人かがトライしている。小生もやってみる。

 少し小振りの穴の下側の淵でSDで離陸し、立ち上がってから穴の右側の淵に両手を寄せてから、壁の真中のリップのホールドを取って壁の正面に移動する。第一の核心である。後は、少しスローパーチックなリップでマントルを返して行く課題である。

 穴の下の淵は小生には持ちきれなかったので、いきなり穴の右側の淵でSDスタートし、上に抜ける。でも、外の人たちは穴の下の淵で正面からスタートしている。小生は右の壁に体が出ていた気がする。やっぱり、正面からやらなければ。少し時間を置いて、穴の下の淵で出たら、何とかできた。

 その岩の奥の側壁を登っている人が居る。見ると結構おっかなそうである。誰もいなくなったので、その壁に行ってみる。

 途中に斜めにフレークが走っており、適当なホールドを提供してくれている。傾斜は僅かに寝ている。しかし、下は岩である。高さもそこそこある。

 少し左寄りのカンテギリギリ辺りを持って離陸し、足を上げて上のフレークを取る。しかし、フレークの淵には苔が残っている。少しやばいかなとも思ったが、指はしっかりと掛かっているから、そのままスタンスに乗り込み、少し遠い目のリップを取り慎重に上に抜ける。

 あれっ、降りられない。周りを見たら少し狭い水平なバンドが走っていたので、そこを使ったら裏側に降りることが出来た。

 女性群は、最初に目に付いた大きな穴のマントルを始めている。混ぜてもらってやってみたら、膝が完全にロックはするのだが、その後は全く動けない。全然だめだ。

 各人が次々とトライを繰り返す。しかし皆、結構いいところまで行っているのだが、なかなか上に乗り込めない。そのうち成功する人が出る。その人は最初に掛けたヒールを脛に置き換え、脛で岩の上に這い上がっている。そうか。そばにいた、この課題の初登者だと思うのだが、その方も、途中で踏み替えて脛で乗り込むのだと教えてくれる。

 小生も真似をしてみたが、やっぱりなんともならない。後から来た大き目の男の人もやっぱり全く駄目。小さい人向きの課題なのかも知れない。

 3回目位に、穴の淵を何とか押さえ込み、体が上がりかけたのだが、最後の踏ん張りに欠け、結局登ることは出来なかった。

 その穴の左側のカンテを登っている女性が居る。また混ぜてもらう。

 そこにいた男の人が運動靴でそこを登る。やさしいのかなぁ。

 50度前後のスリッピーなテラスに左奥下のアンダーカチで立ち上がり、上のまん丸っこいスリッピーなリップに乗り込んで行くのだが、そのリップには殆ど手がかりが無い。

 関西女性軍団のお仲間が来て、「また淀課題で遊んでいる」という。こういうコマイ岩のショボイ課題を淀課題と言うらしい。でも、小生、あちこちで淀課題で楽しんでいた気がするし、この淀課題が合っている気がする。

 最初は、その左横のカチで側面からSDスタートしようとしたのだが、上にホールドが見出せず、断念する。

 仕方がないから、女性群と同じ正面からの方法でトライを始める。

 リップには僅かな凸凹があるので、左のカチは使わずに、そこに指をかけて、少し左寄りから離陸をしてみる。指のかかる方向がよくなったのか、指は意外とかかってくれる。丸っこいカンテの途中の僅かなスタンスをスメア気味に使ってリップに乗り込み、岩の上に立つ。左のホールドを使わずに何とか登ることが出来た。

 満足して、その先に行ってみたら、前回雪の中を仲間が遊んでいた、確か「弁天」という課題に男性陣が集まっている。川の中に突き出た岩で、その下の岩から取り付く課題である。確かに面白そうな楽しそうな課題である。もう少し修行が出来てきたら触ってみたい課題である。

 元ジムの仲間がやってくる。そして、側壁の高そうな恐そう場所を触っている。デジカメを持って写真を写しに行く。

 上が少し出っ張ったところを上のほうまで行って、リップを触って、「悪ッ」といって降りてきた。そして、裏に廻ってそのリップを磨き始めた。

 仲間の一人がやってくる。そして、その側壁の左の方に消えていった。

 結局元ジムの仲間はその壁を登って降りてきた。結構リップが悪かったらしい。

 ほぼ目ぼしいところは廻った気がするので、最初の場所に戻りはじめる。

 来たときとは少し違う場所を歩いてしまったので、大分側壁の高いところ迄いってしまったら、一緒に来た仲間がいた。

 少し見ていたら、その仲間と一緒に登っていた安達太良から合流した地元の方が我々の名前を聞いてくる。すると、仲間の一人に、「やっぱり」「確か下の名前は〇〇〇さんですよね」「フリー〇〇〇に載っていた方ですよね。」と聞いてくる。あんな小さな写真の人の顔まで覚えているなんて。やっぱりそういうオタッキーな方は居るのだと感心する。その方は、福島の方らしい。今度、コンペで東京に行くとも言っていた。

 そろそろ時間だということで最初の場所に戻る。

 そこで、一同集まって記念写真を撮る。続いて、ドカジャン軍団だけの写真を撮る。昨夜の某新幹線の駅でもそうだったが、やっぱり異様だ。って、昨夜は威容に感じたが今は異様に見える。それだけ岩場には似合わない姿である。

 この光景を撮影するためにデジカメを二台持たされ、ボルダーの天辺に登らされた地元若手が少しもたもたしていたら、「デジカメはストラップを腕に通して持て」、「デジカメのレンズを下向けて岩の上に置くな」、などなど、下から檄が飛ぶ。昨夜で一躍人気者になった若者であった。

 皆が並んで歩き出す。後ろから付いてゆく。

 それにしてもスポッ○が多い。6〜7枚もあるだろうか。ゾー○も3枚も有る。大半の人が遠征組だから、そして、その大半の人たちが関西方面ということもあるが、こんな団体見たことが無い。大体、今までにゾー○を3枚もまとめて見たことが無い。小生とそして小生と良く一緒にボルダーに行くジムの仲間が持っているというのに。

 駐車場所に戻って、自動車のロックを外そうとリモコンのボタンを押す。しかし、ロックが解除された印のランプが点かない。おかしいな。2回、3回とボタンを押す。すると、仲間が自動車が違うという。見ると、小生の自動車はその自動車の隣だった。と聞くと、よっぽど小生がボケてしまったと思われるだろうが、それには訳が有ったのである。つまり、僅かにグレードは違っていたのだが、同じメーカーの同じ年式の同じ車種の同じ色の自動車だったのだ。「だってー」と、そう仲間に言ったら、「こんなに綺麗じゃない」「屋根にボックスが載っていない」等など、その違いを列挙されてしまう。やっぱりボケが始まってしまったようだ。

 即帰る人、暫しの滞在の後帰る人、送る人、それぞれに名残惜しそうに挨拶を交わし、お別れする。小生、最後には見目麗しき多分妙齢なご婦人に握手を求められてしまった。おじさん、大感激である。

 昨日の現地到着から仲間の自動車に乗り移っていたお友達も我が自動車に戻ってきて、5人で出発する。

 昔のジムの仲間が、デッキブラシの柄を落としてしまったかも判らない一昨夜の宿泊地を通るので、そこに寄って、テントを張った辺りを散策する。しかし、残念なことに柄は見つからなかった。

 最終日はやっぱり温泉、ということで、地元の人に紹介してもらった岳温泉に寄る事にする。って、昨夜も温泉だったのだが。その温泉は昔のジムの仲間が行ったことがあるというので、其の仲間が行った日帰りで入れる施設を目指す。しかし、案内板のある高速のインターの手前の交差点を左折と教えられたのだが、何時の間にか高速のインターを通り越してしまっている。もう暗いから案内板を見落としてしまったのだろうか。

 Uターンして、一応カーナビに従って走って行ったら温泉に着いた。

 その温泉施設は、温泉街に入った直の交差点の角にあった。

 共同駐車場に自動車を置き、赤い字で「ゆ」と大きく何箇所にも書かれた温泉施設に入る。共同風呂というか、銭湯というか、そんな風情の温泉銭湯である。

 値段は300円。番台で、昔のジムの仲間が石鹸はあるかと聞くと、シャンプーは無いが石鹸はあるという。わっ、300円で石鹸があるんだ。初めてである。

 番台に貴重品を預け、奥の階段を降り、旅館の廊下風の廊下を少しゴチョゴチョと曲がったりしながら進むと風呂場が現れる。番台で貴重品を預かりますと言っていたから、ロッカーは無いのかと思っていたのだが、壁際にはコインロッカーが置かれていた。

 服を脱ぎ、風呂場に入る。洗い場は細長く、結構広い。シャワーも各個に設置されている。其の奥が湯船になっている。

 体を洗って湯船に浸かる。丁度良い湯加減である。今までに入った、温泉銭湯は概して熱い湯が多かった。まるで早く出ろと言わんばかりの体が真っ赤になるくらいの熱さだったのである。しかし、ここはのんびり出来る湯加減である。

 でも、そう続けて永くは入ってはいられない。一度洗い場に出て体を冷やし再度湯船に浸かる。

 番台に戻り、恒例の牛乳を飲もうと、自動販売機に百円玉を入れる。そのまま下の釣銭受けに落ちてくる。なんだ? 再度投入したら、牛乳が買えた。仲間も牛乳を買う。やはり最初は百円玉を弾かれる。2回目で牛乳が出てくる。なんだこの自動販売機は。次の仲間も同じ症状だ。この自動販売機は最初の投入で真贋を判断し、2回目の投入で機械が動作するようになっているのだろうか。

 牛乳を飲みながら、地元の人らしい人が牛乳を買うのを眺めて見た。1回ででてくる。何じゃこりゃ。いいかげんにせいよ。言いたくもなってくる。

 「ソースカツ丼」の字に釣られて、その風呂屋の斜め向かいの食堂に入る。

 メニューを見たら、安くは無い。二人はソースカツ丼を頼むが、残りの3人は地鶏照り焼き丼を頼む。小生はソースカツ丼より50円安かった地鶏照り焼き丼である。

 照り焼き丼が運ばれてくる。普通である。ソースカツ丼が運ばれてくる。なにーっ。でかい。ソースカツが異様にデカイ。もう一人のソースカツ丼が運ばれてくる。先のソースカツよりはいくらか小振りだが、それでもでかい。今度はこれにしよう、3人の合意である。

 ソースカツ丼を頼んだ、前にここに来たことの有る仲間に、このソースカツ丼を知っていたのかと聞いたら、知らなかったという。前回は小生と同じく照り焼き丼を頼んだという。全ての意味で、なんとなく納得。

 小生と仲間3人が同じ側に座り、元ジムの仲間とそのお友達が向かいに並んで座っている。見ると向かいの二人はそろって左手でお箸を持っている。なんとなく座り方までうまくいったみたい。

 7時頃に出発し、高速に乗る。カーナビの到着予測時間は11時過ぎを示している。お友達は少し遠くからの人だ。もし到着がこの時間なら家に帰り着けないかもしれない。そう考えたかどうかは定かではないが、運転を交代してくれた仲間は100km超の結構なスピードで走ってゆく。

 栃木から羽生の間、約20kmほど渋滞しているらしい。やっぱり渋滞していたか。

 途中、吾妻パーキングに寄り、つかの間の休息を取る。ここからまた別の仲間に運転を交代する。

 渋滞は12kmまでちじんでいる。次の電光掲示板では7kmになっている。渋滞はどんどんちじんでいるようだ。

 結局渋滞は5kmかそこらの、なんとなく詰まったような流れているような感じでやり過ごすことが出来た。

 最初は時間の関係から、ジム最寄の駅ではなく、都内の某駅辺りで解散と考えたのだが、仲間の走りのお陰で時間に余裕も出てきたので、出発と同じジム最寄の駅で解散することにする。

 結局、10時ちょっと過ぎに出発点に着いた。

 軽い気持ちでくっついていったツアーではあったが、物凄いツアーになったような気がする。大変にすばらしい濃いーいツアーになった気がする。

 お世話になった皆様方、どうもありがとう御座いました。


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作成年月日 平成17年11月 2日
作 成 者 本庄 章