バターミルク

2002年 3月 4日記
 第二日目日曜日である。

 いよいよカリフォルニアでのボルダリングの第一日目である。本格的な海外でのボルダリングのスタートの日である。

 今日は日曜日でハッピーは混みそうなので、バターミルクに行く事にする。

 各自各々朝食を済ませ、バターミルクを目指す。こちらは通りの名前がわかっているので迷う事はない。途中ゆっくり走る自動車を1台追い越し、雪を頂いた山に向かって高度を稼ぐと、程なく岩山が見えて来る。放牧用の柵を越えてすぐに右に入ると石で囲まれた駐車スペースに着く。他に車はいない。

 回りは岩がごろごろしている。下は砂に小さな灌木と言うか、せいぜい高さが4〜50cmの木のような物がまばらに生えているだけ。所謂砂漠なんだろう。こんな所で牛が放牧されるのだろうか。放牧される牛も可哀想なものだ。

 駐車スペースのすぐ前のバースデーボルダーでウォーミングアップすることにする。目の前の高い山に真っ白に雪を頂いている。ほんの少し先と言う感じの所まで雪がある。すでに日はかんかんと照っている。寒くはない。日が当たっている所に荷物を置き準備をする。

 周辺の景色やボルダーの写真を撮る。隊長はすでに2〜3本のV0課題を登ったらしい。さすが慣れたものだ。小生はまだストレッチもしていないし当然靴も履いていない。急いで支度をしてV0課題を登って見る。V0ってこんなものか。傾斜が無い所だから結構細かくてやっぱり易しくはない感じだ。都合3本程のV0を登る。

 裏に廻って、少し被ったガバガバのV1の課題を登る。SDスタートらしい。なぜかSDなのだ。それらしいホールドからスタートするが、カンテのフレーク状のガバが取れない。V1って難しんだ。気を取り直して、気合を入れ直して上に抜ける。やっぱり被り物は年寄りにはきついや。

 さあ、これから本格的にボルダリングを始ることにするか。因みに、ビショップのマウンテンショップで買ったトポの星印課題の易し目を中心に登ろうとの算段である。

 レンジャーロックへ。行ってV0かなんかを登ったはずだが、あまり覚えていない。

 次はハッピールーフへ。ここではV0−を登る。V0−になると、ホールド、スタンスはガバガバだ。岩の上半分が亀の甲羅の様になっていて、何処でも持てる。おまけにチョークもはっきりと付いている。何ヶ月も前のチョークが落ちずに残っているのだろうか。なにしろ、最近に降った雨は何ヶ月前だろうかみたいな感じなのだから。

 裏に廻って、ちょっとしたクラック状になっている所を登って見る。多分V0だったと思うが、出だしのバランスが悪くて離陸出来ない。レイバックが出来ない。団長にやってもらったら正対で出ている。小生も正対で出たら登れた。でもなんだかんだで3回もかかってしまった。V0のムーブを読む力も無い様だ。なんとも悲しい話である。

 隣のアイアンマンの岩には後から来たグループが取付いている。トラバースをやっているようだ。フランス青年がアイアンマンフライをやりたかったらしいのだが、人が居たので先に行く。

 2つの岩が一部くっついて、その面が大きく被ってトンネル状になっているザケイブボルダーに行く。

 仲間2人はそこの難しい被った課題をやっていたので、小生は、先に女性が登っていた、その近くの少し小さなスラブ、ラバーテストスラブとかいう所のスラブを登ることにする。ここには3本の課題が設定されているらしい。

 先ずは真ん中から。V0ということだが、ホールドもスタンスもすごく細かい。ちょっとした手掛かりと足掛かりでじわじわと登って行く。まぁ何とか登れたが、出だしが少し迷ってしまった。次は右。こっちは少しやさしい。次は左。こっちはV1だから難しい。はずだが、中央と大して変わらない。

 戻っても仲間はまだ難しいのをやっているから、続いてまた近くのV2の課題を登りに行く。

 そんなに高くはなく、ほぼ垂壁のカチチックなガバというか、なんか登れそうな感じがする。リップが少し遠い感じだったが、何とか一撃する。

 ところが、降りる場所がわからない。反対側のスラブを途中まで降りたが、その下が降りられず再び登り返す。また別の少し傾斜の緩いスラブを降りるが、最後が被っていて降りられない。高い所から飛び降りて怪我などしtくない。困った。マットは荷物と一緒に仲間の所に置いて来てしまっているし。登って来た壁にV0クラスの課題が有るかどうかも探ったが上からでは見え難くわからない。

 仕方が無いから大声で仲間を呼ぶ。幸い障害物は何も無い。程なくマットを持って仲間が来てくれる。助かった。登る前に降り口を確認しておくべきだった。以後気を付けよう。

 仲間も大分満足したようなので、次の目標のサンシャインボルダーに行く。

 見ると結構高い。7〜8mもあるだろうか。下地も良いし、難しくは無いのだろうが結構恐い。昼をとっくに過ぎていたので、この岩の前で一応昼食とする。

 この岩からはグランマやグランパというすごく高い岩が見える。そこを登っている人達の声も聞こえて来る。別の高い岩の上には休んでいる人達も見える。なんとものんびりした風景だ。

 なんとかこの岩の一番やさしい所を登り、グランマの岩に行く。ここにはすごく高いVBXの課題がある。その課題は、これまた恐そうな長いスラブを下らなければならない課題だ。団長がこれを登る。小生とフランス青年は恐いからやらない。で、隊長の最後の降り口が少し高いから、マットを持ってお迎えに行く。

 マンダラを見学しながら、アイアンマンまで引き返すことにする。途中、バターミルクステムという日本ではあまりお目にかからない少し開いた凹角のステミングを必要とする課題の所で遊んでいる人達が居たので、面白そうだからやりたくなる。

 時間潰しにコーナーボルダーを見学に行き、再びバターミルクステムに行く。さっきの集団がまだいるから近くのグローブルーフという課題にゆく。

 何だか、先にここを通った時に仲間が雑誌で見た事が有ると言う人が、何か話しをしていた所なのだが、なんかホールドでも欠けたのだろうか。なかなかスタートができないらしい。最後にはなんとか飛びついてスタートする。で、仲間2人が登る。

 その脇をさっきバターミルクステムで遊んでいた集団が通って行ったのでバターミルクステムに行く事にする。

 仲間が、さっきの集団で石の上から写真を撮っていた人はアメリカ在住の某有名日本人クライマーだと言う。小生には顔が見えなかったし、例え見えても写真でしか知らないから、わからなかったのだが。そう言われれば、それらしい人はわざとこちらを見ないようにして通り過ぎていったような気もする。

 仲間が登ったので、小生も真似をして見る。

 開いた凹角の壁を両手で突っ張って、右手の所まで足を上げるのだが、身体が硬いから足が上がらない。上げようとするとどうしても腰が出てしまって落ちてしまう。なんとか肩を入れたりして足を上げたが、あとちょっとの所で上がらない。3回くらいやって諦める。今回は観光だから。

 既に日は陰ってしまった。少し寒くなって来る。アイアンマンも人がいないだろうとアイアンマンに行く。

 仲間がアイアンマンフライを飛ぶ。小生は、運動靴で脇の小さな岩を登る。仲間が何回目かの試技で掌の皮を傷つけてしまう。既に日も落ちたし潮時と言う事で帰る事にする。

 結構車が有ったようだが、既に我々以外の車は1台だけだった。

 帰り道、道が結構下っている事に驚く。こんなに登って来たのだ。道理ですぐ近くまで雪があるはずだ。

 ボンズで買い物をして宿に戻る。


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作成年月日 平成14年 3月 4日
最終改定日 平成14年 3月13日
作 成 者 本庄 章