房総のボルダーその2

2003年 3月19日記
 本当に久し振りで、相棒と二人で房総のボルダーを触って来た。

 ここ2ヶ月程を休む原因となった右足首だが、未だ本調子ではなく、足首が曲がり難いし、僅かだが捻ると痛みを感じるので、飛び降りる動作が不安である。そんな訳だから、調子見とリハビリを兼ねてのボルダリングである。

 土曜日の昼過ぎに家を出て外房のあるペンションに向かう。今晩の宿である。何故、外房のペンションなんかに行くのかだが、前日か当日の予約がすごく安くなるインターネット上の何とかと言うシステムを使ってヨード温泉付きのペンションを見つけて来た相棒が、そこに泊まりに行こうと言うので、折角だから行こうと言う事になっただけである。他に他意は全くない。まぁ、強いて言えば、ヨード泉というのが珍しいみたいだし、安いからいってみるかという事である。

 そんなことはどうでも良い。ボルダーである。

 実は、そのペンションに行くのに、道を少し間違えて、ある漁港の近くまで行ってしまったのだが、その時、その漁港の近くに岩壁のような所を発見してしまったのである。そして、そこを地図上で確認すると、そこから南に向かって暫く岩記号が続いているのである。

 所でこの岩記号、以前、確認しようとこの海岸近くに偵察に来た事があったのである。しかし、その時は生憎、海岸に出る事が出来なかったので、というか、そこまでしつこくは探さなかったので未だ未確認のままの所だったのだ。

 幸いその漁港が宿のすぐ近くだったので、翌日、出がけにその漁港に寄って、その道端に出ている岩壁を触って見た。掴むと崩れる。岩と言うより泥である。とても触る気にもならない。念のため漁港の奥の方の壁も見に行ったが、壁の基部に崩れた泥の塊が散らばっている所も有り、同じ様な状態であった。

 ここまで泥だと、この先何キロか続いているようだが、見に行ってもしょうがないと結論し、その日の観光に出かける事にする。そう、この旅の本来の目的は、泊まりをおまけとした、昔よく行った所を再び訪ねてみようと言う、そんな旅なのである。

 ここに来る時も、前日だが、途中渋滞しており、昔良く使った抜け道を思い出しながら走って来たのだが、今も道は混み気味である。晩冬の房総の土日だから仕方が無い。まだ渋滞が無いだけ良しとしよう。

 目的地は安房の山の中にある牛の牧場である。ここには色々と思い出が有るのである。途中、少し寄り道をして、やはり思い出のあるスーパーに寄って見た。以前とは全く違う趣になっていたがしかし、どうやら既に営業は止めているようであった。丁度真向かいに新しい大きなスーパーが出来てしまったようだ。

 牧場で丁度昼頃である。ここからまっすぐ帰っても仕方が無いからと、一応は用意して来た靴と車に積みっぱなしのマットが有るので、仲間のHPに紹介されている海岸のボルダーがそんなに遠くはないからと、そこに行って見る事にする。実は小生は最初からそこに行くつもりではあったのだが。

 その牧場からから行くと、ボルダーのある浜の近くで、海岸の通りにT字でぶつかる様になるのだが、その交差点を右折だったか左折だったかはっきりしない。以前そのボルダーを探しに来て、この辺を右往左往した、その記憶がごちゃ交ぜになっているから、尚更はっきりしない。ままよと左折する。すぐに失敗とわかるが、道が狭いから暫く先に行ってから引き返す。

 ここは2回目だが、前に来た時は風が強く、とっても登れる状態ではなかったので、登るのは今回が初めてである。

 前回はゆっくりと偵察も出来なかったので、先ずは砂浜に点在する岩を暫く見て歩く。ほとんどの岩は海の中で、下地が出ている岩は少ない。辛うじて下地が出ていても濡れている。ここの紹介者が、ここは干潮じゃないと遊べないといっていたから、今は潮が上がっているのかも知れない。

 砂浜はサンダルでは歩き難い。草の生えた所を歩くのだが、今度は少し大きな草の枯れ枝のような物が邪魔である。曇っているし、風は有るし、要は登ろうと言う意欲が沸かないのである。

 砂浜の行く手を遮る様に横たわる少し大きな岩の上に登って見ると、その先の砂浜には岩はなく、大勢のサーファーがサーフィンを楽しんでいる。こんな寒い浜には誰もいないと思ったのだが、あんなにも大勢の人がいたのか。もう暫く岩はないみたいだからそこから引き返す。

 この辺は乾いた大きな岩が沢山有るのだが、どれも高さが無く、マントルでしか遊べない岩が多いようだ。

 相棒が大きなマットを背負ったまま石を拾っている所まで戻り、その近くの岩を触って見る。岩の表面は粉粉である。ここの岩質は砂岩と言うよりは泥岩の様だ。泥が少し硬く固まった感じである。少し大きめなカチを少し力を入れて下に引っ張ると、欠けて取れてしまった。やっぱりあんまり硬い石ではない。

 波打ち際の辛うじて下地の出ている、3m位の垂直に近い壁を持った岩を触って見る。左側が斜めに段々に切れ落ちる様に低くなっているから、先ず最初はそのカンテを使って登って見る。適当にホールドは有るから簡単に登る。とは言っても、リハビリ中だし、ホールドやスタンスが欠けるかもわからないから、それに、粉粉のスタンスが滑るかもわからないから慎重に登る。岩の上で手を見ると薄黄色くなっている。ズボンを見ると粉だらけである。益々モチが下がってしまう。

 次はその右の大きなガバの有る所を探って見る。最初はそのガバを左手で持って右足に立ち込み、右上のフレーク状の所を触って見る。まぁ、すぐに剥がれる事は無かったが、なんとなく剥がれそうで力が入れられない。まだ一歩しか上がっていないから高くはないのだが、意を決して飛び降りる。何しろまだ飛び降りても大丈夫なものかどうかがわからないのだから、相当な決意で飛び降りる。でもないけど。そんなわけだから、なんとなく右足を庇いながら、ぎこちなくその数十センチを飛び降りる。右足首に少し痛みを感じたような気がしたが、無事着地する。

 今度はそのガバを右手で持ち、結局は左のカンテ方向に斜上して、でもカンテには足を出さないようにして上に抜ける。

 僅かに雨が落ちて来たようだ。でも、雨が降り出したと言うほどでもない。

 大きく被った丸い出っ張りを持った2mちょっとの岩に行く。その丸い出っ張りをマントルしたら面白そうだと思ったので、そこのホールドやスタンスを探って見る。

 ここの岩は泥だから、そのホールドはパーミング系が主にならざるをえない。そのパーミングに一寸した出っ張りや段差が有るとガバに近いホールドになる。全体が丸く削られた中にちょっと硬い所が一寸した出っ張りや段差となって残る。元々フリクションはあるから、それがパーミングガバホールドになる。そういうのが結構ある。そして、基本的にカチホールドは無い。

 ここも、パーミングガバチックなホールドが有る。だが適当な足が無い。リップへのヒールなど普段の小生なら使える足が有るのだが、今の小生には無い。諦めてその左のデコボコでいて、なんとなくのっぺりとした感じの所を登って見る。良く見るとのっぺりした所にも適当な皺が有るから苦労なく登れる。

 その奥の2.5m位の一寸した壁を持つ岩を登る。最初はリップが一段下がっている所を登って見る。登ってから降り口を探すと、テーブル状のこの岩には簡単な降り口が無い。普段なら高くないし、下地は砂だから飛び降りるのだが、今回はそれが恐くて出来ない。仕方が無いから、登った所を降りる。幸い、下地に出ていた岩を使って比較的簡単に降りられた。

 その少し左側も登って見る。少しは慣れて来たから上に抜ける。再び丸い出っ張りを偵察する。でもやっぱり今の小生には無理だった。なんとなく悔しいから、その少し左側をチョンボ臭く登る。

 その岩の降り口まで行く途中に、その岩の上から、さっきのサーフィンをやっていた浜とは反対方向を眺めると、少し先の岩の上で釣りをしている人が見える。今迄気が付かなかったが、この辺はやっぱり結構人の来る所のようだ。

 まだ時々雨粒が落ちて来る。心成しか落ちて来る頻度が増えたような気もする。

 また少し周りの岩を物色する。しかし、手頃な物が見当たらない。ここに来た時に一番最初に目に入った岩に行って見たが、少し高いし、といっても3m位なのだが、ホールドも乏しいので諦めて荷物の所迄戻る。

 3時を少し廻っただろうか。あんまり遊んだ気はしないが、そこそこ遊んだし、雨もなんとなく増えて来た気もするし、何より寒いし、これ以上はあんまり登る気も湧いて来なしで、一応切り上げる事にする。

 帰る途中、帰ると決まったら急にもう少し登りたいなあと思ってしまう、何時もの悪い癖で、道路迄登る所の脇にある僅かに被った面を持った岩を一応見に行く。しかし、何時もなら登るだろうに、やっぱり今回は登る気はしなかった。

 自動車に戻り、大分前のキャンプの時に用意した水で手を洗い、もと来た道を引き返す。

 途中、道が混んでいたので、道路標識に従って少し手前の道に入ったら、途中で道を間違えたようで、脇道にそれた場所から少し先の元の道に舞い戻ってしまった。しかし、渋滞は解消していたので、そのままその道に合流し進む。

 再び本来の裏道に入り暫く順調にその道を進むが、県道に合流した所で再び渋滞が始まり殆ど動かなくなる。少し渋滞の中を進んで、大分以前に何回か使った事の有る裏道にまたまたそれ、昔の記憶を頼りに、対向車のために待避所までバックしたりしながら、暫く順調にその道を進む。所が、記憶に無いT字路にぶつかる。少し迷うが、右に行って見る。やっぱり見事に間違え、暫く行って引き返す。あんなT字路あったかなぁ。結構通ったはずなのだが、思い出せない。それでいてその林道の名前だけは覚えていた。

 後は何時も通る渋滞も無い知った道だから順調に千葉まで戻る。

 途中少し迷ってハンバーガー屋に寄ったりしたが、7時前には家に着いた。あっちこっち迷い捲くった割には、久し振りの早い帰還であった。

 やっぱり早く返れるのは楽珍で良いなーとは相棒の弁である。


戻る

作成年月日 平成15年 3月19日
作 成 者 本庄 章