あるぺん村ボルダーに行って来ました

   北陸のボルダーめぐり第一段目
2005年10月 7日記
 9月の後半の連休に、相棒と二人で北陸のボルダー巡りに行ってきた。これは、その第一段目のお話である。

 木曜日と月曜日に夏休みをもらい、5連休となった水曜日の夜中に出発する。例によってなんだかんだウダウダしてしまったから、実際はすでに木曜日になってしまっていたのだが。

 実はほんの2〜3日前までは、北陸ではなく、東北に行く予定で準備をしていたのであるが、秋雨前線が出現してしまい、どうやら天候が優れないとの情報から、降水確率50%の東北から降水確率40%という北陸に僅かな望みを賭け、急遽乗り換えたものなのである。

 下道を三郷まで行き、外環に乗る。あとは富山までずっと高速を走るつもりである。

 わざわざこんな中途半端な時間でも前夜出発に拘るのは、ETCの夜間割引を利用するためである。従って、関越に入って最初の高坂SAで仮眠する。といってもすでに時間は3時近かった。

 支度を済ませると、相棒が、新聞を止めてこなかったから明日電話すると言い出す。新聞屋は遅くとも3時頃から行動を始めるだろうから、今電話してみたらと相棒に話し、相棒に電話させてしまった。

 明朝7時頃に出発する。まだ早いし、都心を少し抜けているから渋滞はない。

 北陸道のエリアガイドをもらうべく、Iマークのある小布施PA、妙高SAに寄るも、インフォメーションカウンターは無く、情報端末しかない。上信越道から北陸道に入り、名立谷浜SAに入るも、状況は同じである。

 もうそろそろ、高速を降りる立山インターである。最後の望みを託し、有磯海SAに入る。

 やはり無い。仕方が無い諦めるしかない。

 ところで、名立もこの有磯海も道路地図ではサービスエリアになっているのに、道路標識にはPAとなっていた。それでかなと思いながら、このエリアの看板を見回すと、しっかりとSAの文字が書かれている。やっぱりサービスエリアなんだ。

 ついでに、Iマークはインフォメーションカウンターだとばかり思っていたのだが、ハイウェイ情報ターミナルマークだったらしい。お姉さんのいる、エリアガイドの置いてあるインフォメーションカウンターマークではなかったらしい。後にやっともらったエリアガイド、普通に言えば道路地図だが、を見たら、インフォメーションカウンターマークは「?」のマークだったのだ。知らなかった。

 売店を覘いていたら、鱒の寿司が売られている。そうか、ここは富山なんだ。時間を見るとすでに12時に近い。岩場はここから直だし、川原らしいから、ここでこのお寿司を買っていって食べるか。相棒に提案してみたら賛同してくれた。

 まん丸い形のものとその半分の半月形のものとがある。当然値段相応である。一つ丸ごと食べるのもなぁと思いつつ眺めていたら、その横に鰤の寿司なるものがある。値段はほんの少し高くなるが、そちらにも興味が湧いてきた。

 相棒が、鰤もいいねと言う。これで決まった。半月形の鱒と半月形の鰤を一つずつ買った。

 立山インターから富山地鉄に沿って立山の登山口方面に進む。意外と道は狭い。

 岩峅寺からは常願寺川沿いに走るようになる。道路標識には芦峅寺の文字が見える。昔、富山からこの常願寺川沿いに富山鉄道の電車に乗って何回か行った立山合宿のことを思い出した。

 カーナビにセットした位置に近づく。インターネットから落としてきた地図を引っ張り出す。そろそろ右折場所だ。

 多分ここだろうと思われる交差点を右折する。直に地鉄の踏切を渡りT字路にぶつかる。そこを左に行けば川原が見えるはずだ。

 この「地鉄」という文字だが、我々には地下鉄を思い出させる文字だ。しかし、ここ富山では富山地方鉄道のことを言うのだ。最初バスに書かれた「地鉄」の文字を見たときは理解が出来なかった。

 なんだか浄水場みたいな感じの水路を過ぎると右側に、一段低く、河川敷が広がってくる。

 川原まで自動車で降りられそうな立派な道が見えたので自動車を止めてみたが、その道の入り口には鎖がかけられ、立ち入り禁止の立て札が立てられている。工事用の道の様だ。

 わざわざ立ち入り禁止の道を使うのもなんだと、自動車が1台しか通れないように細くなったその道を先に進むと、道の脇にライトバンが一台停まっており、中で何人かの人が休んでいた。多分昼休みだったのだろう。

 川原に降りられる道は無いか、その先に自動車を停め偵察してみたが、道の下は急な石垣の様になっており、降りられそうな場所は見当たらない。その道はそのすぐ先で再び踏切を渡り、先ほどの立山への道に出てしまうので、その道に出て、最初の場所に戻ることにした。

 その立山への道を逆走していたら、あるぺん村というドライブインが現れる。そうか、「あるぺん村」はドライブインの名前だったのか。

 外には川原に降りられそうな道も見つからなかったので、先ほどの自動車の降りられる道まで戻り、万が一工事用の自動車が来ても邪魔にならない場所に自動車を停め、その道で河川敷まで降りることにした。

 支度をして、なんとなく後ろめたさを感じつつ、鎖を跨ぐ。簡易舗装された立派な道である。

 しかし、この河川敷は広い。その広い河川敷に小さな石はいくつか見えるが、ボルダーらしき影は見えない。この広い場所のどこに行けばよいのだろうか。

 河川敷の平らな場所に降りると、ちょっとした広場があり、その脇に草と潅木に埋もれた真っ黒な3m位のボルダーが現れる。と言うことは、ボルダーはありそうだ。もし他に見つからなければここで遊んで帰ることにしよう。

 降ってきた道は丁度そこで川沿いの道にぶつかっている。さて、これをどっちに行けばよいのだろうか。インターネットに有った場所を示す地図から類推し、下流方向に行くことにする。

 少し歩くと、左手の一段低い木立の中に少し大き目の岩が見える。あれだろうか。近づくと、結構大きな白い岩である。「白岩」だから多分間違いないだろう。

 その岩の横あたりまで進み、その岩の方向に入る踏跡を探す。しかし、そこには背丈ほどのススキが生い茂り、おまけにそのススキに葛が巻きついているから、とってもその中に分け入る気が起こらない。

 もう少し先に行くと、ススキの藪が少し薄くなったので、少しその藪の中に入ってみた。

 その先は葛の茂ったそんなに緩くは無い数mの斜面になっている。その斜面を降りて尚も藪を漕げば岩に到達する。しかし、その間の葛が中心であろう藪を漕いで行くのは辛い。河川敷を観察すると、白岩から下流方向に、所どころ地面が出た平らな場所が続いている。もう少し下流からそこを歩いて近づくことにするか。

 その川沿いの少し広めの道を尚も下流方向に進んでいったら、程なく川原に降りることが出来た。

 川原に出てみると、下流方向に大きな岩が見える。早速偵察する。下部に被り面を持つ大きな岩である。高さ6m位はあるだろうか。

 そこそこホールドは見出せそうだ。もしかすると上手な人には登れるかも知れない。とはいっても、小生には手におえないから、偵察のみに留める。

 川原だし、気持ちが良いし、何よりすでに昼時を過ぎているからと、サービスエリアで買ってきた半月形のお寿司をそのお寿司についていたプラスティックのナイフで半分に切り、お互いその半分こずつを岩に座りながら食べた。日が照っていたし、風も少しあったし、目の前は物凄く広い河原だし、何より他には人は誰もいなかったから、物凄く気持ちが良かった。

 白岩への道を探るため、相棒をそこに残し、上流方面に偵察に出る。

 少し歩くと、川原が消え、一段高い河川敷に登らなければ先に進めなくなる。少し戻って巻き道を探ってみたが、良さそうな場所が見つからない。強引に行けば行けるが、7分のズボンだから無理はしたくない。

 一旦流れを渡り、中州を石伝いに進み、元の岸に渡り返す。

 そこから、一段高い場所に水流の跡が入り込んでいる。草は無い。その水流跡を進むと、白岩が見えてきた。しかし、その水流跡の脇はススキが生い茂っており、白岩に近寄ることが難しい。

 そのまま白岩の真横辺りまで進むと、ススキが無くなり、その水流跡からほんの僅か、背丈の低い葛の原に分け入れば岩に到達可能だろう場所が現れる。やったー。

 戻る時には、中洲に迂回した場所を、強引に崖を登って草の中を歩いてみた。意外と草丈は短く使える道だった。

 相棒と共に再び白岩を目指す。

 途中中州に渡った場所を、戻るときに見つけた方法で回避しようと、そのまま先ほど付けた踏み跡を頼りに一段高い所の藪に入ったのだが、方向を少し誤ってしまったらしく、ちょっとした水流を超えなければならなくなってしまい、ちょっと難儀をしてしまった。

 白岩は高さ5m程の結構大きな岩である。幸い岩の周りには草は少ない。所が、一周回ってみたら、一番広く地面の出ている場所には結構大きなシマヘビが這って居たし、正面のスラブ壁の下の草は深かった。

 トポには、課題は示されているがグレードは無い。適当にやさしそうな場所を登ってみることにする。

 靴を履き、靴拭きマットを敷いて、登ってみる。

 滑る。易しくない。どうしよう。もう1mちょっと登ってしまっている。こう滑ったら降りるのも怖い。もう行くしかないか。

 やっとのことで上に抜け、裏の比較的傾斜の緩いカンテ近くに生えている木を使って降りてくる。最初に見たときは結構遊べると思ったのだが、どうやら相当に手強そうだ。

 最初に見たときには行けるだろうと思われた、正面スラブ壁の右側の下部が垂直に近い壁の少しガチガチした場所を触ってみたのだが、やっぱりフリクションが殆ど無く、ホールドが見出せない。スタンスもツルツルである。2〜3回やってみたが、まったく歯が立たなかった。

 ここで遊ぶことを半分以上諦め、一応記念写真を何枚か撮って引き上げた。それでもなんだかだと、都合3時間くらいは居たようだ。

 帰りは、来るときに見た、白岩から直に少し広い道に出られる葛の斜面が登れそうに見えたので、そこを登ろうと、踏み跡にも見える藪の薄い所を進んで見たのだが、見事に草に隠れた水流の泥濘に足を突っ込んでしまい、早々に引き返さざるを得なくなってしまった。この時期は、未だ草の勢力が衰えず、茂りに茂っている状態だから、こういう人のあまり来ない場所に来るには適当な時期でないということを猛烈に痛感してしまったのだった。

 後悔しても来てしまったのだから仕方がないと、気を取り直して、もと来た道を引き返し、来るときに迷い込んだ場所を避け、偵察に出たときと同じ中州経由のルートで帰ってきた。

 来るときに見た黒いボルダーの前を通る。白い岩が少しばかり消化不良気味だったので、この黒い岩を登ることにする。

 先ずは下地の整備、と言っても、下に生えている草を踏みつけるだけ。まぁ、下には小さな石が転がっているから、そんなに草が生い茂っている訳ではないが。

 易しそうな場所を偵察し、触ってみる。しかし、足がなく、手も意外と方向が悪い。少し頑張ったが離陸が出来なかった。

 右側の面に移動する。こちらは左のカンテが使えそうだ、スタンスもあるし。

 カンテを2手3手と進み、右足を少し高く上げてリップを伺う。しかし、リップが少し遠い上に両手とも力が入っているから、手が出せない。下地には少し大きめの石が転がっているから、落ちるわけには行かない。一手出せれば終わるのだろうが、それが出来ない。仕方なく降りる。

 最初に触った場所に戻り、正面突破を諦め、左の低い部分のリップへのマントルを試みる。なんだか変な体制だったが、何とかマントルを返す。

 岩の天辺で先ほど一手が出なかった部分のリップ付近を偵察する。リップは悪くはなさそうだ。思い切って一手を出せば登れたかもしれない。

 それで終わりにしようとしたのだが、なんとなく心残りがするので、あと一手で諦めたところを再度やってみる。

 先ほどよりも少し右寄り気味に登ったら、さっきよりも楽に登れ、最後に乗った右足のスタンスも、少し右の方に乗ったらしっかり乗れた。足にしっかり乗っていれば手が出せる。スタテイックにリップが取れた。これで気持ちよく終われる。

 「あるぺん村」に寄って、トイレを借りて、店内を少しふらついた。アイスクリームが欲しかったのだが、なんかちょっと高い気がしたので諦めた。

 さあて、今夜は能登の輪島だ。カーナビをセットし、4時過ぎに出発する。

 カーナビの指示に従い、細めの道をごちょごちょと走って、富山市内に入る。

 その後も、どこをどう走ったのか訳がわからないうちに、新湊市内に入る。カモンパークという道の駅が現れたので、寄ってみる。街中の道の駅の為か、長時間駐車されているらしい自動車に張り紙がされていた。牛乳を飲んで出発する。

 大手スーパーの案内が出てきたので、その先で左折してみた。そうしたら、なんだか寂しい細い道になってしまった。その看板にはその先左折とかかれていたような気がしたのだが、どうも見間違えたようだ。

 もとの道を少し走ると前方右奥にそのスーパーのネオンが見えてきた。あそこだったのだ。

 次を右折しようと走っていたら、陸橋に登ってしまい、陸橋の下で右折する道に入り損ねてしまった。Uターンして、その陸橋の側道に入り、スーパー方面に曲がる。

 いつものように、期限切れ近くのパンと、あまりメジャーではないメーカーのスポーツドリンクの粉末を買う。

 見慣れた、イタリアン系にして少し安い系のファミレスが出てきたので、そこで夕食にする。我々の席は明るかったのだが、周りの、特に奥の角の席は暗かった。あんな暗いファミレスは初めてだった。

 氷見市までは結構自動車が走っていたが、その先からは自動車も減り、カーナビの示す七尾へのショートカット道に入ってからは殆ど自動車が無くなった。

 途中、カーナビが指す道に分岐してみると、道は直に細くなり、その先では草が道を覆ってしまい、走れなくなってしまった。真っ暗な中をバックする。

 元の道に戻ると、相棒が、何者かに誘い込まれたのではというから、カーナビが示した旧道だという。すると相棒は、さっきの道の脇にお墓があったと言う。小生はお墓は見ていなかったから、そんなものは無かったと言ってみたのだが。

 七尾辺りから急に雨が降り出す。ラジオの天気予報でも能登地方に大雨注意報が出ていると報じていた。加賀地方は雨は降らないらしいのだが。

 相変わらず細い道をくねくねと走ったのち、輪島の町に入る。相変わらず雨が時々強く降ってくる。

 輪島道の駅の看板が出てくる。その看板に従って道の駅に入ろうとしたのだが、やっぱりは入り口がわからないで行き過ぎてしまった。Uターンしてきて、輪島駅との表示のある交差点を曲がったら、そこがどうやら道の駅らしかった。でも、バス停やタクシーの溜まり場などがあり、駅舎然とした建物の横のほうには有料駐車場まである。どう見ても鉄道の駅である。ここ、駅じゃーん。でも、輪島まで鉄道、来てたっけ。

 駐車場と思しき場所を一回りして見たが、明確な駐車場所の白線はなく、1時間以上の駐車禁止の看板が出ている。なんだか訳のわからない道の駅だ。どうせ雨だから、明日の朝は朝市に寄ってから窓岩に行こうかと考えていたし、何台か自動車が停まってもいたのだが、なんとなく泊まる気がしなかったので、窓岩方面の千枚田道の駅か、その先に最近出来たらしいすず塩田道の駅に行くことにした。

 千枚田道の駅は駐車場が10台分くらいしかないらしいから一度覘いてからとどうするか決めようと思いながら運転していたら、道の駅を通り越してしまった。

 窓岩には窓岩ポケットパークという駐車場があり、トイレと公衆電話があったので、その電話ボックスの横の数台自動車の停められる場所に自動車を停めてみる。幸い既に一台自動車も停まっている。しかし、そこは道路のすぐ脇だったし、回りも民家だらけである。おまけに雨も強くトイレも遠い。その先には最近新しく出来た道の駅があるからそっちの方が良さそうだと、その道の駅まで行くことにする。

 なかなか道の駅の看板が現れない。おかしいなと思いながら、時々物凄く強く降る雨の中をきょろきょろしながら運転していたら、その道はついに海から離れ、山に入っていってしまう。道の駅はこの国道沿いだから、道は間違っては居ない。しかし、名前からしても山の中ではないはずだ。このまま行けば峠を越えて隣町に行ってしまう。道も細くなってきているし。仕方なく山道の曲がり角の少し広くなったところでUターンをする。

 他には自動車が走っていないことを良いことに、ゆっくり走ってみたら、塩の何とかと言う体験館みたいなものがあり、駐車場もあったので、そこに入ってみた。しかし、建物はなんだか倉庫みたいに見えるし、どう見ても道の駅ではない。こうなったら、さっきの窓岩ポケットパークに泊まるしかないか。

 今度は、窓岩ポケットパークの、道路際ではなく、海に近いトイレの直近くに自動車を停める。

 ほんのすぐそこのトイレに行きたいのだが、雨がひどくてなかなか出る気がしない。少し待ってみたが、なかなか小止みにならなかったので、何とか傘を引っ張り出し、傘を差してトイレに行った。それでも傘を差すときに相当に濡れてしまったから、若しかしたら傘を濡らしただけ損だったかもしれないが。


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作成年月日 平成17年10月 7日
作 成 者 本庄 章