秋川ボルダーに行ってきました

2005年 3月29日記

 3月最後の日曜日に相棒と二人で久しぶりにボルダリングに行って来た。場所は以前から行きたいと思っていた秋川渓谷である。

 秋川渓谷のボルダーは、大分以前に発表され、案内書にも取り上げられたりしたようだが、つい最近まで、訪れる人も稀だったようだった。現に、ここに行ったという仲間から、行っても面白くないよと言われていたのである。

 ところが昨年、あるHPにこの秋川ボルダーの十里木エリアで登っているとの記事が、写真やトポ付きで発表されたのである。

 これは是非確かめに行かなければなるまい、そう思いはじめてから半年、やっと行ってきたという訳である。

 天気も良さそうだったので、週末はどこかに出かけるつもりでいた。しかし、強い寒波が来たため、太平洋岸でも雪の心配があったりして、何となく出そびれてしまった。そんなこんなで、土曜日は一日ウダウダしてしまったのだが、2月の連休以降、1ヶ月以上も外に行っていないものだから、ここは一番どうしても出かけなければと、ほんの少し気合を入れて、日曜日の朝、5時頃から起きだしたのであった。

 で、結局、どこに行くか適当なところが思い浮かばないまま、ウダウダしてしまって、この秋川に決めて家を出発したのは9時頃になってしまっていたのである。

 久しぶりのボルダリングだしで、早くから起きていた割には支度もモタモタしてしまって、秋川の載っている案内書と、そのHPからのトポだけもって、とりあえず出発という感じで家を出たのであった。

 首都高に乗ったら、千駄ヶ谷で工事とかで、6kmとか渋滞していると電光掲示板が知らせている。

 箱崎を廻るよりはレインボーブリッジを廻るほうが5分ほど早いと、やはり電光掲示板が知らせているので、素直に従う積もりだったのだが、気が付いたら、なんと箱崎に分岐する車線に入ってしまっているではないか。どうやら無意識に車線変更をしてしまったようだ。急いで本線に復帰する。

 レインボーブリッジを渡ったところのパーキングエリアに寄って、本線に戻ったら、もう渋滞が伸びてきている。本の数分で渋滞が伸びてきたようだ。

 まぁ、ここは普段から渋滞する合流地点の手前だから、観念して列に合流する。

 しかし、動かない。最初は少しは動いたが、合流の少し手前で殆ど動かなくなってしまった。葛西から霞ヶ関まで約30分かかるとの事だったから、それなりの覚悟はあったが、千駄ヶ谷の遥か手前の浜崎橋で殆ど動かないということで、少々焦ってくる。

 何とか環状線に合流したら、走り出した。混雑はしていても渋滞は無い。流れているのだ。なんだろう。工事が終わったのだろうか。

 三宅坂で千駄ヶ谷から中央道方面に分かれたが、やはり渋滞は無い。浜崎橋の渋滞は千駄ヶ谷の工事とは殆ど関係が無かったようだ。人騒がせな。

 中央道に入ってしばらく走ったバス停のところで制服を着た男の人が立っている。その前後に停められている自動車の窓にはなにやら張り紙がされている。良く見ると、それらの自動車には人は乗っていない。そうか、バス停の前後に駐車して、バス停から高速の外に出て用足しする人達を見張っていたのか。外環の新倉パーキングでも、近くの荒川で釣りをする人たちが長時間駐車していて問題になっていたようだが、ここでもそんなことをする人たちがいたんだ。知らなかった。

 八王子で高速を降り、カーナビの指示を無視して、何時もの道で睦橋通りまで行き、そのまま五日市街道から秋川渓谷を目指す。

 早く起きた割にはあたふたと家を出てきたから、未だ朝食も摂っていない。既に11時になっている。少し早めの昼食にでもするか。

 睦橋通りは御岳への行き帰りでよく走る道だから、どこにどんな食べ物屋があるかはある程度わかっている。少し先の牛丼屋に入ることにする。

 結構人が入っている。カウンター席がほぼ満員だったのでテーブル席に座る。

 テーブル席ってやっぱりゆっくり出来てしまうから、少しゆっくりしてしまった。

 五日市街道から秋川方面に入り渓谷沿いの道を本宿まで行ってみる。

 途中、和田向というところの駐車スペースに自動車を停め、相棒はみやげ物屋、小生は渓谷の偵察を行う。

 橋を渡って対岸に移り、下流方面に歩くと、道は徐々に山の中に入ってゆく。その道の大きなカーブの所から谷に降りる踏み跡を発見する。これを使えば川原に降りられるかも知れない。一人だし、準備もしていないから確認だけで自動車に戻る。

 計画では、先ず本宿に行き、そこからアメリカ淵、十里木と下ってくる積もりである。

 先に進むと、道はT字になる。その付近に役場があり、そこの駐車場が休みの日には使えるらしいとの情報もあったので、そろそろ役場を探そうかと思った矢先に役場を発見する。案内書よりはずいぶん手前の場所である。発見したときは既に役場への入り口を通り越してしまっていたので、T字路を右折したしばらく先でUターンしてきて、役場の駐車場に入る。

 既に半分位の場所に自動車が停められている。空いた場所に自動車を停め、支度をして出発する。

 場所は先程右折したT字路を左折した少し先の渓谷内のはずだ。案内書の踏み跡らしいものを探しながら車道を歩くと、いきなり立派な遊歩道というか、階段が渓谷に降りている。その階段を降りると、渓谷の斜面沿いに立派な遊歩道が続いている。案内書とはちょっと違うようだが、その遊歩道を上流方面に進む。

 この遊歩道、渓谷側は柵が施されており、渓谷に下りるような踏み跡はなかなか出てこない。

 しばらく歩いたら、渓谷に下りる階段のような物が見えてきたが、その階段への入り口が立ち入り禁止の看板とともにトラロープで閉鎖されている。無理に乗り越えてその階段に入るのも憚られたので、もう少し先に進むと、遊歩道自体が渓谷に降り始め、階段になってから、その先は渓谷への踏み跡に続いている。

 案内書の水溜りや、祠の載った岩らしいものが見える。この辺の様だ。

 ちょっとした岩を降りると川原にでる。その下流側は岩壁になっている。どうやらその岩壁が本宿エリアのボルダーらしい。しかし、高いし、下は岩盤から水だから、何となく登る気がしない。岩の上もぼさぼさの藪になっている。おまけに、岩の端っこが川まで出っ張っているから、その壁の下に回りこむのも容易ではない。

 対岸には登れそうな側壁も見えるが、水量があって、簡単には対岸に渡れない。

 一応その辺の岩をデジカメに納め、帰る事にする。

 上からおばさんが二人降りてくる。人が来るんだ。確かに誰も来ないところにこんな立派な遊歩道を作るわけも無いか。実際はそうでもないことがまま見られるのだが。

 釣りのおじさんも降りてくる。やっぱり観光地の様だ。

 自動車に戻り、案内書を見直してみる。

 先ほど偵察した駐車場の傍はどうやらアメリカ淵の近くらしいことがわかる。駐車場の少し下流の道の脇にちょっとした駐車スペースが2箇所ほどあったが、案内書の地図にもそのような場所が描かれている。間違い無さそうだ。

 本宿まで来ることは来たが、本命はやはり十里木である。でも折角だからと、帰り際に道路わきの駐車スペースに自動車を停め、少し戻ったところからアメリカ淵の岩を眺めてみる。

 ここも石ではなく岩の側壁の様だ。

 十里木は秋川の対岸の道に入ってからケビン村付近の川原に降りるらしいので、秋川にかかる橋を捜しながら来た道を引き返す。

 適当な脇道があったから、そこに入って、その先の橋を渡って対岸の道に入る。少し進むと、山に登る道と川に向かい道が分かれる所にでる。なにやら看板があるから見ると、どこかの橋が工事で渡れないから回り道をしろと書いてある。その橋がどこだかわからないから、あまり気にせずに、川の方の道に入る。少し走ると、また同じような看板が立ったT字に差し掛かる。真っ直ぐ行けば工事中の橋の様だから、そのT字を左折し川沿いの道に入る。

 細い道だが、少しウネウネ曲がって、少し川のほうに下って、川沿いにでる。

 そのままずっと走っていったら大きな駐車場に出た。でも、入り口に扉が有って、周りを塀で囲まれているから、よその人の駐車場の様だ。少しだけ入れてもらってUターンして、少し戻って道の脇に自動車を停める。

 そこから少し歩いて戻って、川原への踏み跡を下ったら、川原に出た。

 下流側に大きな岩が見える。他にも川原に2つほど適当な石が見える。ここで良さそうだ。

 川原の玉砂利の上に荷物を置き、一人で下流の大きな岩を偵察に行く。

 水際を歩いて岩の下に行こうとしたら、岩の川に出っ張った部分に水が回りこんでいるから、その先に行けなくなってしまう。仕方がないから、戻って荷物を担ぎ、その岩の裏に回りこんでいる枯れ沢を歩いて岩を回り込んだら、岩の上から降りてくるしっかりした踏み跡と合流した。

 その踏み跡を少し下って、岩の端っこから川原に降りてその大きな岩の川に面した被った面の下まで行ってみる。

 チョークの跡が沢山ついた面が現れる。トポと見比べると、その壁に間違い無さそうだ。その岩の前の川原に荷物を置き、戻って相棒を呼んでくる。今度は最初から大きな岩の上を歩く踏み跡を歩く。やっぱり藪の枝沢よりは楽だった。

 トポを見ると、一番右に5級となっているところがある。岩を見ると、ちょっとしたクラックが走っており、ガチャガチャしているからホールドはありそうだ。でも、その壁の一番高いところである。

 5級がどれくらいかは判らないが、多分登れるだろう。で、登ってみたら、ホールドが意外と悪い。いきなり取り付いたから、身体も温まってはいない。それでも一応高度を上げて行く。

 左手が悪い。右を探す。悪い。もう少し右を探す。持てそうだ。そこを持って足を上げる。でも、少しだけ被っているから、手が少し悪くなる。じゃぁ、もう少し足を右に持ってゆくか。身体を少し振ったら、手が保つようになった。次の手を探る。既に何歩か上がっている。もう飛び降りるのはきつそうだ。ガバホールドを探し求める。持てるような持てないような。あちこち探していると手が腫ってくる。早いとこ上に抜けなければ。リップの上のガバを掴む。でも方向が少し悪い。その手で足を上げる。尚も上げる。リップの上に足が乗る。もう大丈夫だろう。でも、一応慎重に上に抜ける。ということで、少しきつめのアップをしてしまった。

 踏み跡を岩の上まで登って、大きく回りこんで降りてくる。

 次は左の方か。こっちもクラックが走っている。高さも大分低くなる。離陸にほんの少しもたついたが、ガバガバガバと何でもありで登る。案内書のA難度の課題だろうか。

 登れそうな場所はそこまでで、それ以外の場所はホールドが持てそうになかったり、遠くて届きそうになかたりに見えるものばかりだ。

 そんな中に、最初に登ったクラックの左側のフェースの上のほうにある三角ポケットを左手で取る課題が目に付く。その三角ポケットが少し遠そうだが、下のほうはガバチックだから、途中のそのポケット辺りまでは行けそうに見える。

 スタートは少し低めの大きなガバである。そこからクロス気味に中ガバを取って、4本指が深く入る縦長のポケットから少し遠目のガバを取りに行く。そこから左足に乗り込んでゆけば三角ポケットが取れそうだ。やってみたら、思った通りのムーブが出来た。しかし、その三角ポケットは少し外傾気味だから持ちにくい。そして、そこからリップまでホールドらしいものが見当たらない。右手でホールドを探っていたら落ちてしまった。

 落ちたスタンスの高さは丁度背の丈ほど、2m弱である。しかし、下地は細かい砂利混じりの砂の平らな地面だから、特に問題は無い。飛び降りた場所が少し掘れるから、クッションも効いてくれるようだ。

 僅かに被ったフェースだから、少し疲れる。少し休んで又同じ事をやってみる。

 少し休み足りなかったのか、三角ポケットをやっと取ったところで落ちてしまう。

 先ほどなんでもありで登ったフレークの右側のフェースが何となく登れそうに見えたから、そこを触ってみる。

 左手で厚めのフレークの淵を掴んで離陸し、少し遠目の水平の薄めのフレークを取りに行く。左手のフレークがしっかり持てていないし、次の水平フレークが遠いから僅かに届かずに落ちる。

 休んでいたら、何となく喉の渇きを覚えたのだが、今回は水を持ってくるのを忘れてしまっていた。コンビニ等にも寄ってはいないから飲み物も食べ物も何も無い。何となくさびしい休息である。

 また右側の課題に戻って三角ポケットまで行く。右手のホールドを探っていたら、少し右のほうに斜めにかかるカチホールドを発見する。しかし、指がしっかりとはかからないから、そのホールドで動くのは難しい。足を探していたら落ちた。

 今度は左側の課題である。

 スタートホールドを探っていたら、少し下のほうの少し奥に指がかかるところを発見する。そこまで指を入れて、斜め気味に蹴り出して、レイバック気味に伸び上がったら上のフレークに手が届いた。しかし、そのホールドにぶら下がりきれない。第一関節までしか、それもしっかりとはかからなかったから指が開いてしまうのだ。最近体重が増えてしまったせいだろうか。

 少しその辺を歩いたりしてから、右の課題をやってみる。

 三角ポケットの次の右手の斜めカチは少し下のほうが持ちやすいことを発見する。そこを持って、足を上げて伸び上がればリップに手が届くのだが、その右手が外れると変な体制で落ちることになる。恐くて伸び上がれない。でも、足を探してみたら、右足で乗っているガバスタンスに左足で乗れば少しは伸び上がれそうなことに気付く。足を入れ替えたら、そこで力が尽きた。

 左に移動する。

 右手のフレークが少しは持てたので、左足をフレークの左に出してみる。どうも良いスタンスが無い。ヒールを引っ掛ける。引っかからない。やりたくないけど、もっと左のほうのガバスタンスまで足を伸ばしてしまう。そうすると、先に登ったのと余り変わらなくなってしまう。でも、身体はフレークの右のフェースにあるからまっいっか。無理やり身体を右に残したまま上に抜ける。

 少し長めに休んで、右に挑戦する。

 下のムーブは結構スムースに運ぶようになっている。三角ポケットも少し親指を使うように持ったら大分利いてきた。身体を開いて縦カチを取る。こちらも親指を利かせる。

 足を入れ替えて少し身体を斜めにしてそろそろと伸び上がる。体が上がってくる。よしもう少しだ。左手を三角ポケットから放して壁を這わせて行く。

 じりじりと手を伸ばし、もう駄目かというところで思い切り伸び上がったら、リップに手が届いた。

 やった。でも、その上のマントルが残っている。リップを両手で持って上を窺うと、何とかホールドはありそうである。

 足を上げたいのだが、上からでは見えるスタンスは無い。力任せに行くしかないか。そうだ三角ポケットがあるはずだ。探したら丁度良いところにそのポケットがあった。助かった。左足をそのポケットに上げて岩の上に抜ける。出来た。

 下に戻ってその壁を見上げたら、結構格好の良い壁である。ここを登れたんだ。もう大満足である。薄被りの少し高目の課題だからもっと満足である。下から見ると、三角ポケットから上はホールドも見えないし。

 少し休んで最初の川原まで戻ることにする。

 途中、今まで登っていた壁の裏辺りになる場所に被った壁がある。案内書では夕焼けハングとなっており、2本ほどの課題が設定されているらしいところだ。

 下地は余り良くないし、リップの上も苔だらけで磨かれてはいないから、登るつもりは無かったが、丁度左側にクラックが有ったので、ぶら下がるだけぶら下がることにする。

 支度をして、岩を触ってみたら、何となくガチャガチャしているのだが、傾斜がきついから利きそうなホールドは少ない。クラックもフィストサイズである。

 あっちこっち触って、結局左手はクラックにフィストを決め、右手は上のほうのホールドでぶら下がってみた。でも動けなかった。

 その壁の後ろに小さ目の岩がある。序だからその岩を登る。2手位だった。

 川原に降りてくる踏み跡の近くにやっぱり小さ目の岩がある。この岩は別の岩の上に乗っている感じである。登るとすればこれも2手か3手だ。

 先ずは上流の面を登る。足を高く上げて離陸したら、リップに手が届いた。

 次は下流面である。こちらは少し面が立っている。岩の下も少し切れている。岩の一番下までの距離が少しあるのだ。

 適当なホールドとかリップとか触ってみて、石の下のほうのスタンスを見つけて離陸しようとしたのだが、手が高すぎるし、スタンスも高くて悪かったから離陸が出来ない。下の石を使うと易しくなりすぎるから、下の石は限定である。仕方がないから両手でリップにぶら下がって足ブラになり、左足を腰の辺りのガバスタンスまで上げる。そのスタンスでリップの奥を探りに行ったのだが、ホールドが無い。滑滑なのである。体が上がっていないから、そのリップを押さえ込むことも出来ない。結局手を奥に飛ばしたところで落ちる。

 3回目位に、足を入れ替えて、横を向いて石の奥に手を伸ばしたら、やっと少しかかるところに指がかかった。それで立ち上がれば終わりである。小生チックで、何となく面白かった。

 自動車に戻ったら、奥の駐車場の扉が閉められていた。

 まだ、3時過ぎである。帰るには早すぎる。先ほどのアメリカ淵にでも行ってみるか。

 本宿の方に少し戻り、橋を渡って対岸の道に入る。大きなカーブの手前の道が僅かに広くなった場所に自動車を寄せる。

 先ほど見つけた踏み跡で急な斜面を降りる。

 物凄い急斜面である。相棒を補佐しながら降りてゆくと、大きな沢が入り込んでいる。その沢を渡った下流にあるはずだが、その辺の沢床は歩ける場所は無さそうに見える。その枝沢を渡って向かいの斜面をトラバースして行かなければ駄目そうである。でも、既に踏み跡は消えている。

 適当に枝沢を渡って斜面のトラバースを始めたら、杉の木が何本か切られた斜面に出る。その斜面の本沢側は岩壁の様だ。その斜面を大分先までトラバースして行かなければ、川原には降りられそうに無い。

 そこまででも大分時間がかかっている。傾斜も急だし、相棒と一緒だし、遅くなってしまって暗くでもなってしまったら安全には帰れなくなってしまうかもしれない。その恐れが頭を過ぎったので、そこから引き返すことにした。

 まだ4時を廻った位のところである。まだ少し早い。

 自動車で走りながら、御岳にでも寄ってみるかと冗談を言ながら走っていたら、左手の秋川の川原が広くなった所に自動車が降りているのが見える。あんなところで遊んでいる人がいるとか何とか言っていたら、十里木の分岐点に出た。たしか、ここには無料駐車場があるはずだ。手も汚れたままだし、寄ってみるか。

 秋川沿いの駐車場に自動車を入れ、手を洗うためにトイレに行く。途中大きな地図が書かれた看板を見たら、先ほどのケビン村の直ぐ近くらしいことがわかる。案内書を見たら、この近くにもサニーロックとかシャドーロックがあると書かれている。これは行って見なければ。

 シャドーロックは橋の直ぐ下流のこっち岸である。橋の袂で川原への降り口を探したが、橋の両脇は有料駐車場になっているので、川原に降りることが出来ない。

 橋を渡って直ぐに、上流側に入る脇道に入り、ケビン村の下辺りのサニーロックを探しに行く。

 キャンプ場の横から枝沢にかかる小さな橋を渡ってケビン村方向に伸びる山道を登って行く。どこからか夕焼け小焼けのメロディーが流れてくる。5時の合図なのだろうか。昔、家の近くでも「良い子はお家に帰りましょう」とかとともに流れていたことがあったっけ。

 尾根を登りきった辺りで野球場のような丸い広場に出る。ケビン村なのだろうか。その広場には塀が回されていて、入ることが出来ないように見える。その塀沿いに先に進むと、その先からその広場に降りることが出来た。

 広場に降りると、上から見えた立ち入り禁止の看板は、広場からその外側に立ち入ってはいけないとの立ち入り禁止だったようだ。その広場を横切って川の方に歩いてゆく。

 塀の切れ目から林の中に入ってゆくとその先に結構広い道が続いている。しばらくだらだらと斜面を下ってゆくと程なく行き止まりとなり、その先は傾斜のきつい斜面となっている。

 その傾斜のきつい斜面に踏み跡を探すと、二つか三つ踏み跡が見つかる。一番下りやすそうな踏み跡で下ってゆくと、川原に降りることが出来た。

 少し広い川原には結構大きな岩が点在している。正面には結構高い岩が見えるから、行ってみたら、川側は真っ直ぐに切れ落ちている。それがサニーロックなのだろうか。それ以外にはボルダリングの対象となりそうな岩は見当たらない。しかし、その壁の下は川が流れており、その壁に取り付くことは出来ない。増水気味なのだろうか。何となくそんな気もしていたのだが。

 その岩の下流の方の山側がちょっとした岩の側壁になっている。低いし、傾斜も無いから面白くは無いのだが、折角降りてきたのだからと、その側壁を登ってみる。

 岩は水で磨かれているのか結構滑滑である。下地は岩盤である。その先は川である。高くは無いが、落ちたら危なそうだ。

 少しSD気味にスタートして、慎重にホールドを選び、二手か三手目でリップを掴む。やっぱりそんなに面白くは無い。でも、ほんの少しだけ恐い。

 壁は少し長く続いているから、トラバースに挑戦してみる。トラバースならば落ちてもたいした事は無い。しかし、スタンスが殆ど無い。有っても苔が生えている。手も滑る。何箇所か触ってみたが、結局トラバースは繋がらなかった。

 日陰だから幾らか寒くなってきた。そろそろ帰る事にするか。

 急な斜面を登ると、正面に日が沈んで行くのが見えてくる。そろそろ5時半くらいになっているのだろうか。相棒に時間を聞くと、5時15分くらいだという。まだそんな時間だったのか。ということはさっきの放送は5時では無かったようだ。

 広場の先にまた広場が見える。良く見ると、先ほど自動車をUターンさせた駐車場ではないか。その駐車場の向こう側の出口を出たところに自動車を停めたのだから、先程の岩はここから直ぐ近くだったのか。橋が通行止めだったりで大きく廻ってきたり、少し上流まで戻ったりしたから、遠くまで来た感じがしていたが、実際は直ぐ近くだったようだ。

 車道の橋の袂に川原に降りる道が付けられている。そこを降りて広い川原に出る。その川原の対岸にシャドーロックがあるはずだ。橋の下を潜って、水際を歩いていってみたのだが、対岸にはそれらしい岩は見当たらない。皆小さな岩ばかりである。案内書の地図の場所から少し外れたところにちょっとした側壁が見えたが、その側壁なのだろうか。なんだか傾斜は無いし低い側壁である。

 帰りは3月いっぱいで切れるハンバーガー屋の只券があったので、そのハンバーガー屋に寄る事にする。

 五日市街道、睦橋通りから拝島で奥多摩街道に入り、立川で甲州街道に合流する。でも、そこまでにある二件ほどのハンバーガー屋は皆反対車線側である。府中辺りまで行かないと進行方向にはそのハンバーガー屋はない。反対車線のハンバーガー屋には入りにくいから、結局府中の先まで走った後に、何回か入ったことのあるハンバーガー屋で夕食にした。

 喉が渇いていたから、先ずコーヒーを飲み干し、結局二回もコーヒーをお変わりして、のんびりとハンバーガーを頬張ってしまった。

 どうせ急ぐ道でもない。甲州街道から日比谷、銀座を抜け、晴海から辰巳を通って湾岸道路に出た。何時もに比べると少し早めだったが、道は空いていた。

 今回はまだ続きがある。

 翌朝床から起きだすと、なんだか足が痛い。筋肉痛である。翌日の筋肉痛は若い証拠、ということなのだが、ハイキングともいえないくらいの歩行量での筋肉痛である。喜んで良いのやら悪いのやら。


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作成年月日 平成17年 1月12日
作 成 者 本庄 章