上松と寝覚の床のボルダーに行ってきました

   木曽路の石巡りその1
2006年11月 8日記

 11月初めの連休を利用して、木曽川沿いのボルダーをめぐってきた。今回も一人である。

 木曜日の夜中に出発の予定が、歳のせいか、支度をしている最中に眠くなってしまったので、一寝入りしてしまって、早朝4時頃の出発になってしまった。

 さすが早朝、連休の初日だというのに、道は空いていた。

 首都高、中央道で勝沼まで行き、その後は国道20号、19号で、まずは寝覚の床を目指した。お陰で、高井戸・八王子間は早朝深夜割引、八王子・勝沼間は通勤割引が適用され、なんと5割引で行くことが出来た。

 途中、韮崎の仲間から借りていた本を返すべく、その仲間宅を訪ねたのだが、仲間宅に着いたのが朝の7時だったし、別に約束をしていた訳でもなかったので、郵便ポストにその本を入れ、声をかけることはしなかった。

 最初の目的地は、古い岩雪に紹介されていた、上松のボルダー群である。

 案内文に従い、木曽川沿いの道に入り、材木屋の前に行くと、案内文にある駐車スペースらしき場所は見当たらなかった。その道は舗装された、結構自動車の通りがある道だったのだ。

 路肩の適当な所に自動車を停め、川原を眺めると、写真にあったシャチの形をした大きなボルダーが見えた。しかし、そのボルダーは対岸であり、川の水量が結構多かったので、渡渉は出来そうになかった。ちょっと下流に橋があるので、その橋を渡って対岸に渡ることにした。

 その橋の袂の下流側に入る道の脇に自動車が2台ほど停められていたので、そこに自動車を停め、少し偵察してみた。しかし、護岸が高く、降りられそうな場所は見当たらなかった。

 橋の上流側は発電所のようで、そこに道が入っていたので、その道を入って行ってみた。なんだか公園みたいな場所があり、自動車が何台か停められていたが、その先は行き止まりとなり、やはり川原に下りられる場所は無かった。

 なんだか上の方で自動車の音がしたので、見上げると、少し高いところをダンプトラックが走っていた。地図には無かったが、どうやら道があるようだったので、その道に登ってみることにした。

 自動車に戻り、橋の先を進んでみたら、大分先で斜面を登ってゆくその道への分岐が現れた。舗装はされているが、それほど太い道ではなかった。

 結構高いところを走る、ダンプなども通る道であった。少し進むと、上流の橋に出てしまったので、引き返してきて、発電所の上辺りのちょっと広くなったところに自動車を停めた。偵察をしてみたら、幸いなことに杉林の脇に川原まで降りられそうな踏み跡があった。

 支度を整え、その踏み跡で川原まで降り、岩のゴロゴロしたところを対岸から見えた親子ジャチ岩というらしい大きな岩まで行ってみた。

 結構大きな岩だった。高いところで5mくらいありそうだった。

 大きな岩だったし、下にも大きな岩があったので、とても登れそうには思えなかった。従って、偵察だけに留め、何枚かの写真を撮った後、先に行ってみた。しかしその先は、岩はいっぱいあるのだが、トポには詳しい記載は無く、進むのも結構大変そうだったので、途中で引き返してきた。

 まず最初に、側壁の茂みの近くに見つけた岩を触ってみた。高さが2m50くらいのスラブチックな岩だ。

 流水で磨かれた岩だから、突起物は殆ど無い。あっても大きいし、ツルツルである。僅かなリスとカンテくらいしか持てそうな所は見当たらない。

 お定まりの、カンテを使って登ってみた。まぁ、何とか登ることは出来た。

 手ごろな大きさの岩はあるものの、滑々だったり、下地が悪かったりで、小生に登れそうな岩は殆ど見当たらない。そんな中、少し小さめの、そしてやさしめの岩を2つ3つ触ってみた。

 そんな中に、スベスベで、腰の辺りから傾斜の寝てくる適当な岩を見つけ、触ってみた。しかし、最初に目をつけた場所はスタートのスタンスが無く、手は滑々だから、離陸が出来なかった。仕方が無いから、少し左に寄って、少し傾斜のゆるい場所をスタンスにしてみた。それでもやっぱり、駄目だった。

 トポにある岩辺りに行ってみた。マントルの課題がある岩が三つほどあるようなのだが、それらしい岩は見当たらなかった。

 トポには、ちょうど降りてきた辺りにも岩があるように書いてあったので、探してみた。なんだか岩の形が違うようだが、何とか登れそうな岩があったので、触ってみた。

 人工的に割られた岩のようで、珍しくリップが角ばっていたのだが、少し外傾していて、リップの上は真っ平な面になっていたので、そこそこ面白かった。

 一応トポの岩は大体探したし、初日だし、時間も無いし、ということで、次のエリアに移動することにした。

 次は、本日のメイン、寝覚の床である。

 お土産屋等の有料の駐車場を抜け、案内文にあった川側のガソリンスタンドの脇を入ると、道路から一段低くなったところに町営の無料の駐車場があった。奥に茶店の様な食べ物屋があり、その前と、入り口近くのトイレの前辺りに何台かの自動車が停まっていたのだが、その他には殆ど自動車は停まってはいなかった。寝覚の床の南木曽側の登攀車線の途中だし、はっきりした看板は出ていないから、殆どの人たちは気が付かないのだろう。

 まだ1時過ぎだ。多分寝覚の床は観光客がいっぱいだろうからと、まずは裏寝覚に行ってみた。

 人気の無い川沿いの木立の中の道を行くと、東屋が現れた。人影は見当たらなかった。そこが裏寝覚なのだろうか。

 川に出ると、大きな岩が川に張り出しており、その岩の上には一組のカップルがいた。やっぱり裏寝覚のようだった。

 トポを見ながら、課題を確認してみた。しかし、岩が大きく、切り立っていたりするので、どこがトポのどこだか、俄かには分からなかったので、一先ずざっと見て回ることにした。

 下流側を見に行ったら、皆岩が大きく、ボルダリングできそうな岩は見当たらなかった。しかし、トポの岩の形はなんとなく「あれかな」と言う感じがつかめてきた。その目で、側壁を眺めなおしてみたら、トラバースの課題が設定されているらしい壁がなんとなく分かってきた。その左横の壁にはクラックの課題があるはずなので、探してみたら、それらしいクラックも見つかった。

 そのハンドクラスのクラックに手を入れてみたら、なんだか利く気がしなかった。足が利いていないからだろうと、靴を履き、チョークバックをぶら下げて、再度挑戦してみた。

 何とか二歩ほど上がることが出来たが、その先はジャムが利いてくれなかった。易しい課題らしいのだが、手も痛いしで、降りざるを得なかった。

 上流の方にも課題があったので、大きく出っ張った岩の裏側に降りて行ってみた。すると、オットセイの頭のような、トポにある岩らしい岩が目に入ってきた。

 マントルらしいので、ぶら下がってみた。下が結構被っていたし、岩はツルツルだったし、下地も岩盤だったので、そのまま降りてきた。トポにはオットセイになったつもりで頑張るとか書いてあったのだが、手が抜けて岩盤に落ちるのがいやだったし、第一出来る気がしなかったのだ。

 川に大きく出っ張った岩の下辺りにハングの課題があるらしいので、見に行ってみた。

 上流側は平らな垂壁で、川側が結構被った壁になっている岩が見つかった。行くまではそこそこの大きさの岩だと思っていたのだが、近づいてみると、高さが3mくらいの岩だった。

 下地は岩盤だし、マントルに失敗すると大変だと思ったのだが、実際に触ってみたら、ホールドとなりそうに見えたフレークは皆ツルツルで、リップまですら行くことが出来なかった。カンテを使い、下の岩を利用して、リップを触ってみたのだが、やっぱりマントルする勇気は出なかった。仕方が無いから、上流側の垂壁を触ってみたら、スタンスには何とかクラックがあったものの、使えそうなホールドは殆ど無く、離陸すら出来なかった。リップに地ジャンしてみたが、ツルツルで全く持てなかった。

 「結局、何にも登れていないではないか。折角千葉くんだりから来たのに坊主とは。」そんな考えが過ぎった。少し焦りながら、その奥の、岩の上からスタートする2mくらいの岩棚をマントルしてみた。僅かに被った壁だったし、スタンスも乏しかったし、リップの上にも顕著なホールドは無かったので、右斜め上に立ち上がる壁を肘で押さえたりしながら、やっとの思いでマントルすることが出来た。やっと一つだけ登ることが出来た。

 って、何のためにボルダリングをやっているのだろう。登れようが登れまいが関係ないじゃないか。楽しめばいいじゃないか。建前はそうなのだが、なんだか最近は、自分のボルダリング行が今はやりの百名山巡り化している気がする。いや、最近某機関紙に連載が再開された全権制覇の記事に大いに影響されているのかもしれない。いずれにしろ、最近どんどん自分のボルダリングが変質していっている気がしてならない。だからどうという事もないが。

 さぁ、多分観光客がいっぱいいそうな寝覚の床に行くことにするか。

 川沿いの遊歩道を上流に向かって歩いてゆくと、段々人が増え始め、少し広い芝生の広場に出てきた。小さな岩を繋げてアーチが作ってあったり、塔のように積み上げてあったりするから、多分美術公園と言うところだったのだろう。観光客と言うかハイカーと言うか、そんな感じの人がいっぱいいた。

 川原の上流方向を眺めると、手前には岩がゴロゴロころがっており、その奥には川に張り出した大きな岩棚が見えてきた。多分その辺が寝覚の床なのだろう。

 公園様の所を抜けると、完全に観光客風の人達がいっぱい歩いていた。やっぱり観光地だった。裏寝覚が嘘のようだった。

 道の突き当りから、岩がゴロゴロした斜面を下ると、大きな岩盤の真ん中を川が流れている、寝覚の床である。そこらじゅうを観光客が闊歩している。川原に降りて最初に目に入る大きな岩のスラブ面を登ってみたいと思ったのだが、とっても無理そうだった。

 一応、トポの課題を確認しようと、上流方向に移動しながら岩を探してみた。

 一斗缶だったかの、真四角の岩はすぐに分かった。近づいてみたら、岩棚の上に乗っているから、結構高く見えた。課題は裏にあるので、裏に回ってみたら、薄被りの面に斜めにフレークが走っていた。なんか格好良さそうに見えた。触ってみたかったのだが、その前が観光客の通り道のようになっていたので、撫でただけで、登ることはしなかった。

 浦島堂だかのお堂の乗った大きな岩の側壁にいくつもの課題が設定されている。見に行ったら、確かに、幾つかのクラックの課題などが確認できた。しかし、皆高さがあり、マットなしの一人ではとっても取り付ける高さではなかった。

 一応、その岩とその奥の岩を見て周ったが、ボルダリングというよりは、クライミングの領域な気がした。

 そんな中、ゲゲゲの指太郎という、中で二つに分かれているという、凹角にきれいにまっすぐに走るクラックが、高さ的には3〜4mだったし、レイバックも出来そうだったので、登ってみたいと思ったのだが、やはり一段高くなった岩棚の上からのスタートだったので、落ちることが出来ないと、諦めざるを得なかった。

 少し戻ったところの左岸の辺りに小さな岩が幾つかあるように書かれていたので、探してみたが、よく分からなかった。しかし、なんとなくそうではないかと見えた、二つの岩が面白そうだったし、観光客からは僅かに離れていたので、思い切って触ってみた。

 最初は、富士山のような形をした少し寝たスラブ面である。真ん中を登ろうと思ったのだが、ホールドもスタンスも顕著なものは見つからず、おまけに下地が石ころの山だったので、2〜3回の挑戦で諦めてしまった。

 左のカンテを持ってみたら、持てそうに思えたので、そのカンテで登ってみた。出だしはカンテが立っていたのでちょっと苦労したが、途中からはカンテも寝てきて、何とか登ることができた。

 既に4時近くになったようで観光客も少しは減ってきたようだ。先ほどの試技で、観光客は、こんな変なおじさんには意外と無関心なように感じられたし。と言うことで、図に乗って、一斗缶を触ってしまった。意外と、離陸が出来、2手3手と進むことが出来た。しかし、リップは甘かった。下地は岩盤だし、左端は1mくらいの段差になっているしで、とってもマントルする勇気は出なかった。

 先ほど登った岩の隣の岩も登れそうに見えたので、再びその岩のカンテを触りにいった。

 こちらのカンテは立っていた。2回、3回と失敗し、足首を僅かに痛めてしまった。一回はリップを取れたので、「マットさえあったらなぁ」ということにして、諦めた。

 戻りかけると、一斗缶の壁を触っている写真を撮ろうとしていた観光客がいた。しかし、その観光客は離陸が出来ないでいた。そこで、ホールドの場所を教えてあげ、ぶら下がって見せてあげた。すると、その観光客は離陸が出来た。もしかしたら、その観光客は小生の触るところを見ていたのかも知れない。まぁいいや。

 ついでにと、最初に見える大きなスラブの岩に行ってみた。一回り回って降りる場所を確認してみた。下流側が降りられそうに見えた。

 正面に回って眺めてみたら、なんだか登れそうな気もした。しかし、スラブで滑ったらいやらしい。人の目もあるし。左側の傾斜の緩めのところは間違いなく登れそうだったが、どうせなら真ん中を登りたい、そう思ったが、落ちるのがいやだったので、後ろ髪を引かれたが、諦めることにした。

 そろそろ寒くなってきたので、自動車まで戻ることにした。

 明日は南木曽の予定だ。適当な道の駅に行くことにして、出発した。

 ここ木曽川沿いで使えそうな道の駅は、大桑、賤母、きりら坂下の3つ程だ。お互いにそんなには離れてはいない。まぁ、適当な場所に行こう。

 大桑の道の駅は自動車でいっぱいだった。一番標高も高いし。で、パス。

 途中、南木曽を通る。まだ少し明るいからと、明日の偵察をすることにした。

 仲間から聞いていた「あの辺らしい」との情報を基に、その辺を偵察してみた。

 地図上から目星をつけた最初の候補地辺りに行ってみた。いきなり進入禁止の看板があった。そのまま突き当たりまで進んでみたが、なんだか違う気がした。戻って、次の候補地辺りに行ってみた。自動車を停める場所が見当たらなかったので、そのまま先に進み、国道に復帰した。仕方が無いから、明日の行動は、この2番目の候補地を、その大分手前の道路脇にあった駐車場所に自動車を停め、少し歩いて偵察しに行くことにしようということにした。

 木曽川沿いの国道を先に進むと、結構何箇所も駐車場所が現れた。いざとなったら、適当に停めながら偵察が出来るかもとか考えながら、道の駅を目指した。

 道が混みだしてきた。どうやら渋滞が始まったようだ。

 前回、偵察に来て雪に追い返されたときに気になった場所に差し掛かっていた。既に暗くなっていたが、道の脇の駐車スペースに自動車を停め、川原を偵察に行ってみた。

 なんだか暗くてよくは分からなかった。

 自動車を少し進めると、川の方に分岐する道が出てきたので、すかさずその道に入ってみた。

 橋を渡り、対岸への道に続いていた。もしかすると、この辺が南木曽のメインなのかなぁ。駐車スペースもあるし。暗い中、漠然とそう考えながら国道に復帰した。

 賤母道の駅は空いてはいたが、道路端だった。食事もまだ食べていなかった。きりらはすぐ近くだ。ということで、まずはきりらに行ってみることにした。

 道路脇にレストランの看板が現れたので、そのレストランに入ってみた。意外と安かった。ソース丼が787円だった。

 きりら坂下道の駅は隣が大きなスーパーだった。これ幸いと、翌日以降の朝食と昼食を買い込んだ。序にマンゴープリンまで買い込んでしまった。

 買い物が終わるともうすることはない。朝も早かったし、7時過ぎには寝てしまった。


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作成年月日 平成18年11月 8日
作 成 者 本庄 章