安倍川のボルダーに行ってきました

2006年 1月16日記
 正月休みの前半、晦日までの3連休をどうしようか迷ったのだが、結局相棒と二人で、以前静岡の方からお教えいただいた、安倍川のボルダーに行くことにした。

 またまた、見たいテレビがあるだの、寒いだのとウダウダしてしまって、出発は午前0時をまわり1時近くになってしまった。

 暮れとはいえ、この時間になるとさすが道は空いている。

 首都高から東名に入り、海老名のサービスエリアに入る。すでに4時近くになっていた。

 既に明け方近い時間だというのに、サービスエリアには結構人がいる。牛丼屋にも何人かの客がいる。やっぱり暮である。自動車に戻り寝る支度をする。といっても寝袋に包まるだけだが。

 7時頃目をさまし、そのまま出発する。

 なんだか意外と混んでいる。実はまだ28日なのである。

 富士川のサービスエリアに寄り、清水インターで高速を降りる。国道1号線を少し走り、安倍川沿いの県道に入る。途端に道が細くなる。そのまま安倍川を遡り、渡というところ辺りまで進む。すると、左側の河川敷の中に大き目の岩が見えてくる。多分あれだろう。

 駐車スペースを探し、岩の傍を流れるだろう枝沢の橋を渡ってその少し先まで行ってみる。しかし、その先の河川敷は狭くなり、道路の山側には山の斜面が迫ってくる。駐車スペースは無さそうなことを確認し、且つ、川原のボルダーが目的のボルダーである事を確認し、引き返す。

 橋の手前の道路の河川敷側には、工事用のような広い平らな場所がある。多分、そこがバイクの人たちが借りているという駐車場所だろう。魚協が立てたらしい看板が立ち入り禁止の看板でないことを確認しつつ、その広場に進入する。

 その広場の先はそのまま河川敷に降りる道に繋がっている。ここにも立ち入り禁止の看板は見当たらないので、そのまま河川敷まで下りてみる。しかし、自動車を停めるのに良さそうなスペースは無かったので、再び上の広場まで引き返し、自動車を停める。

 明るい日が照ってはいるが、幾らか風があるので、そう温かくは無い。むしろ寒い。まぁいくら静岡とはいえ年末だから、当然といえば当然である。

 支度を整え、先ほど自動車で下った坂道を歩いて降り、河川敷を少し歩いてボルダーに近付く。

 でかい。思ったよりもでかい岩が二つ。他にも小さ目の岩が幾つかあるが、ボルダリングの対象となる岩はそのでかい二つの岩と、手前のでかい岩の脇の小さな岩の3つだけの様だ。そのほかにも岩が有るらしいのだが、それらの岩は枝沢を渡った先の様だ。

 今回は枝沢を渡渉しなければならないし冬だしということで、長靴を履いてきている。荷物を大きな岩の前に置き、小生だけ枝沢を渡ってその先のボルダーを偵察に行く。

 長靴は快調である。枝沢は深くは無いから、水を気にせずにジャブジャブと渡ることが出来た。

 マントル課題が幾つかある岩は高くは無いがすごく大きい。その岩の前を通って道路の方の潅木がまばらに生えた所に行ってみると、コケという岩がある。この岩のコケメインという課題は、狸のお腹みたいな円く膨らんだところの付け根を右斜上する僅かな凹角状の場所を使ってその狸のお腹の上まで登り、そこからその上の壁を登るという感じの、一目見て登りたくなるラインである。

 最後に、マントル課題の幾つかある岩の裏の小さな岩を確認し、荷物まで戻る。

 さぁー、登攀開始である。どこから登ろうか。といっても、この周りには易しそうな場所は、メインボルダーという岩のメインスラブしかない。

 傾斜はそれほど無いし、高さも3mかそこらだから、まぁまぁ登れるだろう。そう思って取り付いてみたら、これがなかなか。岩はツルンツルンなのである。日が照っているとはいってもその面には日は当たっていないから、岩は冷たいし、朝一だからソールもカチンカチンだしで、まるでフリクションが無いのである。そんな中、ホールドを捜し、スタンスを見つけて、やっと上に抜ける。

 一応ここのトポを持参したのだが、そのトポにはグレードはない。ラインと課題名しかないのである。従って、ある課題がどれくらい難しいかは、というより、どれくらい易しいかは、実際は登って見なければわからないのである。

 登ったは良いが下るのが大変である。登る前は、一応傾斜の緩いトポに下降路とある場所を下ればよいと思っていたのだが、こんなにツルンツルンではとっても下る気がしないのである。仕方がないから、一応持参していた、ザック兼クラッシュパッドという、すごく薄いマットを相棒に敷いてもらい、スラブ面の左端のカンテを少し降ってから、そのマットに飛び降りた。

 そのスラブ面にはまだ何本か課題が設定されていたのだが、それらの課題の下地は段差になって大分低くなるので、その面はそれでお仕舞いにする。

 次は、その岩の山側の、スラブ面よりは高さの無い、前傾壁である。

 いきなり前傾壁でも何だからと、その面の左端の被りの無い所を登ってみる。高さは2m半位だが、当然スタンドアップスタートである。それでも、僅かにリップには手は届かない。

 壁にはそこそこホールドはあるが、リップ上にはガバやしっかりしたカチは無い。足は良いから何とか岩を押さえつけて上に抜ける。

 何とか2本は登った。あとはお遊びだな。ということで、この岩の周りを廻ってみる。

 この岩は、丁度河川敷と川床との段差のところに位置しており、普段は岩の半分の川床の下地は水没しているらしいのである。でも、今回は渇水期ということで、川の水位は相当に下がっているらしく、川床は大分後退しているので、その部分もしっかりと砂地が露出している。ということで、この岩の川に面した壁の高さは6mは有り、結構見栄えがするのである。

 先ずは、その川面の壁を見上げてみる。そこには丁度真中辺に斜め右上する岩角が立った細いバンドが走っている。しっかりした岩角だから、そのカンテやリップを使えば、やさしめの課題になる様に見える。ということで、一目で登りたいと思い、取り付いてみた。

 ところが、その岩角の始まる部分が少し高い目だし、角度が立っているから、スタートホールドにはならない。その他にも小生に使えるようなホールドは見当たらないから、大分ああでもないこうでもないと粘ってみたのだが、結局は、離陸すら出来ずに諦めざるを得なかったのである。

 トポを見てみたら、「なかなか面白くて快適なカンテ」とされる、スタンダードカンテという課題がその面の右側のカンテだということがわかり、そこを登ることにした。

 このカンテは、丁度下地の段差の所にあり、それなりの高さがある。でも、カンテの右側を登れば、傾斜はそれほどは無いし、何とかなりそうである。

 左手はカンテをパーミングで押え、2〜3歩上がったら、何とかリップが取れた。日が当たっていたし、少しは岩に慣れてきたのだろうか。

 先ほどの川面の真中のラインがやっぱり気になったので、またそこを触ってみる。

 やっと離陸が出来た。やっと写真が撮れた。よかった、よかった。

 スタンダードカンテの後ろにマントル課題のある小さな岩がある。丁度段差の上の淵である。従って、川側の課題で落ちると段差の下に落ちてしまう。恐いから、右側の段差の上の課題だけを触ってみた。

 高さも無いし、右側のリップを使ったから、なんとか這い上がることが出来た。

 その右隣がハイボルダーである。この岩は、河川敷の一段高い場所にあり、やはり、その高い場所と河川敷のところの堺に載っている。というか、反対側の道路の側の下地の半分位が抉られて、今にもひっくり返りそうな形で座っている岩である。

 こっちの面の下地はそんなには抉られていないから、そう高くは見えない。それに、丁度半分位から上の傾斜は50度かそこらくらいに寝ているから、そこまでなら一番低いところで2mも無い。一応一番低いところでマントルしてその岩の天辺に立ってみた。

 その面の右端がデッド一発パワー全開という壁になっている。こちらも一応触ってみたが、歯が立たなかった。

 その裏側の、下地が抉られた面は、70度から80度くらいの綺麗なスラブ面になっている。トポにはプロジェクトとなっているが、最近どなたかに登られたらしい課題がある面である。高いし、下地が抉られているから、小生には離陸が出来ない。記念撮影に留める。

 この場所は大体そんなところである。次は枝沢の向こうだ。

 マントル課題の幾つかある、テーブルホエールという岩の裏にある、イージーフェースという岩を触ってみる。

 高さは2mちょっとか。傾斜も無いしホールドも豊富である。トポでは、右のリップへ行くのと左のリップに行くのと、2つの課題があることになっていて、共に初めての方用となっている。やっぱりその通りだった。

 テーブルホエールの岩の恐らく正面の易しい所を何箇所か登る。低いし、寝ているから、トポの通り「初心者,初級者にはもってこいのトレーニングボルダー」である。

 この岩の道路側の少し高い壁の左の少し角の立ったカンテがその岩の一番高いところまで続いている。そのカンテを登ってみた。

 そのカンテは、上1/3位が少し寝てくるのだが、その部分がジャリジャリで、手が滑り、落ちてしまった。ちょっと残念。2回目も、結局、その先が何となく不安だったし無理しても仕方がないからと、最初に手が滑ったところから一手先、天辺の少し手前辺りで岩の上に這い上がってしまった。因みに多分「ダイレクトカンテ」という課題だと思う。

 いよいよコケボルダーの「メイン」である。トポでは「中級以上のスラブ」となっている。最初に見た時から一番登りたかった課題である。

 左斜め上辺りのあまりよくないカチ気味のホールドで離陸する。これが、足はスメアだし、右手は良いホールドが無いから、なかなか離陸が出来ない。何回かの後に足が決まり、両手マッチ気味で、やっと離陸する。

 身体が上がれば、左手のホールドは効いてくる。その手で足を上げて行く。足は3歩か4歩上がるのだが、左手のホールドが離せないから、その先に動けない。同じような事を何回も繰り返す。しかし、結果は殆ど同じ。離陸に結構力を使うから、だんだん疲れてくる。同じことをやっていても仕方がなし、丁度昼時でもあると、自動車まで戻り、昼食にする。

 日が当たって風もそんなに無かったから、湯を沸かしてコーヒーを煎れたりして、結構のんびりしてしまった。

 結局1時間以上ものんびりして再び先ほどのコケボルダーに戻る。

 その途中に、トポには無い面白そうな岩が見えたので、その小さな岩の少しハングした、下が岩のところに取り付いてみた。本当はそこをマントルしたかったのだが。

 コケボルダーで、再び先ほどと同じことを繰り返す。全く進展が無い。仕方がないから、その左側の面のスラブに浮気をする。結局そのスラブも下に岩があったり後ろも岩だったりするから、恐くて3歩か4歩しか上がれない。

 少し休みながら、岩を見つめていたら、狸のお腹の上の方の傾斜が緩いことに気付く。というか、実際はずっと見ていたから、傾斜が緩いことは見えていたのだが、その傾斜の緩い意味に気付かなかったのだ。その傾斜の緩いところを何とか手で使えないかと考えてみて、やっとそこに返した手でオポジションしてみることを思いついたのである。

 やってみたら、しっかりと右手で体重を支えることが出来た。今までは、右の方のチョークの付いたスメアのスタンスに拘って、そこに乗ろうとして失敗していたのだが、そこに乗るよりも右手に乗るほうがずっと安定することが判ったのである。

 最初はなかなか身体が安定しなかったが、2回か3回目以降は、その体勢で身体が安定し、右足を開いて左手も返すことができた。そうすると右手が出せるようにはなった。しかし、その先のホールドがわからない。その後も何回かやってみたが、その先には行けなかった。

 折角思いついたムーブだったのだが、結果は出なかった。まぁ、仕方がない。そろそろ3時を過ぎるし、日も陰ってきたからと、引き上げる事にした。

 自動車に戻り、ふと考えると、ここは静岡である。ということは名古屋が近いかもとの考えが浮かぶ。そうだ、明日も明後日も休みだけど、特に予定も無いから名古屋に行こう。実は明日は身内が名古屋に引っ越す日なのである。まぁ、行くとは伝えてはいないけど、その手伝いということである。

 名古屋までは、多分100kmくらいだろうと考え、何時もの通り国道1号線を名古屋方向に向けて走り出す。

 暫く走ると、宇津ノ谷峠という道の駅が現れたので、寄ってみた。

 そこの案内を見たら、名古屋までは180km位あるとある。そんなに遠かったのか。ちょっと失敗したかな。

 カウンターに「ゆらりの里」とかいう温泉施設のパンフレットが置いてある。見てみたら、この近くの様だし、確か400円くらいだったので、その温泉に寄ることにした。

 そのパンフの住所をカーナビにセットする。しかし、そのカーナビからの指示とパンフの案内地図とが合わないように見える。パンフには藤枝バイパスからの地図が載っていたが、カーナビには藤枝バイパスを使わないように指示したし、住所自体がカーナビに出てこなかったから、その地図を頼りに近くの中学校だかを目標にセットした。それでなのだろうということにして、一先ず走り出す。

 やっぱり、とっ初めから迷ってしまう。Uターンしたりして、何とかカーナビにくっついて走っていったら、道がどんどん細くなってきた。遂にはこの先高さ2mのトンネルありとの看板まで出始める。この自動車は高さが2m10は無ければ通れない自動車なのである。どうしよう。Uターンする場所も無い。行って見るしかないか。

 トンネルは新しく掘りなおされたのか、余裕で通ることが出来た。

 その先でやっと2車線の道路にでて、やっとのことで温泉に到着することが出来た。やれやれ。

 露天風呂もあり、サウナもあって、結構のんびりして、時間も既に6時を廻っているからと、そこで夕食にした。

 支払の段になって、相棒が財布を取り出そうとしたら、ロッカーの鍵を出せという。その鍵に付いていたタグのバーコ−ドみたいなものを読み取るだけで支払はフロントでするらしいのだ。知らなかった。

 今夜は名古屋に行っても泊るところは無いから、その手前の「デンパーク安城道の駅」が目的地である。

 国道1号から23号に入り、3時間ほどかかってやっと安城に到着することが出来た。既に11時であった。


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作成年月日 平成18年 1月16日
作 成 者 本庄 章